難易度と正答率が一致しないこともある【中学受験・算数】
易しい問題は正答率が高く、難しい問題は正答率が低いというのは、自明のことかもしれません。
ただ、実際は難易度と正答率が一致しないこともあります。
「難しいが正答率は高い」問題の例としては、今年の渋幕中(2023年1次)の大問4(2)が挙げられます。
直角三角形(面積18㎠)内の黒い部分の面積を求める問題で、一見すると直角三角形の半分くらい(9㎠)に見えて、実際の正解も9㎠になります。
確かに正しい解法で正解に至るのは難しい問題で、入試分析等でも非常に難しいという評価がありました。
ただ、このような問題は勘で正解してしまう受験生も多く、受験生全体の正答率も決して低くなかったのではないかと思います。
実際、渋幕に合格した4人の生徒さんは全員正解していました。
逆に「易しいが正答率は高くない」問題の例としては、今年の開成中(2023年)の大問2が挙げられます。
正六角形の周上を点が移動する問題で、条件を満たす時間(2回ある)を問われています。
解法自体は単純で正確に処理するだけの問題でもあり、入試分析等でも易しいという評価がありました。
ただ、特に2回目の処理はミスをしやすく、意外に差はついたのではないかと思います。
参考データとして、四谷大塚が実施した「開成入試同日体験模試」(新6年生の開成志望者が今年の開成入試問題に挑戦する企画)での正答率は16.7%という結果でした。
入試1年前の実施ということを考慮する必要はありますが、それでも全問題の平均正答率(36%)に対して明らかに低く、全18問中でも3番目に低い正答率となっています。
入試問題等に対する難易度は「正解するべき問題かどうか」という視点で評価される傾向があります。
前者(渋幕の問題)は「塾で教わる解法パターンで対処することが難しい→正解できなくて仕方ない」、後者(開成の問題)は「塾で教わる解法パターンで対処できる→必ず正解しなければならない」という感じになります。
一方、現実的な見方をすれば、前者は「落とせない問題」(正答率は想像以上に高い)、後者は「落としても仕方ない問題」(正答率は想像以上に低い)という評価になるかもしれません。
普段の学習においては、難易度と正解率のギャップを感じる場面は少ないかもしれませんが、6年後期に過去問演習を進めていく際などに、今回の内容を参考にしていただければと思います。
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