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深読み自民党総裁選〜この選挙、誰の得になる?

自民党の総裁選が始まる。「私には関係のないことだわ」と思ってもいられない。自民党総裁は総理大臣を選ぶ選挙でもあります。少なくとも今の状況ではそうなります。さて、あなたが選ぶとしたら誰に1票入れますか?

お金のかからない選挙?

逢沢委員長は8月20日の記者会見で「お金のかからない総裁選」にしたいと発言。SNSで会見の様子を見ていた私は思わず「それは無理でしょう!」。選挙にかかるお金の問題は、問題が発覚し、メディアがこれを叩き、公職選挙法が改正されてなにがしかの規制や罰則が付加されるのだけれど、毎回のことで、ニュースを見ているだけで嫌気がさしてきます。

それが「総裁選」となると、更にたちが悪い。何がって、総裁選は党内の選挙だから公職選挙法は適用にならないのです。つまり、やり放題。どんなに党内規則を作ったとしても、内内でどうにでもできる。やはりまたやり放題?

郵便物をやめてSNSに?

告示後パンフレット等の配布は禁止といっても事前には規制がないなら、その前はやり放題。それでも「いたずらにお金をかけることないように」とのメッセージを出したのですが、その対応策としてSNSの活用を挙げているのです。タダだから。SNSは頑張れば全部自分でできてタダ=「お金のかからない政治」
???

今回は「ザマッチ」と銘打って1万枚のポスターを作り各都道府県連に配布するとのことですが、これ自体、既にお金はかかっています。党本部と候補者個人とを切り分けたところで、逢沢氏のいう「お金のかからない総裁選」とはならないのではないかと思うのです。

SNSはお金がかからない戦略?

では、候補者と目されている方々はどんなSNSを活用しているのか、ちょっと見てみました。以下、8月21日23時の段階でざっと確認したものです。

小林鷹之氏 


→キャッチコピー「自民党は生まれ変わる」「世界をリードする国へ」
→自身の公式H Pに総裁選特設サイトを増設
→X(6.2万人)総裁選での利用は、前回は高市代議士を支援。その後、自身の総裁選選は固定ポストのみ(8月21日現在)
→YouTube(8.77K)
→F B(3982人)2023年10月22日が最後
→インスタ(3336人)食べ物、お祭り関係中心

河野太郎氏


→公式H P内のブログ「ごまめの歯ぎしり」定期的にアップ
→X(256万人)圧倒的
→F B(55,058人)
→インスタ(7.2万人)

高市早苗氏


→X(64.1万人)
→F B(2.3万人)アクティブ
→インスタ(5.2万人)F Bと同内容が多い。
→YouTube(264k)強み。

小泉進次郎氏


→公式H P内のブログ(活動報告)
→F B(31万人)
→YouTube(4.66K)
→インスタ(16.4万人)ただしH Pとリンクなし

林芳正氏


→X(1.9万人)
→F B(4325人)
→YouTube(247人)
→インスタ(239人)

上川陽子氏


→公式H P内にて活動報告が中心 映像もH Pでのライブラリ
→X(3.6万人)

石破茂氏


→公式H P内にチャンネル「イシバチャンネル」を公開
→公式ブログ アクティブ
→X(20.4万人)
→F B(20807人)
→インスタ(1.3万人)

SNSは総裁選で勝ち抜くために有効なアテム?


ここまで見て、改めて思ったのですが、要するにフォロワーが多いとアピールが届きやすいというのはその通りですが、総裁選では、自民党支持者である自民党員にどうアピールするかですよね。今のフォロワーが自民党員とは限らない。SNSを活用することが総裁選の結果に直結するとは考えにくいです。マスコミに対するアピールにはなるのでしょうけれどね。

戦略深読み


各候補については、結局誰がどんなに頑張っても、現在のフォロワー数に頼るしかない。だったら、河野氏、高市氏、小泉氏の有利にしかなりません。過去の総裁選から見ると、地方票は、石破氏、高市氏、河野氏まで。小泉氏は未知数だけれども知名度から有利と見られてはいます。ここで、小泉氏の票を割ることで有利に立とうとすると、スペックの近い候補者を立てるのは常套手段。実際の選挙ではお金さえあれば使われる手でもあります。

石丸氏が都知事選に出た意味


東京都知事選挙での石丸氏の登場について私はこう思っています。現職小池都知事陣営からすると、現職批判の代表たる蓮舫氏が目障りである。叩き潰したい。だとしたら、蓮舫氏に集中している「現職批判」の票を割る。しかも蓮舫氏を3位に叩き落すことで2度と浮上させない程のダメージを与えたい。これに与したのが「石丸氏」の登場でした。現職票を割り2位に浮上させることで、蓮舫氏を落とし込みました。作戦は成功したのでしょう。「選挙は違法でなければ何でもやる」。昔、政策秘書の大先輩から言われた言葉が蘇った選挙でした。

これを、今回の総裁選に当てはめて考えてみると、小泉氏の人気を削いでいくために、スペック(持っているアピールアイテム)の似ている候補を立ててその票を剥がしていくことをするんだろうと思っていました。

総裁選は「決選投票の二次で勝ち抜ける」という作戦を実現するには、2位になりそうな候補を3位に叩き落す必要がある。前回の総裁選をふり返ってみてもこの見方はそう間違ってはいないと思うのです。


自民党は、これまで通り広告会社に依頼した時点で既にお金がかかっているし、広告自体がこれまでの自民党の実績をアピールしている焼き直しにしか見えません。古い政治家の写真をコラージュしたポスターからは、裏金疑惑の印象を払拭する「新生自民党」の新らしいクリーンなイメージも見えてきません。期待していた支持者はガッカリしているのではないでしょうか。

こうしてみてくると、やはり自民党は「総裁選」をダシにして、衆議院解散総選挙、来年の参院選への自民党のイメージの回復を狙っているだけなのかと思ってしまいます。政党としてやるべきことはこれくらいしかないというのも分かりますが、もう少し練ってほしかった。今回の自民党総裁選は、候補者の心情は別にして、もう既に党本部として、イメージアップを狙いたい思いが透けて見えすぎて、期待したい人の気持ちさえそいでいるのではないかと。

この次は、各候補者のイメージ戦略について解説します。
久々のNOTEでした。

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