南谷社長_note_

株式会社シノプス代表取締役 南谷洋志さん

需要予測で、世界中の無駄を10%削減する
人に頼まれるとそれについつい応えてしまう南谷さんの波乱万丈の起業人生は、振り返ってみると無駄がない。世界を見据えたビジョンを掲げ、流通小売に革命を起こす予感満載。

1)9割の確率で、確かな需要予測をするシノプスくん

藤沢:藤沢久美の社長Talk、今日のゲストをご紹介します。今日は東証マザーズ上場企業です。証券コードは4428、株式会社シノプス代表取締役、南谷洋志さんです。南谷さん、よろしくお願いします。

南谷:よろしくお願いします。

藤沢:シノプスって、もうすごくかっこいい社名ですね。

南谷:そうですか。ありがとうございます。

藤沢:知的な感じが。

南谷:そうですか。この(名刺の)裏のロゴも、なかなかかわいいでしょう。

藤沢:そう。ロゴがすごくかわいくて、キャラクターがいるんですよね。

南谷:そうですね、シノプスくんというキャラクターが。作ったんですけど。

藤沢:これがメチャクチャかわいくて。私はウェブサイトを見て、すごくかわいいなと、ずっと見ていたんですが、このシノプスくんは目が無限大マークで、でも、メガネっぽくて、なんか「見る人」ですよね。

南谷:そうですね。初めはデザイナーさんが作ったときは、目がもうちょっと正面を、ずーっとエイエンを見ていたんですよ。これはちょっといやだと言って、ちょっと寄り目にしてもらって、「見られている感」を出してくれと言って。

藤沢:メチャクチャ「見られている感」がします。なんか目が合っている感じ。

南谷:合っている感じでしょう。

藤沢:する。

南谷:そうそう、そうです。

藤沢:で、このシノプスくんは、何をしてくれる人なんですか?

南谷:需要予測をして、在庫をいつも最適化に導いてくれる人なんですよ。

藤沢:需要予測ですか。

南谷:はい。過去のデータから日々全単品、一つずつの商品を、あした・あさって・しあさって、場合によっては1か月先とか半年先とかまでを、もちろん台風の進路予測と同じで、先へいくほど外れやすいんですけど。でも、毎日その需要を過去の2か月とか3か月の売れ筋のデータを基に、これから先を精緻に予測し続けるんですね。

藤沢:すごい。それは、つまりお店?

南谷:はい。

藤沢:小売屋さん、小売店さん。

南谷:今のメインターゲットは、小売さんですけれども、消費税を扱うすべての流通業がわれわれの最終ターゲットなんですよ。

藤沢:じゃあ世の中で売っている物が、これからどれぐらい売れるかというのが予測できちゃう。

南谷:もちろん神様でもないので100点満点ではないですけど、大体統計学だと3分の2当たればいいとされているんですよ。われわれはそれをドンドン高めていって、お客さんによっては、あるいは場面よっては9割以上当てるし、悪くても85%は当たっているんじゃないかなと、今は思っています。

藤沢:すごいことじゃないですか。

2)作る・卸す・売るの「不足」と「余剰」を防ぐ技術

南谷:これはでも、ベースは統計学という学問があるんですね。統計学をベースにして在庫管理学というのがあるんですよ。それをずーっと、それをもう戦争のときから、ロジスティクスって、その武器弾薬とか食料を前線に送る、その兵站ロジスティクスという概念があるんですけど、それからきている統計工学の一指標なんですね。それが在庫管理学にはきていて、その統計学を駆使して在庫を最適に導くというような、そういう学問、最近はあんまり皆さんやっていらっしゃらないんですけど、私は大学の卒論のときに、そういう学科があって、私も大学の卒論のテーマが「在庫管理とそのシミュレーション」というので、需要予測をしていたものですから、それがちょっと色んな変遷があって、大学を出てから10年間ぐらい全く携わってなかったんですけど、あるきっかけで、またやらせていただくことになって、今に至っているんですよね。

藤沢:その在庫管理だとか、それから需要予測をする、こういうシステムを色んなところに売っていらっしゃるということですか。

南谷:そうですね。今は、メインターゲットは食品スーパーさんとかドラッグストアさんとか、小売業さんがメインなんですけど、これは流通3層と言いまして、製造業、販売とか配送をやっているところ、それとあと小売業さんという、その3層、流通3層というんですけど、それすべてに適応は可能なんですよ。ただ、中のロジックは基本的には全部需要予測です。小売さんは小売さんなりに賞味期限が短かったり、毎日チラシを打たれたりするので、結構値段も暴れるんですね。それと台風だとか地震だとか、色んな様相があったり、近所でライバル店が特売をやられたりすると、色んな不確定な変動要因で、ころころ毎日のように状況が変わるんですね。ですから、コアは需要予測なんだけども、それをモディファイといいますか、取り巻く色んなロジックは追加にはなります。でも、コアは需要予測のエンジンです。でも、卸事業は卸事業で、そのコアは需要予測、同じようなエンジンなんですね。ただし今度は、配送するためにトラックにいっぱい詰めないと、ロジフィー、空気を運んじゃうと彼らは意味がないので、1台トラックが出て1万円のお金なのか、100万円積んでいくかで、ずいぶん違うじゃないですか。

藤沢:はい。

南谷:当然、効率も落ちますからね。ですからパンパンに詰めたいわけですね。特に紙、例えば、ティッシュペーパーだとかトイレットペーパーという軽い物は、とにかくいっぱい詰めないと駄目なんですよ。ということは、需要予測なんだけども、今日は要らないけども次に配送で出るトラックの分は、ここへもう乗せちゃえと。賞味期限が別にあるわけじゃないような物は特にね。そういうようなことで、またちょっとモディファイされているわけですよ。製造業になると、今度はラインのその組み立てが、このヨーグルトを作っているけど、別のヨーグルトを作るときに一回全部洗って、バナナ味からイチゴ味へ変えるときは、清掃に相当時間がかかったりするじゃないですか。

藤沢:はい。

南谷:そういうことをやるとなると、一回これは原材料も含めて最高の効率のためにある程度、どこまでかわからないけど、作ってしまわないと駄目なんですよ。で、次はできるだけ短いサイクルで中身を入れ替えるみたいなことを、10回もやっているんじゃなくて、1回で終われよみたいな世界になるじゃないですか。これもやっぱり別の意味の効率なんですね。だから、目線がみんな違うんですけど、でも、需要予測の精度が高ければ、その回数も短くなるし、トラックの運ぶ効率もよくなるし、お店も台風が来るのにパンパンに賞味期限切れそうな物を並べるみたいなことをすると、全部値引きシールを貼るし、最悪廃棄しちゃう。食品のロスは、今、色々問題になっていますけど、ああいうふうになっちゃうじゃないですか。みんな目線は違うんだけども、ベースは需要予測なんですよ。

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