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工芸思考

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工芸思考で訪れた場所、工房、対話の備忘録。 工芸思考とは、物で受け継がれていく価値を対話で解き明かしていく活動です。
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#佐賀

尾崎人形_佐賀_工芸思考

かわいいかわいい、尾崎人形。 佐賀県内陶磁器の中で歴史的に最も古く、700年以上の伝統を残す、尾崎人形。1281年の蒙古襲来の際に捕虜となったモンゴル兵たちが、人形を模した笛をつくり、遠い祖国を偲んで吹き鳴らしたのがはじまりだそう。 鳥の笛は祖国の方向にと、ちょっと斜めを向いてる。 継承が一度途絶え、その後2009年に 最後の継承者のお手伝いをしていた62歳の高柳さんが、地域の人の薦めで継承した尾崎人形。 この地域は焼き物に適した土がとれるから、もともと火鉢を作っていて

名尾手漉き和紙_佐賀_工芸思考

名尾手すき和紙。 山に囲まれた名尾は、農地が少なく貧しいから、紙漉きの技術を導入して和紙づくりをはじめる。350年前から工房を開放し、問屋不在で自分で売るスタイル。 ↑訪問者のための和紙づくりの工程を説明したパネル。 機械化による紙の大量生産が普及し、100軒あった和紙やさんも、35年前に最後の1軒、谷口家のみになる。 名尾手すき和紙は、カジノキの長い繊維を激しく振って絡ませるため、薄手で丈夫。提灯用の紙をはじめ、番傘、合羽、障子紙に使われる。 たった一軒残った谷口家

藤巻製陶_佐賀_工芸思考

1775年には有田での開窯が確認されている 磁器の窯元、藤巻製陶。 とても目立つフジマキの煙突を サンタクロースがよじ登ってました。 地元の電力会社さんが忙しくないときに頼んでサンタさんを設置してもらうそう。 技術の流出を防ぐために、お上の意向で 分業制で有田焼の産業は育ち、江戸の鍋島藩が定める17窯場のひとつが藤巻製陶でした。いまは一貫生産で、白磁や青白磁等の淡い青みがかった釉薬を施した磁器を主に制作しています。 いまや藤巻製陶を知らしめる青白磁は、先代(九代目)が 絵