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年齢へのこだわりがなくなりました【住んでみた北欧#14】

先週金曜まで、今回の滞在のヤマだった「世界循環経済フォーラム」があった。フォーラムの前から企業取材が目白押しで、こちらに来た頃ののんびりモードから一変、毎日がビジネスモードで朝から晩まで外出の生活が続いていた。そして気づけば、残りの滞在は26日。折り返しはとっくに過ぎてしまった。

環境とは恐ろしいもので、一月以上住んでいるともうすっかりこちらのペース、こちらの考え方、こちらのライフスタイルに染まり、日本との違いにいちいち感動することもなくなった。最初はどこに行くにもあたりをキョロキョロしていたのに、今は道も迷うことなくスタスタと歩き、交通アプリも使いこなしてどこにでも行ける。環境への順応力は人間のみならず、すべての動物にとって生き延びるために備わっているものなのだと実感する。秘めたるサバイバル力が発動しているのだろう。

こちらに来てからの変化のひとつとして、自分の年齢というものを全く意識しなくなったことがある。これまでもわりとエイジレスな生き方(日本語では「年甲斐もない」)をしてきたほうだと思うが、それでも「こんな年だし」「もう少し若かったら」などとエイジネガティブな感情を持つことはよくあった。しかしこちらでは一切それがない。年齢に関しての限界とか引け目を感じることがなくなったのだ。こちらの人たちは、その人がいくつなのかより何をしているかにフォーカスしているせいだと思う。だから若者も普通に話しかけてくるし、気が合えば友達にもなれる。

今日もフォーラムで知り合ったベトナム人の若い留学生からWhats App(こちらのLINEに相当するもの)で連絡がありランチに誘われ、今週ヘルシンキのイケてるレストランに行くことになった。また金曜のバイオガス工場のツアーで一緒だったタイ人の大学院生とも仲良くなり、リンクトインでつながって今度ヘルシンキから電車で2時間の街、タンペレに遊びに行くことになった。北欧はアジア人が少ないせいか、こちらにいるアジア人は本当に積極的にガンガンネットワーキングする。私としてもアジアの勢いのある人たちとつながってもろもろ聞いてみたいのでうれしい限りだ。いろんなアジアの国の人たち話をしてみて、とりあえず今言えることは、エリート層が牽引しアジアの勢いがすごくて貪欲さを感じるが、残念ながら日本人が一番おとなしいと感じている。

日本人は若く見えると言われるので、たぶん向こうからは私も実年齢より若く見られているのだと思う。でも年齢を言ったところで、「へえ」という反応で終わるだろう。たしかに同年齢なら共通項も多いが、逆に言えばそれはインスパイアリングではない。年齢が違うと考え方も違うのでインスパイアされることが多い。

年齢のハンデを感じることがないことは、精神衛生上とても良い。実はずっとやりたいことがあって、でも「年齢的に無理かな」とあきらめていたことがひとつあったのだが、ここに来て、思い切って挑戦しようと決めた。

こちらの人は「快適であること」に対する追求がすごい。快適を実現するにはいろんなアプローチがあるが、「年齢で人を判断しない社会であること」も、その大きな要素であるのは間違いない。

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