MAGO&SOBO

長男夫婦の第一子が誕生した。
切れ長の眼をした元気な女の子は、深鈴(みすず)と名付けられた。これで私は「母」に加えて「おばあちゃん」のステイタスが加わることになった。

「孫が生まれるってどんな気持ち?」
お祝いの言葉をいただいたあと必ず聞かれるので、記録もかねてここで共有したいと思う。

まずは無事に生まれてうれしい、めでたい。私は男の子しか産んでないので、待望の女の子だ。幸せにすくすくと育って欲しい。

そして正直、ちょっとした心の中の抵抗もある。「おばあちゃん」のステイタスに対してである。

105歳の長寿を全うした私の祖母は、物心ついた時からずっと、見かけも中身も紛れもない「おばあちゃん」だった。しわくちゃの顔や手、声やしゃべり方、ファッション、孫たちに優しいところ。遙か遙か年上だったはずのあのおばあちゃんと今、自分は同じ立場にいる。タイムワープか魔法のようだ。「もう若くない」という、ずっと認めたくなかった事実を否応なく突きつけられる。

そして「女性」としても、引退勧告を受けた気分だ。「とんとん、もうそろそろ、仕舞いでいいんじゃないですかね」と。独身になってはや15年。仕事ばかりして、華々しく色っぽいこともほとんどなかったのに早くも引退とは。「この一番」を問われて沈黙してしまう残念な横綱のようだ。現役は長いようで短い。同年代の女性の皆さん、くれぐれも悔いのない現役生活を送ってね。

それにしても感じ入るのは言葉の残酷さだ。「おばあちゃん」「婆さん」「ばばあ」。年配女性の呼称はなぜこうも厳しく、身も蓋もないのか。
「おばあちゃんじゃなくてグランマと呼ばせれば?」と言う人もいるが、孫に横文字を使わせても、息子あたりはきっとそのうち「婆さん」と呼ぶに違いない。もちろん、愛情をこめてだろうけど。

「祖母」という言葉も強烈だ。生まれてすぐ、産科にお見舞い行ったらナースステーションで「ご関係は?」と聞かれたので「祖母です」と答え、自分で笑ってしまった。「祖」という言葉がじわじわ来る。漢字ペディアによると、祖とは「せんぞ。血筋・家系のもと」のこと。ついに「ご先祖さま」の仲間入りなのである。

いろいろ書いてはみたが、要はすべて悪あがき。我ながら往生際が悪い。たぶんもう少し時間がたったら全面的に受け入れられると思う。新米ママと同じく、こっちも新米ババなのだから許してほしい。孫自慢と甘やかしが止まらない困った「グランマ」になるまで、きっとそう時間はかからないはずだ。






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