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AIのおかげで英語で仕事ができている話【住んでみた北欧#15】

フィンランド滞在も残すところ3週間となった。このところ取材や視察ツアーのコーディネートしているため、こちらの企業とのメールでのやりとりが格段に増えた。何しろ取材も訪問視察も、勝手にこちらからオファーすることばかりなのでメールを打たないと何もはじまらないのだ。

しかし私にとって一番苦手なのがメールだった。翻訳ソフトを使ってもなお頭のCPUを使いまくるし、文法やスペルを間違っていたらどうしよう。レベル低いと思われたらどうしよう。そんな懸念ばかりだ。

しかしこの難儀なメール書きもAI様のおかげでとても楽になった。最初は日本語で文面を作ってDeepL(AI翻訳)に翻訳してもらってコピペ、みたいなことをやっていたのだが、慣れてくると、返信などは特に普通に書くようになってきた。かつてはなかった機能だが、Gmailの文章チェック機能が優秀で、「ちょっとこれスペル間違っとるで」「ここtheが抜けてまっせ」「これは sつけて複数形にせな」「onやない、of やがなここは」と教えてくれるのである。ほんと、超優秀な英語の先生なのだ。おかげで「間違ったらどうしよう」「これあってるかな」というビクビク心は一切なくなった。

さらに、AIはメールの内容を理解していて、メール下に現れるワンクリックで返信できる「簡易返信サジェスチョン」は、以前は「了解しました」ぐらいしかなかったのに、最近はメールの内容によって違うものが出てくるのだ。これはあきらかにAIの学習成果なのだろう。

そしてもちろん、取材依頼のメール文面もChatGPTがいい感じのを出してくれる。

さらに、今超助かっているのがAIの書き起こしだ。英語でインタビューして日本語の記事を書くという、これまでほとんどやったことがないハードルの高いことをできているのは書き起こし機能のおかげだ。

「環境と人」に、フィンランドでワークウェアリース業大手の「リンドストローム」社のインタビューが上がっている。

これは取材の録音を書き起こしソフトに投げ、出てきたワードファイルの英語の書き起こしを、今度はDeepLで日本語にするのである。それを編集して記事を書き上げ、日本語の記事が完成する。さらに、その日本語の記事をもう一度DeepLで英語にし、先方の広報に確認をお願いする。そのあたりのやりとりは日本と全く同じだ。先方からチェックが返ってきたら修正の部分だけを和訳しオリジナルの日本語の原稿に反映させる、というわけだ。

息子と2人チームを組んでインタビュー

一見複雑なように思えるかもしれないが、編集以外はかなり機械的な作業なのでそこまで大変ではない。キーになるのはやはり書き起こしの精度で、これはGoogleではなく有料サービスにしている。全般的に以前と比べてかなり精度が上がっていると思う。和訳のほうもファイルを投げれば瞬時でできあがるし、言葉遣いも敬語などが入っていたりして極めて編集しやすい。

そして先日はなんと、フィンランドのサーキュラーエコノミーの成功例として名高い「Infinited Fiber Company」のCEO Petri Alava氏の取材をすることができた。こちらでは超有名人で、日本でのセミナーの事例で紹介したこともあるのだが、まさかそのご本人に話が聞けるとは夢にも思わなかった。

緊張しまくったが、インタビューはとてもうまくいった。というのは、エグゼクティブあるあるなのだが、プレゼン慣れをしているので、一を聞けば10返ってくるぐらいの弾丸トークで、6〜7問ぐらいの質問で、ワードで16枚ぐらいの書き起こしになるぐらい話をしてくれた。なので挨拶や撮影も含めて1時間もかからず、もう十分すぎるぐらいの記事の内容になった。インタビューのあと、近くのカフェで作業をしたのだが、書き起こしから翻訳まで10分かからないで出来てしまった。テクノロジーってすごい。

これがもしAIがなかったらどうするか。当然、通訳をお願いしなくてはならず、そうすると倍以上の時間と通訳者への報酬が発生する。かなりな「おおごと」になるのである。しかしAIをうまく使えばもうその必要はないのだ。

AIによって、私程度の英語力でも十分に仕事になることがわかった。これまでの常識や固定概念を覆す、違う世界に入ったのだと感じる。

もし海外でやりたいことがあるのなら、臆せずどんどんやるべきだと思うし、きっとやれる。自分の仕事にどうAI取り入れるか、何をやるにしても、これからはまずそれを考えることになるだろう。


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