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AIリテラシーとプロンプト力を磨こう

GPTにより注目される「プロンプトエンジニア」の仕事

ChatGPTの登場で注目されている「プロンプトエンジニア」という新しい職種についてご存じでしょうか。LLMと呼ばれるAI言語技術が実用化され、社会に普及する中で、AIへの指示(プロンプト)を工夫して、出力を改善したり、企業研修などAI活用の支援を行う人材が必要とされています。

Bloombergの記事によれば、AI開発企業だけでなくAIを業務に導入したい一般企業でも「プロンプトエンジニア」の需要が急増しており、高いものでは年俸4500万円の求人もでています。

AIを使用する際のガイドライン

ChatGPTをいち早くMBAの授業で全面導入した、ペンシルバニア大学ウォートン・スクールのイーサンマリック教授は「AIで書かれた優れた素材を作成することは、実際には簡単なことではありません。AI に意味のあるコンテンツを作成させるには、トピックの専門知識とスキルの両方が必要です。」といい、授業内でAIを使用する際のルールを以下のように定めています。

III. AI ポリシー
このクラスでは、AI (最低でも ChatGPT と画像生成ツール) を使用して構いません。実際、一部の課題ではAIの使用が必要です。AI の使用法を学習することは新たなスキルであり、その使用方法について Canvas でチュートリアルを提供しています。これらのツールについてサポートが必要であれば、オフィスアワーや授業後に喜んで対応します。

下記はChatGPTの限界についての注意点です:
・工夫のないプロンプト入力をしてしまうと、質の低い出力結果しか得られません。 良い結果を得るにはプロンプトを改善する必要がありますが、これには手間がかかります。
・出力結果について何も信用しないでください。数値や事実が示されている場合は、答えを知っているか他のソースで確認できるもの以外は正確な回答ではありません。AIツールのエラーや情報不足については、出力者が責任を負います。出力者が理解しているトピックについて出力するのが最適です。
・AIはツールですが、使用していることを認める必要があります。AI を使用する課題の最後には、AI の使用目的と入力プロンプトについての説明文を記載してください。この記載がない場合は学問的誠実性ポリシーに違反していることになります。
・AIツールが役立つ場面をよく考えてください。ケースや状況が使用に適していない場合には使用しないようにしましょう。

イーサンマリック教授のブログはこちら↓

出力結果を高める、良いプロンプトの作り方

DAIR.AIがオープンソースとして公開しているPrompt Engineering Guideでは、良いプロンプトの作り方を以下のように紹介しています。

プロンプトとは指示文のことで、ChatGPTなどのAIモデルを有効に活用するためにはプロンプトの形式が極めて重要だ。最適なプロンプト形式はタスクによって異なるため、さまざまな形式を試してみることで最良の結果を得ることが可能となる。以下のプロンプトは、その例である。

・冒頭に「あなたは○○です」と定義する
・具体的で詳細な解説を入れる(テキスト、スタイル、形式、結果、長さなど)
・先にいくつかの例を出す
・プロンプトの最初に指示を書き、### や “”” などを使って指示とそれ以外を区切る

OpenAIによる「確実にうまく機能するプロンプト」とは

「Best practices for prompt engineering with OpenAI API」という、下記OpenAIの記事では「トレーニング方法またはデータにより、特にうまく機能し、目の前のタスクによりよく適合する特定のプロンプト形式があります。 以下に、確実にうまく機能することがわかっている多くのプロンプト形式を示します」として、良い出力結果が得られるプロンプトが紹介されています。

Rules of Thumb and Examples
1. Use the latest model
2. Put instructions at the beginning of the prompt and use ### or """ to separate the instruction and context
3. Be specific, descriptive and as detailed as possible about the desired context, outcome, length, format, style, etc
4. Articulate the desired output format through examples (example 1, example 2).
5. Start with zero-shot, then few-shot (example), neither of them worked, then fine-tune
6. Reduce “fluffy” and imprecise descriptions
7. Instead of just saying what not to do, say what to do instead
8. Code Generation Specific - Use “leading words” to nudge the model toward a particular pattern

つまり下記点に注意すれば、プロンプトをうまく機能させ、求める出力結果を得ることができます。

1. 最新のモデルを使用する
2. プロンプトの先頭に指示を置き、### または """ を使用して指示とコンテキストを区切る
3. 希望する文脈、結果、長さ、形式、スタイルなどについて、具体的かつ説明的、また、できるだけ詳細に記述する
4. 例 (例 1、例 2) を使用して、目的の出力形式を明確にする
5. ゼロ ショットから少数のショット (例) で開始し、どちらも機能しない場合は微調整する
6. 「ふわふわした」説明や不正確な説明を減らす
7. 何をすべきでないかを言い、代わりに何をすべきかを言う
8. コード生成では「リード ワード」を使用してモデルを特定のパターンに向ける

日本語プロンプトの具体例を知りたい方は「ChatGPT研究所」の記事が分かりやすくておすすめです↓

まとめ

いかがでしたでしょうか?近年急激に進化が進んできたAIは、既に社会になくてはならないテクノロジーとして受け入れられつつあります。

AIが活躍するこれからの社会ではプロンプトエンジニアリングについての理解と、求める回答をAIからうまく引き出す「プロンプト力」が必須スキルになっていくでしょう。定期的に情報をアップデートしてAIリテラシーを高め、これからの社会に役立つスキルを鍛えていきましょう。


ChatGPTの基礎知識や、これからの社会に与えるインパクトについては下記スライドが勉強になります↓

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