ドラクエ映画の件のいくつかの疑問点におこたえを
ドラクエ映画の裁判の件。
関心を持っていただき、ありがとうこざいます。
ひとりひとりのお声にこまめにおこたえできなくてすみません。
なかに、
なんでいまごろやってんの?
去年、公開当日に訴訟したんじゃないの?
あれはどうなったの?
あれとこれはどうちがうの?
など、
ずっと興味を持ってくださるゆえの、疑問のお声がいくつかありました。
さすがにこのへんについては、へんに焦らさず、お待たせせず、隠し立てもせず、きちんと説明しておいたほうが良い、と思ったので、申します。
はじめの訴状は、2019年8月2日に長野地方裁判所佐久支部に提出し、受理されました。
「製作委員会」が相手方、「非金銭」、「本人訴訟」と、先例が少ないかたちだったために、訴状に添付する「収入印紙」の額がなかなか決まらず、まず、何週間か、過ぎ去りました。
次に上田支部に移送となりました。著作権法関係事件は三人の裁判官が関わる「合議体」で行われるものと決まっているのだそうですが、佐久支部には裁判官がおひとりしかおられず、裁判が出来なかったのです。上田支部には(佐久支部の裁判官を兼任しているおひとりを含めて)三人の裁判官がおられ、合議体が成り立つのです。
このお引っ越しや引き継ぎに、なんだかんだまた時間がかかりました。
佐久支部に提出し受理された直後から、複数回、訴状訂正のご相談があり、複数回、訴状を訂正いたしました。最初の訴状が受理されたということは要件は満たしていたはずですが、裁判の進行をスムーズにするために訂正したほうが良い点をご指摘いただいて改めたほか、タイプミスを直す等もありました。
2019年11月。上田裁判所からご相談がありました。裁判の進行をスムーズにするために裁判所が関係者と相談するのは普通のことで、特に贔屓していただいた、ということではありません。
そこで言われたのは主に2点です。
「製作委員会」を相手方とするのは、法制度上は可能だが、実務上難しいので、相手方とする法人や個人を特定して欲しい、ということと、
「本人訴訟」も、法制度上は可能だが、実務上難しいので、知財裁判の「お作法」に明るい代理人弁護士を立てることを検討してほしい、ということでした。
日本では地裁扱いだけで年間約十数万件の民事訴訟があります。そのかなりの割合が本人訴訟なので、私にもできるかもしれないと思ったわけですが。
離婚や親権、相続など、多くの件数のある民事の「お作法」については、解説書が存在するようです。
しかし、知的財産権についての裁判はこれらに比べるとかなり少なく、あっても、あからさまなコピー商品に損害賠償請求をするのがほとんどのようです。著作権法の解釈をめぐる事件などというのは、ごくごくまれなもので、その「お作法」を勉強する方法は、残念ながらみつけることができませんでした。
かくて本人訴訟を断念し、知財に詳しい弁護士さんを探すことにしましたが、……難航しました。
まず、著作権法事件に実績のある弁護士さんや法律事務所の多くが、利益相反でした。
映画の製作委員会には大企業が名をつらねています。そのどこまでを相手方とするかは未定でしたが、相手方となる可能性が排除できない個人や法人と関係がある弁護士さんや法律事務所には、とうぜん、依頼ができません。
相談してみたところ、製作委員会そのものではないのだが、その子会社と過去にちょっとつながりがあったから引き受けることはできません、と言われたことなどもありました。
大きな法律事務所には、複数の弁護士さんが所属しておられます。事務所ぜんたいではなく、そのうちのおひとりでも、相手方と関係があれば、その事務所の他のどの弁護士さんにも、依頼できません。
この事件は大きな話題になりそうだから名をあげたいから無料で引き受ける、とご提案いただいたこともあります。
とうていお支払いできない桁の金額をお見積りとして提示いただいたこともあります。
ややこしい裁判をともに戦っていただくのですから、「なかま」になってくださるかたを、わたしは望みました。気持ちがつうじる、話がつうじる、ウマのあうかたを、探さなくてはなりませんでした。
法律事務所アルシエンの河野弁護士にめぐりあえるまでに、相当な期間を要しました。
河野弁護士のお力を借りつつ、方針を確認したり、相手方の範囲を検討したり、クラウドファウンディングの相談をしたりしているうちに、コロナ禍が起きました。不要不急のことは控えて、ステイホームでした。裁判所そのものが止まってしまった時期もありました。
そんなこんなで、
たどりついたのが、今回の提訴です。
ついに「ちゃんと」訴状を提出し、受理していただき、それを取材し、話題にしていただけました。
事件番号が、令和(ワ)の第92号。
「…惜しい。どうせなら、あといっこ後なら くみ だったのに!」
と私は思っています。
……という記事を用意していたら。
裁判所から連絡があり、今回の裁判も、上田支部にて行うことになりました。第一回期日や、新しい事件番号が決まりましたら、またお知らせします。
……なんと。事件番号変わっちゃうみたいです。こんどは何番だろう。どうか、ツキのいい数字がでますように。
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