好きな作品・作家紹介_久遠侑

どうも、くもりのちはれです。
最初の投稿より時間が経ってしまいましたが、ようやく自己紹介以外で初の投稿。

時間がかかってしまったのは、記念すべき初投稿は何がふさわしいか悩んでいた、という実に見栄っ張りで下らない理由です。
とりあえず好きな作家でも紹介しとくか、と先日決まり、かねてより新作が出ることを望んでやまない作家の紹介をすることにしました。

作家の名前は「久遠侑」

誰にも真似できない無二の文章を書く作家です。

まずは著作を紹介しましょう。下に並ぶのは自分が読んだ久遠先生の作品です。

実は他にも作品はあるのですが、読んだことのないものを紹介するのも気が引けるのでこの3つのみにしています。

ちなみに自分はお気に入りの作家でも設定とストーリーに興味が湧かなければ全く手をつけません。これは久遠先生に限らず他の作家でも同じです。

話を戻します。自分は上記の3作品(1つはシリーズものなので実際は2ですが)それぞれに思い入れがあります。語るとなると1つ記事ができてしまうほど長くなるので別の機会としますが、この3つには共通点が1つあります。

それは若い男女の心の機微を事細かに描いているということです。

普通じゃね? と思ったそこのあなた。
あえて言いましょう。その通り。

「近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係」は、もうタイトルと表紙絵を見ればすぐに分かる通り、高校生の人間関係と恋愛模様が主題の作品。
「親しい君との見知らぬ記憶」はSF(近未来的)要素こそ含んでいるものの、主人公とヒロインが関係を深めていく過程と深めた後の日常が、話の7割を占めています。

ぶっちゃけると、ライトノベル作品特有の飛び抜けた個性を持つキャラクターは、主役・脇役を含めても存在しません。変な口調や特殊な能力を(少なくとも自覚して)持っているキャラもいません。
どこかには居そうな登場人物たちが、きっかけはどうあれどこかにはありそうな人間模様を展開していくだけ。
起承転結はあれど大きな浮き沈みはなく、物語の結末に意外性はない。

そんな小説面白いのかよ、という声が聞こえてきそうですが、贔屓目に見ても万人受けする作品ではないんですよね。刺激を求めている人にとっては退屈でしょうし、地味と言われれば否定できない。

……ここまで書いてきて思いましたが、もしもこの記事を久遠先生が読んだら、ネガティヴキャンペーンかなとか思われそうですね。
しかし大丈夫です。ここまでこき下ろしてきた分、ここからは存分に褒めまくりますから!(オイ

確かに作品の内容自体は地味に見えるでしょう。しかし久遠侑作品は地味なのではなく、繊細なのだと思っています。
ここで「近すぎる彼らの、十七歳の遠い関係2」から文章の一部を抜粋してみましょう。​

彼女と別れてからも、どきどきと、心臓が、静かに、強く鳴っていた。家までの道を、いつもよりもゆっくりと歩いて、俺はそれを収めようとした。暮れてゆく赤い空も、黒い影になった雲も、色褪せたポスターの貼られた電柱うも、たくさんの家に伸び、空を囲っている電線も、アスファルトの亀裂から生えている雑草も、毎日目にしているようなそういうもの全てが、やけに新鮮に見えた。

これは全体のほんの一部分です。恐ろしいことに、これと同じくらいの詳細な情景と心情の描写が本編中ずーーっと続くのである。いやマジで。

自分がこれをやろうとすればまず間違いなく飽きる。飽きて続きを書く気がなくなる。そもそも自分はガンガン展開を進めたい派なので、我慢できずに端的な描写で次に進めようとしてしまう。
これは向き不向きの問題ですし、作品に絶対の正解がない以上、自分の作風の方が劣っているとは考えていません。しかし自分にできないことをやってのける作家は、それだけで尊敬せずにはいられない。

そしてこれらの文章から窺えることとして特筆すべきは、この久遠侑という作家が、それこそ写真で切り取ったかのように詳細で情感豊かなイメージを頭の中に描いているということ。
自分も含め、物書きは頭の中に浮かび上がった映像を文字や絵にする訳ですが、久遠先生の場合はその映像が自分では想像できないくらい克明に頭に浮かんでいるのでしょう。画素数で言えば自分と2桁くらいの差がありそうですね。

ここまで読んで久遠先生とその作品に興味が湧いたのであれば、下記のリンクをご参照あれ。


余談
久遠先生の新作がまた出ないかな〜と願い続け、自分のAmazonの検索窓のストックには常に久遠侑(カテゴリー:本)が入ってたりします。


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