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『NOPE/ノープ』やっぱり面白い!ジョーダン・ピール監督最新作(※重大なネタバレなし)

『ゲット・アウト』と『アス』が大好きで、ジョーダン・ピールが監督する映画には絶大な信頼を置いています。
徹底してネタバレしないようにされていた『NOPE/ノープ』も、予告やちょっとした情報を見るにつけ、早く観たくてたまらなかったのですが、残念ながら本作は試写の機会がありませんでした。

『NOPE/ノープ』

今だから言っちゃいますと、ある作品の試写を観に行った際、ロビーで前の試写が終わるのを待っていたら、前の回は限られた少人数の関係者のみで行われたと思われる試写だったようなのですが、出てきた人たちがとても大きな声で感想を言い始めました。
「スティーヴン・ユァンが…」と聞こえた瞬間、(やば、もしかして『NOPE/ノープ』の感想を言ってる…?)と思い、慌ててヘッドホンをしました。
それでも、ところどころ聞こえてくるので、(やめて~~、外で話して~~)という心の声を全身からにじませたところ、ようやく感想を言い合う会が終わりました。
次の試写の列には、私の次に男性が並んでいました。
その次に女性がやって来て、私と男性に「前の試写って何だったんですか?」と聞いたので、私と男性は顔を見合わせて「きっと『NOPE/ノープ』ですよね」「絶対にネタバレしちゃいけないと言われている映画なのに、大声でネタバレするの勘弁してほしかったですよね!」と、同じ気持ちだったことが分かりました。
「ヘッドホンをされたから、いいなぁと思いましたよ~。僕は持ってなかったから」と、その男性。
以前、『アベンジャーズ/エンドゲーム』の試写の前にも同じようなことがあって、その時にヘッドホンを持っていなかった私は耳に手を当てて、「わーわーわーわー」と言っていた記憶があります。
 
そんなことがありましたが、ほぼネタバレはシャットアウトしたまま、無事に映画館に行き、『NOPE/ノープ』を観ることができました。
どんな内容なのか分からないけれど、きっと怖いんだろうな…という気持ちと(実は怖い映画は苦手。観ますけども)、ジョーダン・ピールがどんなことを仕掛けてくれるのかという大きな期待が入り混じりながら、131分の本作に臨みました。


いやぁ、面白かった!!
よくこんな脚本を書けるな、よくこんな演出ができるな、よくこんな映像が撮れるな、というのが率直な感想です。
 
怖いシーン、エグいシーンは、たくさんあって震え上がりました。
でも、物凄く面白かったので、とても良い気分で映画館を後にしました。
 
こんなストーリーを思いつくなんて、やっぱりジョーダン・ピールは本物の天才だと思いました。


ダニエル・カルーヤは、今ではオスカー俳優ですが、本当に作品ごとに全くの別人というくらい、演技派ですよね。
ピール監督の『ゲット・アウト』の時とは、雰囲気も話し方も大きく異なり、牧場経営をするヘイウッド家の長男OJを演じています。
馬に愛情を注ぎつつ、経営が悪化する牧場をどうしたものかと悩んでいるOJ。
 
キキ・パーマーが演じるOJの妹エメラルドは、超ハイテンションで、やや暗めの兄OJと対照的。
広大な牧場の敷地では、エメラルドのように大声を出せる人は、遠くにいる人とも簡単にコミュニケーションできていいですよね。
キキは、そんなエメラルドを魅力的に好演しています。
 
ちなみに私も、自覚はあまりないのですが、声が大きくて通るらしく、飲食店などで注文する際、割と普通の声(本人の感覚)で「お願いします」と言うと、一度で来てもらえます。
まあ、学生時代、みんなで喋っていても、私だけ「静かにしなさい」と叱られていたから、相当大きいんでしょうね…。
なので、私もこの牧場でのコミュニケーションはうまくできそうだと思いました。
 
近年、絶好調のスティーヴン・ユァンは、元人気子役で、現在はテーマパークの経営者のリッキーを演じていますが、OJに牧場を買い取りたいと申し出ています。
リッキーがかつて出演していたシットコムは、お猿のゴーディの出演が人気でしたが、この番組はリッキーに“トラウマ”を残して終了しました。
 
そんな中、牧場周辺で不可解な出来事が度々起き、兄妹はカメラを設置して撮影を試みます。
その販売と設置を頼んだ家電量販店のエンジェル(ブランドン・ペレア)は、兄妹が何を撮影するのか興味津々。
このエンジェル、失恋したばかりなのですが、彼をフッた元彼女はCWのドラマに出ているそうで、「CWって何だよ」と悪態をつくのが面白かったです。
きっと若者に人気のドラマなんでしょうね(笑)。


子役、動物、シットコム、ドラマ、謎の物体、テーマパーク…。
様々な伏線が散りばめられ、後半にどんどん回収されていくのですが、ジョーダン・ピール監督なので、もちろん強烈な社会批判も込められています。
 
謎の物体の“解釈”がとても斬新で、これまで数多くのSF映画を観てきましたが、何度も言いますが、やっぱりピール監督しかこんなことは思いつかないし、こんな風には描かないだろうなと思いました。
 
妹エメラルドの見せ場もたまらないですが、兄OJをすっかり好きになりました。
ダニエル・カルーヤには、今後もまたピール監督作に出てほしいです!


怖くて面白くて、観て良かったと実感できる『NOPE/ノープ』は、現在公開中です。

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