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鳥獣被害対策用の電気柵施設における安全確保について (愛川町日記 2015年7月28日より転載)

静岡で「電気柵」での悲しい事故が起きた。

まだ捜査途中のようだが、管理や電気柵の捜査について、一概に「事故」では片付けられないような様相だ。

これをうけてか愛川町ホームページに以下のようなトピックスが掲載された。
以下、引用。


鳥獣被害対策用の電気柵施設における安全確保について

侵入防止柵の一種である電気柵を施設する場合、安全確保は極めて重要です。

電気事業法(昭和39年法律第170号)に基づく、電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号)第74条の規定では、その施設にあたっては感電又は火災のおそれのないように施設することとされており、農業者自らが施設する場合を含め、感電防止のための適切な措置を講じることが必要です。

具体的には、下記の項目を守ることによって感電を防止できますので、感電防止に向けた適切な対応をお願いします。


1・電気柵の電気を30ボルト以上の電源(コンセント用の交流100ボルトなど)から供給するときは、電気用品安全法(昭和36年法律第234号)の適用を受ける電源装置(電気用品安全法の技術基準を満たす、電気柵用電源装置)を使用すること。

2・上記1.の場合において、公道沿いなどの人が容易に立ち入る場所に施設する場合は、危険防止のために、15ミリアンペア以上の漏電が起こったときに0.1秒以内に電気を遮断する漏電遮断器を施設すること。

3・電気柵を施設する場合は、周囲の人が容易に視認できる位置や間隔、見やすい文字で危険表示を行うこと。

鳥獣被害対策用の電気さく施設における安全確保について(農林水産省ホームページ)


引用、終わり。


愛川町生まれでなく、鳥獣の被害の少ない九州の港町生まれの私なぞは電気柵を見たことなかった。

以前、このブログで書いた「ハザードマップを片手に」で、愛川町の山沿いを歩き初めて「電気柵」を見た。

今回の静岡と違いしっかりと管理・運営された電気柵であるが。

愛川町の鳥獣被害は大きい。



(「愛川町鳥獣被害防止計画」より)

農林水産省のホームページによると、全国の野生鳥獣による農作物への被害額はおよそ200億円。

そのうちの6割が獣類、4割が鳥類。

獣類では9割がイノシシ、シカ、サルによるもの。

愛川町でもその数字の範疇にある。

一夜にして丹精こめた農作物を失う。

生産者にとっては、その無念さは筆舌に尽くしがたいだろう。

愛川町の対策としては

・捕獲
・追い払い
・防護柵

が挙げられる。

これらの対策は動物愛護の観点から見ると、それはそれで異論があるだろうが

今回の話の着地点は「鳥獣被害」である。

そして、防護柵に限って言えば

広域獣害防止電気柵の設置
平成21年度 1,662m
平成22年度 681m
平成23年度 400m
平成24年度 347m
平成25年度 179m

と増え愛川町の中に総延長5,467mを設置。

それに伴う獣害防除柵等設置費補助金は

平成21年度 12件
平成22年度 7件
平成23年度 7件
平成24年度 5件

と新規の設置は減少している。

「ジビエ」など地方自治体は様々な鳥獣対策を講じているが、どれも今ひとつ効果は無い。

相手は生き物である。

移動しているし、智恵もつけてくるであろう。

愛川町だけではなく、周辺自治体との連携は不可欠だ。

そして、「鳥獣被害根絶」は生態系の維持などを考えると不可能に近いのだ。
共存・住み分けなどで「ゼロへ近づける」事はできるだろう。

「追い払い」、「電気柵」などで根気よく鳥獣を人里に近づけない方法を講じていかなくてはならない。

高齢者が目立つ農作物生産者だけにそれを任せるのではなく、それなりの組織をつくり、一過性の対策でなく、連続性のある対策を練っていかなくてはならない。



鳥獣たちも生きていく手段として人の住む場所へと降りてくるのだ。
そして、人間も生きていく発展の過程の中で動物たちの縄張りに近づいていった。

ともに生きていくために仕方ない行為

ということを忘れてはいけない。

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