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夜の中学管理人

かみさんが請け負った仕事は、近所の中学校に併設されているコミュニティセンターの鍵の開け閉め業務だ。通常は隔週の土日のみ午前午後明るいうちの管理だったが、いきなり新しい案件として平日水曜日と土日の19時から21時までの鍵の開け閉め業務が追加された。

夜の19時から21時というのは中学校だけじゃなく、とにかくすべての建物ってのは真っ暗なのだ。真っ暗だから昼間は見えないU0(幽霊のこと)なんてものが現れるかもしれないではないか?学校の怪談・・・トイレの花子さんなんかがひょいと「こんばんは」なんて現れて腰を抜かすなんてことがあるでしょ? そりゃ高確率で「ある」ことでしょ? 花子さんは多分、妖怪であるからそんなに怖くないけれど、それでも、いきなり突然として「ワッ!」なんて大声出されて現れたらびっくりするじゃん。驚くじゃん。

「会津の朱の盆」とか、人の命を奪う一部を除いた妖怪なら怖くないけれど、U0は怖いじゃん。リングの貞子とか呪怨の伽耶子とかさ、誰彼構わず呪い殺す無差別殺人U0・・・ん? よく考えたらこのふたりは妖怪だな。U0じゃないじゃん。現代ではU0と妖怪を一緒くたにしているからこんなことになっちまうんだよ(プンプン(゚Д゚)/)。

U0は、お岩とか番町皿屋敷のお菊とか「特定の人間&親族&関係者」に害を与えるモノですからね。あ、でも、特定の人間の前に現れるんだから、僕とかかみさんの前に現れることはないじゃん。そうでしょ?そうじゃん。ああ、安心した。ほんじゃU0見ることはないじゃん。再度安心したわ。

それでもさ、夜の学校なんておっかないじゃん。誰考えてもそうじゃん。

かみさんの仕事ってのは、中学校に併設されている市のコミュニティ施設の鍵の開け閉めなのよ。それはどこにあるかっつーと中学校の体育館の下の階にあるのよ。だからさ、昼間は体育館で中坊たちが運動してドタバタやっていいるから基本的にはU0や妖怪なんてモノは居着かないんですよ。

といっても、夜の施設はおっかないのです。そういえば総入れ歯、僕が独立した15年前に松戸の体育館の管理人として採用されたんだけれど、夜の体育館なんて恐怖の対象であるから丁重にお断りしたことがあったな。あの仕事をやっておけば、今のような貧乏になる事はなかったのよね。同時に僕が絵を習ったイラスト通信教育の営業マンとしても採用されたんだった。それも丁重にお断りしたんだったな。ああ、あの頃はまだ50代だったから我慢して働いていれば今のような貧乏になる事はなかったんだよね(しつこいね)。今じゃ近くのスーパーだって雇用してくれないからね。びっくりだよね。U0や妖怪よりも怖いのは人間だよ、高齢者を差別する人間だっつーの(笑)。

夜の学校ってのは恐ろしい
それでも学校には灯りが点き、恐怖心は薄れる。灯りは宿直の教師によるものである

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