なんともいえない気持ち

家族が急変して病院に連れてこられた、少年たち。たぶんまだなにもわかってない、目の前の存在が死んじゃいそうってこと以外は。今まで見たことない姿を受け入れるのに、きっと精一杯。

もう1人の親は主治医と話し合うために面談室で待ってる。
この部屋にいるのはわたしと、患者と、その兄弟だけ。モニターの発する音だけが響くその空間。兄弟たちの様子をチラッと見たら、ああやばいってなっちゃった。

目を真っ赤にして、話しかけるわたしの目を見て何度もうなづいてくれてるお兄ちゃん。弟は両手に持ったDSを覗いてるから表情はわからない。でもその画面はずっと動いてなくって。

大急ぎで面談室にいたその子の親を部屋に戻した。
ICがスムーズにできなくたって、どうでもいい。多少遅れたことで患者の不利益になることも、もうなにもない。

あのとき、守るべきは絶対この子たち。緊張でいっぱいで不安で張り裂けそうになりながら、でも必死で自我を保っている。泣いていいしやりようのない感情をこっちにぶつけてくれてもいいんだよって思うけど、それができないのも、わかる。
ああ無力だなっていうのと、神さまってほんとに意地悪だよなっていう感情。

ああ、どうなってるかないまごろ。
誰の悲しい顔も、辛い顔も見たくないのにな。
そうは言ってられないこの仕事。
あの兄弟の姿が頭から離れない。

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