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能登地震から発災2週間。正解は一つではない中で、小さな希望をみんなと作る

地震の発災から二週間たちました。相変わらず、珠洲市・輪島市を拠点に生活しながら、カタリバチーム総力戦で、こども支援軸に特化した複数プロジェクトを動かしています。

いま、被災した地域である能登半島から外に出て、二次避難先に行く人がとても増えています。水道の復旧が相当後になりそうな見込みで、知事からも二次避難の推奨メッセージが出されました。

いま私は輪島市にいるのですが、先程お話ししたお母さんは「こっちでやっていこうと思ってたけど、さっき立ち話で久々のママ友に会って、出て行くと聞いた。そろそろちゃんと考えないと。でもお年寄りばかり残っててだれが支えるのかと思うと、、。」と言ってました。

こちらで生活していると、こんな大変なことがあった今でも、この自治体というより、この地域(集落単位)にいたいという方々が一定数というか、かなりいらっしゃる感覚があります。昨日、珠洲市の避難所で話していたおばあちゃんは、「ここで生まれてここでずっとやってきた。最後までいたいんだ、だけどこの状態が続くのはつらい。どうしたらいいのかわからない、でもここにいたい」とおっしゃっていました。また、行政職員のご家庭など、どうしても家族の誰かが残らなければいけないならこんな時だからこそ全員でここにいようと(今のところは)決めているという家族もありました。

ここに残る人がいる以上、学校も再開が待ち望まれています。カタリバは、珠洲市との間でこどもの支援に関する包括協定を結ぶ方向で合意し、学校再開に必要なストーブと体育館用のジェットヒーターを60台と、毎日100タンク使う想定の灯油を、セーノーホールディングス(株)様と協働して配備しました。私たちは現地にいて、細かなニーズを把握します。セーノーさんはモノの手配と現地までの運搬をお願いします。下記のストーブは、1日で手配をしてくださって、現地まで2日以内に届けていただきました。餅は餅屋です。「今、金沢出ました」「今、穴水を過ぎたあたりとのことです。一旦体育館からは我々が先導します」などと、中継地点の途中からものの輸送がmessengerのグループで報告を受けていたのですが、すさまじいプロフェッショナルなお仕事本当に、涙が出ました。ありがたい連携です。
これから、その他の壊れてしまった備品や学用品も、ニーズの調査を行い、連携して手配します(ここにも皆さんから預かったご寄付を活用しました)。
また同様に輪島市、石川県教育委員会ともそれぞれ協定を結ぶ方向で合意しました。

一気に手配に運び込んでくださった
セーノーホールディングスの方々

一方で昨日今日も、多くの方々が1.5次避難や、2次避難をなさっています。輪島の孤立エリアからはヘリで集団移動もありました。

また、金沢には、たくさんの方が避難されています。とにかく地元を出てきてみたけど、ここにコミュニティもなく、行く場所もない。
誰も知らないホテルで暮らしはじめて、生活環境は良くなったけど孤独感は増しているという声も聞きました。正解は一つではありません。
正解は、家族ごとに違い、判断をゆだねられています。

カタリバメンバーは、珠洲市と七尾市に拠点を置きながら、能登町、輪島市、金沢市などを縦横無尽に動きつつ、その地域地域の方々と一緒に、こどもたちとその家族のサポート活動をしています。皆さんが被災者でありながら、本当に熱心にこどもたちのために取り組もうという方々と協業で来て、ありがたいです。

住んでいた地域に残っても、ここから二次避難先に移動しても、どこにでも安心できる【みんなのこども部屋】という親子の居場所がある当たり前を目指しています。地域ごとの素晴らしいパートナー団体の方々と一緒に、七尾市、珠洲市2箇所、能登町、輪島市、金沢市で開設しました。

みんなのこども部屋のある場所

こどもたちが安心して遊べる環境があることは、保護者が次の選択をするためにとても大切です。他人の家族と長い期間、学校なの教室や体育館などを共有し過ごすことはとても大変なことです。いまはまだ、ほとんどの避難所がパーテーションもありません。そんな中で、こどもに、「走るな」「騒ぐな」「危ないからここにいて!」と、他人の目を気にしながらこどもに叱り続けないといけないのは、ただでさえたいへんな時に、親子の関係性を壊してしまいます。

珠洲市のこども部屋(2か所運営)。NPO法人ガクソーとカタリバチームで運営しています。被災して再開の見通しが立たない保育園の保育士さんも、2名づつ出勤をしてくれています。
七尾市の避難所の図書館に設置したこども部屋。絵を描きたい子、勉強したい子、遊びたい子、さまざまです。
七尾市の居場所は、NPO法人ROJEさんと、NPO法人第3職員室の皆さんと一緒に運営しています
能登町のみんなのこども部屋。能登町高校魅力化プロジェクトの方々から「うちでもやります」と連絡をいただき、後方支援をしています。高校生たちとスタッフの皆さんが、とても暖かい場所をつくっています。
能登町。いつも顔見知った方々とここで会えることが、こどもたちの心の安定になっているように思いました。
輪島市の避難所に開設中のこども部屋。避難所に呼びかけ、避難所の中にいる方々と一緒につくりました。


避難所でのよびかけ。これをもってスタッフが、子どもたちがいる場所にお知らせをしています。

こども部屋の運営に関わるすべての資金は、全国の皆様方から預かった寄付金でまかなっています。信じて託していただいた皆様、本当にありがとうございます。まだまだ厳しい状況は続いています。どこかでしっかり報告会させてください。

【プロジェクトパートナー】
NPO法人ガクソー (珠洲市)能登高校高校魅力化プロジェクト(能登町)わじまティーンズラボ (輪島市)ROJE(七尾市)第3職員室(金沢市)セーノーホールディングス(株)


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