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株式会社ジェイテックコーポレーション 代表取締役社長 津村 尚史さん

オンリーワンの技術で広く社会に貢献する装置メーカー
大学で発明された技術の量産化と大学の研究を効率よく進めるための装置の開発を担い、日本が最先端技術を生み出す後押しをしている同社。このユニークな存在はいかにして生まれたのか。

1)ナノレベルまで光を絞る鏡を製造・販売

藤沢:藤沢久美の社長Talk、今日のゲストをご紹介します。今日は東証マザーズ上場企業です。証券コードは3446の株式会社ジェイテックコーポレーション代表取締役社長、津村 尚史さんです。津村さん、よろしくお願いします。

津村:よろしくお願いします。

藤沢:はい。お仕事がすごく難しくて、放射光施設用X線ミラーの設計・製作及び販売、これちょっと説明していただいていいですか?

津村:はい。放射光施設というのは、なかなか皆さんではわかりにくいかと思うんですけど、放射光を使ってその光で色んな物質を分析したりする施設がございまして、そこで使われるときに、その放射光を細かなナノメートルレベルまで集光するためのミラーを製造・販売しております。

藤沢:簡単にいうと、鏡をつくっていらっしゃる会社なんですね。

津村:そうですね。要はレンズで光を絞るのと同じような作用をミラーでやろうというところです。

藤沢:よく凹レンズとかがあって、凹レンズに光を当てると、光が集まって光線みたいになりますよというのを、子どものころ学びましたけど、あれのものすごくレベルの高いやつをつくって。

津村:そうですね。その凹面のレンズ、今ミラーですけど、それを2枚使って縦と横それぞれ別々に光を集めるというものです。

藤沢:すごい技術だそうで、少し事前に伺ったら、普通だと弱い光のものを集めるというのを、どのくらい集めるんですかと聞いたら、髪の毛の10万分の1?

津村:そうですね。髪の毛の10万分の1ぐらいの大きさまで放射光を絞るということです。

藤沢:光を絞るという、そういう技術を持ったミラーをつくって売っていらして、これが世界のそういう研究所にも買われている。

津村:日本ですと、兵庫県にあるSPring-8、あるいはSACLAという自由電子レーザー施設がございまして、それが世界各地に大体70か所ありますが、そのうちの先端的なところで大体20か所ですけども、ヨーロッパ・アメリカ、それから東アジアにございまして、そこに納入しているというものです。

藤沢:いや、すごいことで、じゃあ、どういうときに使われているのかというと、SPring-8で有名なのが和歌山の。

津村:そうですね。昔で言えば、和歌山のカレー事件のヒ素を同定したと。最近ですと、はやぶさが持ち帰ったりとかの微粒子解析です。そういうのをやられていますが、今、最も力を入れられているのは、医療、創薬、そのあたりの基礎研究に使われていますね。例えば、細胞のイメージングとか、タンパク質の結晶化を解析するところです。ただ、そういう基礎研究だけでなくて、例えば民生なんかですと、ガムとか化粧品とか、あるいはタイヤの開発とか、そういった企業もそういった製品の開発も、この放射光施設でやられています。

藤沢:いまどき新しい素材開発とかものの開発とかになってくると、細胞レベルというか、ナノレベルで色んなことを見ていかないといけなくて、そのためにはこのミラーがないとできない?

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