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第三回愛川町国民健康保険運営協議会(愛川町日記 2016年2月6日より転載)




第三回愛川町国民健康保険運営協議会


愛川町民生部国保年金課国保年金班
2月5日 19時から 町役場第201号会議室


第48回立志式



2月5日。
今年で48回目となる「愛川町立志式」
今年も取材をしました。

いいですよね、立志式。

愛川町の中学二年生による「誓いの言葉」は、いつも目頭が熱くなります。
歳かしら。

私から中学二年生に贈る言葉は

「数字だけを信じるな」

ですね。


数字とグラフのみの資料・・・

いやいや。
特に深い意味はないです。

私自身が「数字」が苦手なんです。
「算数」が「数学」に変貌を遂げたときから、私の「生活レベルの数字アレルギー」が発症しています。

「数字」で表すは確かに直観的で便利ですが、あまりにも無機質なところのあって、その冷え冷え感が肌に合わないです。

今回の久しぶりの審議会は

「国民健康保険」に関して。

頂いた16枚に及ぶ資料は「文字」よりも「数字」が多い強者です。

ちなみ、今回の資料も有料(1枚10円)なんで帰りに160円払いました。

ちょっと横道にそれますが。


審議会でもらう資料は、なかなかの優秀です。
見やすいし、無駄なものがないです。

町の議会はどこか「大雑把」(最大公約数を取り扱うという意味で)な感じですが、審議会は一つの部門に特化し、町の有識者や町外からの専門家を交えて構成していることが多く、資料と合わせて議事を見ていくと、かなり特化した知識がついてきます。

だから、私は「何故有料?コピー代って?」と多少の小言をぶつぶつ言いながら小銭を出し、資料を持って帰っています。

なので、事務局の皆さん。「おつりの小銭」と「領収書」は用意しておいてくださいませませ。
あたふたしすぎです(笑)


(案)







さて。審議会スタートです。

審議会はすでに2回終了、今回は3回目です。

ちょっと待てよ・・・。

そもそも「国民健康保険」って?


<日本における国民健康保険(こくみんけんこうほけん、英: National Health Insurance)は、日本の国民健康保険法に基づき、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して、必要な保険給付を行い、社会保障及び国民保険の向上に寄与することを目的とする法定強制型の医療保険である。 
主に市町村が運営し、被用者保険などとともに、日本におけるユニバーサルヘルスケア制度の中核をなすものである。
医療保険事務上の略称は国保(こくほ)と呼ばれ、社保(しゃほ)と呼ばれる被用者健康保険と区別される。日本の人口のうち27.5%が市町村国保への加入者、2.5%が国保組合の加入者である(2011年)>(引用)

加入者は日本の人口の27.5%なんですね。4分の1なんだ。

愛川町の国民健康保険は
平成20年度加入者は14849人(人口43714人)と加入率34.0%で、そこからほぼ横ばい。平成27年度は13472人(人口41197人)で加入率32.7%。平成26年度の一人当たりの医療費は神奈川県(259084円)よりちょっと高い261391円です。

ね。
数字ばかりでしょ。

今回の審議会のメイン議題は「平成28年度国民健康保険特別会計予算(案)」の承認です。

まずは事務局から直立不動で説明スタート。

渡辺基会長から「座って説明してください。長くなるので」と促され、事務局着席。

そうなんだ。やっぱり長くなるんだ。




ま、いろいろありまして。ご覧の通りです。
3回目なんで、今までの2回でいろいろ話し合われた結果でしょうし、今後議会などでもまれる事でしょう。



「加入者」と「保険料」




メインはこの案の承認でしたが、私としては質疑応答が興味深かったです。

まずは「加入者」

先ほど「数字」を出しました。

平成27年度は13472人(人口41197人)で加入率32.7%。

国民健康保険だから社会保険の方は別の数字あるのでしょう。

愛川町保険加入者は8割が年収300万円以下で、65歳以上の方や職を離れた人が多いそうです。

となると。「国民健康保険」「社会保険」などにも加入していない「未保険」の人たちも当然いるのでは?

事務局「町としては保険未加入者の実態を把握していない」。

これはちょっと意外。




愛川町の収納率は上のグラフの様に近年最低の平成20年度の86.41%から平成26年度には実に5%も上昇する91.42%。収入未済額も年々減少しています。

当然これは「収納率アップ」の町の努力でしょうが、「加入促進」は全く手をつけていないということですかね。
確かに様々な環境があり、信念があり、「加入できない」ひともいると思いますが、その「数字」は町でわからないのですね。

ちなみに。収納率91.42%は神奈川県の市町村では18位(1位は松田町94.53%)で、市町村平均の91.32%とかわりません。


そして、今回の質疑応答で一番盛り上がったのは

「保険料」です。

愛川町の保険料は87218円(一人当たり)

実はこれかなりの「格安」です

湯河原町の128566円が一番高く、神奈川県下の市町村平均は103887円。
愛川町の保険料の高さは神奈川県下33市町村のうちなんと32位。
わかり易くさかさまにすれば、神奈川県では座間市(81827円)の次に愛川町の保険料が安い、ということです。


じゃあ、なぜここまで「保険料が安い」のか?

確かに「町行政の努力」はあります。
しかし、それは薄く敷かれた要因のようです。

税率で見ても
愛川町8.91%、厚木市9.41%(一人当たりの税額97937円)、相模原市8.25%(同93736円)と愛川町が極端に税率が低いわけでもないのです。

もうからくりはお気づきですね。
愛川町は税率のベースとなる「一人当たりの所得」が低いのです。

これが大きな要因です。

そして

これが大きな原因となりうることが「平成30年」に起きるかもしれません。

審議会でも俎上となった「平成30年医療保険制度改革案」。(参照:産経新聞

改革後の国民健康保険の運営のあり方については、次のとおりです。



都道府県は県内の医療費を推計し、その保険給付費に充てるための国保事業費納付金の額を決定し、各市町村に通知します。市町村では、その額を国保料(税)として被保険者から徴収し、都道府県へ納付することになります。この際、都道府県では市町村ごとの標準保険料率を算定・公表します。平成30年度からの国保料率・額については、この標準保険料率を参考として決められることとなります。
(和光市のホームページより引用)

今、愛川町で徴収している保険税を、神奈川県で徴収する。
国から3400億円の財政支援を実施することが柱とし、国民健康保険の規模を大きくし財政基盤を安定させるのが狙いだそうです。

神奈川県で徴収された税を、国保赤字になっている市町村に分配する。
こうなると愛川町もほかの市町村の補填のために現状の保険税率が上がる可能性は十分あります。

所得が低いならば、上昇した保険料を払えない人が出てくる。
保険税未収納率が増加、または保険未加入の状態になる人々もでてくるでしょう。

そうなれば、愛川町という局地的な保険運営は崩壊してしまう可能性があります。

平成27年5月27日に成立した「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」。

保険の制度が大きく変わるこの局面について委員から質問が出ましたが、事務局は「そういう可能性がある」というにとどめています。ちょっと心配。

平成30年といえばあと2年です。

保険料を納税する人からすれば収納窓口は町のままですが、その後ろのシステムが大きく変わることを周知しているのでしょうか。

そして、愛川町の高齢化率は26.2%です。
あと10年もすれば団塊の世代が後期高齢者となります。
町の負担は大きくなっていきます。

それに対し手立てはあるのか。

莫大な資金、膨大な情報、入り組んだ構成システム。
国民健康保険などの社会保障は一度綻びはじめれば、二度と再生できない可能性もあります。


愛川町の健康保険加入者は平成27年度は13472人(人口41197人)で加入率32.7%。

この「数字」にの裏にある「情報」を読み取ることが大切です。
「数字」や「グラフ」は端的に表すため、そのわかり易さに依存してしまうと、未来や過去への思慮停止してしまうことがあります。

中学二年生の皆さん。
そういうことです。

「数字を読む」のではなく、「数字から想像する」ことが大切なのです。

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