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尾崎人形_佐賀_工芸思考

かわいいかわいい、尾崎人形。

佐賀県内陶磁器の中で歴史的に最も古く、700年以上の伝統を残す、尾崎人形。1281年の蒙古襲来の際に捕虜となったモンゴル兵たちが、人形を模した笛をつくり、遠い祖国を偲んで吹き鳴らしたのがはじまりだそう。
鳥の笛は祖国の方向にと、ちょっと斜めを向いてる。

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継承が一度途絶え、その後2009年に
最後の継承者のお手伝いをしていた62歳の高柳さんが、地域の人の薦めで継承した尾崎人形。

この地域は焼き物に適した土がとれるから、もともと火鉢を作っていて、その内職で人形、郷土玩具を作って売っていたけれど
火鉢の肥前尾崎焼の窯がすべて無くなり、人形でも生計をたてられないために継承者がつきにくく伝統は一度途絶えたそう。
一度途絶えた伝統を再現するために、今も昔の文献を探すし
天然の染料を使っていたのはわかるけど、実はどういう色付けをしているかはわからないことも多い。

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伝統をなぞるようでいて、白をメインで色付けして
いまのセンスでライフスタイルに合わせてる。
昔は地元のための人形だったから、佐賀ならではのモチーフがなかったけど、いまは敢えて佐賀のモチーフ(カチガラスなど)で作ってる。そして、売れてる。

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赤、青、黄色、黒で表現する尾崎人形らしさを探りつつ
みんなの考える既存イメージから外れないように
継ぐ、とは何か、を考えさせられる、という。

「好きな人が継承できるようになったらいい。」
と漏らした佐賀一品堂の城島さん(高柳さんの次の継承者)の言葉が、
ものすごくカジュアルで素直にいいなぁと残った。
ものすごく楽しそうに、訪問者に懐くように話す高柳さんがかわいくて

尾崎人形、かわいい。

お時間いただきありがとうございます。