夢の また夢【 前編 】
珍しく 電話が鳴り 見知らぬ番号だったが、寝ていたため うっかり 出てしまった。
聞き覚えのある声、そう 先日 退職した 飲食店の 榊店長【仮名】からで あった。
見知らぬ番号というのは、必要ないと 思い、登録から 消した為で ある。
話を聞くと
『 人手が足りないため、明日 手伝ってくれないか ? 』
と、なんとも 身勝手な 内容であった。
いや 人が 居なかろうが、辞めた人間を頼るのは お門違いだろうと 思いつつも、明日は 用事が なかったので 引き受けてしまった。
『 じゃ 明日 ○○時に 店に よろしく 』
夕方か、と 思いながら また 眠りについた。
しばらくして また 電話が 鳴り出した。
今日は よく鳴りやがる。
今度は、飲食店で 一緒に働いていた 春原クン【仮名】で あった。
『 お久しぶり です、フルタニ【仮名】 さん。
明日 一緒に みんなで 海に行きませんか ?』
唐突も 唐突で あった。
『 おぉ、元気!
海か イイね、何時集合なの ? 』
いや 待てよ、明日 ?
あぁ、店長と 約束してた、何故か 仕事だ (苦笑)。
『 ごめん、ごめん 明日 飲食店の手伝いだ 』
ん ?待てよ。
『 春原クン、今 何してるの ? 』
『 ネットの ベンチャー企業に 転職しました! 』
なるほど、繋がった。
春原クンが 辞めたから、尚 人手が 減った訳だ。
『 フルタニさん、店は 行かなくて 良いですよ 』
彼らしくない 言葉が、発せられた。
まぁ あの店長では、モチベーションも 下がって 当然と言えば わかる気がする。
私自身、退職した理由の ひとつに 店長と ウマが 合わなかったからも 含んでいた。
とは いえ、先に 約束したわけで、今から 断りの
電話を 入れたくなかったのもあり、しぶしぶ
『 やっぱ 店に行くわ、ゴメン 』
と 断った。
『 そうですか、わかりました。
ちなみに 朝6時に 駅の南口で、待ってるんで、気が向いたら ヨロシクです 』
と 電話が 切れた。
いや、わかってないやん (笑)。
午後の昼下がり。
さすがに 目も冴えてきたので、夕食を 作り、適当に テレビを 見て 早めに 眠りに ついた。
翌朝 電話が鳴り、出ると また 春原クンからだ。
『 おはよう ございます 🎵
海、行かないんですか ? 』
『 いや、昨日 行かないって 言ったよ、じゃ 』
春眠暁を覚えず、からなのか、やたら 眠くて 二度寝を した。
【 ピンポーン 】
インターホンと ドアの ノック音が 留まらなかったので、玄関に向かい ドアを 開けたら、春原クン が 立っていた。
― つづく ―
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