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メキシコ映画「ニューオーダー」

新型コロナ以降の世界を見ていると「この世が地獄」なのだという気がします。新型コロナでは多くの人が亡くなりましたし、その余波なのかどうか知りませんが、ロシアのウクライナ侵略、イスラエルのガザ侵攻、その他諸々の残虐な虐殺戦争、国内では特殊詐欺団から派生し、殺人まで犯した素人強盗、覚醒剤使用者の増加、高齢者運転者による致死事故、数々の異常気象・・・など、この世に気が休まる場所なんてないのでは?なんて思ったりします。

随分前に観た映画ですが、「ニューオーダー」という作品があります。もう、これは後味が悪い映画です。ニューオーダーというと、僕が好きだったジョイ・デビジョンというバンドの派生バンド名だったりします。今回は関係ないです(笑)。

その映画の公式サイトの文章を転載しました。

第77回ヴェネツィア国際映画祭で審査員大賞など2冠を受賞しながらも、各国の映画祭で激しい賛否両論を巻き起こした本作。監督を務めたのは長編デビュー作から4作品連続でカンヌ国際映画祭に正式出品され、コンペティション部門での脚本賞を含む3冠に輝いてきたメキシコの俊英ミシェル・フランコ。ごく普通の人間の人生がふとしたきっかけで崩壊の危機に瀕していく様を冷徹な視線で描いてきた彼は言う。「我々の暮らすメキシコに限らず、世界は極限状態に追い込まれている。まるで日々ディストピアに近づいているようにね。そしてパンデミックによって事態が更に悪化したことで、期せずしてこの作品は時代に即したものになってしまったんだ」と。これは広がり続ける経済格差とそれがもたらす社会秩序の崩壊、今まさに我々が直面している危機的状況を描くディストピア・スリラーだ。目を背けたくなる、それでも刮目せねばならない“最悪”のリアリティに、観る者の覚悟が試される86分を体感せよ。

映画「ニューオーダー」公式サイトから転載

映画の内容は以下の通りです。

何処の国の話なのかわからないのですが、メキシコ映画なのでメキシコなのかな? はじまりは主人公である若い女性マリアンの結婚パーティの日です。パーティに集まったのは、着飾った政財界の名士たちです。所謂、僕が嫌いな富裕層ですね。

パーティが行なわれているマリアンの家の近くでは、「貧富の格差に対する抗議運動」が行なわれていましたが、それは極限状態となって遂には暴動になってしまいます。その暴動は、拡大し、マリアンの家にも押し寄せてくるのです。

華やかな宴は一転して、暴徒による冷酷な殺戮と略奪という地獄絵図が繰り広げられるのです。難を逃れ軍部に保護されたかに見えたマリアンを待ち受けていたのは地獄でした。マリアンを保護した軍部も暴徒同様の、否、それ以上に異常残虐な人間たちでした。マリアンは軟禁され、兵隊たちに陵辱され、異常なる人間たちの本質に晒されます。しばらくして、これを終結させようと上層部の働きによって沈静化されたかに見えます。ようやく軟禁状態が解け、マリアンは解放されるのですが・・・。

救いようがない展開に「お!」と驚いてしまいます。まさかこんなことが起きようとは・・・。実に後味が悪い映画です。でも、こういうことがウクライナやガザで現実に起きているのです。僕たちは報道される一部の事象しか知らないのです。実は、そこで様々な地獄のような出来事が起きているに違いないのです。

監督はミシェル・フランコ、以前、観た「父の秘密」という作品の監督です。これも後味が悪い作品でしたが、2作品とも名作と言えるでしょう。理不尽なる出来事を解決できるのは人間であるのに、何もしない。罪のない多くの者が犠牲になった上で物事が収束するのは、まさに地獄と言えるでしょう。

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