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その饅頭は見えていても触れない。小説サイレント・コネクションに出て来る技術・ゴーストプロトコルって何だ?

こんにちは。今回は、小説・サイレント・コネクションに出て来る「ゴーストプロトコル」について解説します。ゴーストプロトコルで架空の生物を自分の分身とする「ルミナ」にもこの技術が使われています。



仮想現実とPT-RFID技術の融合が進み、革新的なデバイスが登場しました。スタートアップ企業「ファントムリンク」は、画期的なウェアラブルデバイスを開発し、市場に投入しました。このデバイスには、眼鏡型とコンタクトレンズ型のバリエーションがあり、PT-RFID技術を活用して高精度な位置情報と向きの情報を提供します。
ファントムリンクは、"ゴーストプロトコル"という独自の技術を開発しました。ウェアラブルデバイスは、極小サイズのステレオカメラやLiDARを搭載しています。PT-RFID技術により、デバイスは位置情報と向きを把握し、そのデータはサーバー上のデータベースに保存されます。
サーバー上では、収集されたデータが解析され、世界中のオブジェクトをメタデータ化します。ゴーストプロトコルの最大の特徴は、仮想的に作成されたオブジェクトを、まるで現実世界に存在しているかのようにデバイス上に表示できることです。これにより、ユーザーは現実世界と仮想世界が融合したような没入感のある体験を楽しむことができます。


これがチャットGPTに聞いたゴーストプロトコルの説明です。
PT-RFIDというのは、高精度測位機能を込みにしたテラヘルツ波を用いたRFIDシステムです。ミリメートルの100分の1の誤差で測位出来ることになっています。テラヘルツ波なので通信速度も非常に速いです。

では、それだけの高精度で測位が出来ると何が起こるのか?
例えば、コンタクトレンズ型のウェアラブルデバイスを考えてみましょう。
コンタクトレンズデバイスの中に、3個か4個の測位ポイントを設けると、レンズ自体がどこを向いているかがわかります。
つまり、

「コンタクトレンズ型デバイスが、見ている方向を測定できる」

で、コンタクトレンズ型ウェアラブルデバイスはLiDARのような測位型デバイスを搭載しています。これで何ができるかというと

世の中にあるあらゆるオブジェクトのメタデータを自動出来る取得できる

ということです。これがどういう意味なのか、ちょっと分かりにくいですね。例えば、家で生活していることを想像してみましょう。テーブルを見たら、「テーブルを見た瞬間にテーブルがどこにあって、どのように設置されて」というデータが自動で取得します。同じように、部屋のレイアウトから、家具まで、全ての情報が自動で取得されます。
とすると、VR空間上に家をそっくりそのまま再現できるということです。
こうやって、世界中のありとあらゆるオブジェクトをメタデータ化するというサービスをスタートアップ企業「ファントムリンク」社が提供してきました。

これはなかなか魅力的なサービスです。例えば、公道のメタデータが全て自動で集まれば、自動運転のためのデータとして使う事が出来るでしょう。街をそっくりそのままVR空間上に再現するサービスもできるでしょう。
あえて、そこにテーマを加えてファンタジーのような空間を作ることもできます。異国を旅するサービスもできるかもしれません。VR空間は、空間を作る事自体のコストが大きいので、こういったサービスは大きなコスト削減になるでしょう。

ファントムリンク社は、これをさらに一歩進める技術を開発しました。これがゴーストプロトコルです。逆に

VR空間上で動く架空の物体を、リアルな世界に移植できないか?

って考えたわけです。
そんなことできるわけない?いいえ、そんなことはありません。
架空の物体の座標、向き、姿勢等のデータが集まれば、コンタクトレンズ型のウェアラブルデバイス上にあたかもその物体が存在するように見えます。
例えば、

饅頭というオブジェクトをテーブルの上に配置すれば、テーブルの上に饅頭が見える

という状況は実現できます。ウェアラブルデバイスの測位技術が極めて高精度であれば、その見た目は、実際にそこにあるのとまったく見分けがつきません。もちろん、その饅頭に触ることができませんが。

本物と見間違えるほどの質の物体が見えるが触ることはできない。まるで幽霊の様に。これがゴーストプロトコルです。

特に、サイレント・コネクションの世界では、DTS法というものがあり、誰もがT-RFIDデバイスの保持を義務付けられているため、ゴーストプロトコルの普及率は80%に達します。ほとんどの人にとって見えているということは、そこにその物体があると言ってもいい。

そこで、播本ありさはこのゴーストプロトコルをさらに発展させて、ルミナを作りました。ルミナはどんな技術なのか?についてはまた別の機会に。

ではまたお会いしましょう。

ゴーストプロトコルが出て来る第9章です。https://note.com/kumokumocc/n/n1183cbe3bdc3

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