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【ゲーム紹介】美しき名作、『聖剣伝説ーレジェンド・オブ・マナ』

皆さんはこのゲームをご存知でしょうか?
知ってはいても、数あるゲームの内の1つでしょうか?

私は、ゲームの話をする時に、よくこのゲームの話を持ち出すほど特別なゲームだと捉えていて、他の聖剣伝説シリーズともまた違う、RPGゲームの異端だと考えています。

と言っても、あらゆる要素が現代のプレーヤーから見て高い水準にあると言いたい訳ではありません。とりわけ戦闘における、平面的な横移動型アクションなどは物足りなさを感じる方もいるのではないでしょうか。しかし、「それまでの多くのRPGに見られなかったクリエイティブなシステム」、「味わい深い哲学的なセリフ」など確かに際立った魅力を持つ、稀有なゲームなのです。

このゲームを一言で語るなら、「挑戦的で、こだわりの強い、丁寧な絵本」です。


サボテンくん

画像:本作公式サイト


今回は2021年6月にリマスター版が発売されましたので、『レジェンド・オブ・マナ』の話をしたいと思います。語ることの多いゲームで、全てというわけにはいきませんので、その魅力を「世界観とグラフィック」・「自由度の高い挑戦的なシステム」・「哲学的なセリフとストーリー」の3つの構成で述べていくことにします。

これからプレイする方のためにネタバレを含む部分は後半で、注意喚起した上で進めていきたいと思います。なお、最後まで読んだとしても、楽しみを大きく損なうようなネタバレは致しません。


作品

レジェンド・オブ・マナは、当時のスクウェア社から1999年に発売されたRPGゲームで、FFシリーズの外伝として始まった聖剣伝説シリーズの、そのまた外伝という作品になります。その独特な世界観・クリエイティブなシステムから、他の聖剣伝説シリーズには特に思い入れがなく、「このレジェンド・オブ・マナが好きだ」という方も、私を含め一定数いるのではないでしょうか。

このゲームは一本道のゲームではありません。たくさんあるサブストーリーを自由に進めていく作りになっていて、メインストーリーはあってないようなものです。

また全体として、セリフには行間が多く、クエストには説明が少ないゲームでもありますので、一度のプレイでは理解しきれないやり取り、クリアできないクエストがあると思います。ですので、じっくりやり込んだり、考察をするのが好きな方に特に向いているゲームかもしれません。


マイホーム

画像:本作公式サイト


世界観とグラフィック

まず、レジェンド・オブ・マナの特徴と言えばその世界観でしょう。上記の画像はマイホームという拠点になる場所の画像です。淡い色彩で描かれた幻想的な風景は、おとぎ話の世界を冒険しているようです。ジブリ映画のように懐かしく、優しい雰囲気を持っており、一目見れば作者のこだわりと愛情が伝わってくるのではないでしょうか。

キャラクターも世界観に花を添えてくれており、ファンタジーの世界らしく、猫っぽい人や鳥っぽい人など様々な生き物が出てきます。特に、お茶目で愛らしい動物系(植物系)キャラクターは掴みどころのないところがあり、幻想的なファンタジーの世界を一層引き立てます。

さらに、音楽も世界観を盛り上げている重要な要素です。レジェンド・オブ・マナは音楽の評価が高いことでも有名で、懐かしさや不思議な雰囲気を見事に演出していると思います。個人的には、マイホームとドミナの町の曲がこのゲーム全体を体現する音楽としてすごく好みです。


自由度の高い挑戦的なシステム

レジェンド・オブ・マナはRPGでありながら、異例の高い自由度を実現しています。非常に多くの要素を選択可能で、代表的なものを挙げていくと…

1.ランドメイク
2.武器鍛冶
3.必殺技
4.魔法制作
5.モンスターの育成
6.コンパニオンの選択
7.農作物の育成

といった具合です。それぞれ簡単に説明します。

1.ランドメイク…
 このゲームでは、アーティファクトと呼ばれるマップの一部を並べていくことで全体マップを作成します。そのため、ある程度自由にストーリーを進行できる他、2周目以降も表情の違うマップになるのが良いところです。また、並べ方によって敵の強さに影響があったり、店の商品に変化があったり、イベントが発生したりします。ちなみに、ここで発生するイベントにはヒントがほとんどなく、自力で見つけることは困難です。

2.武器鍛冶…
 かなり多くの武器や防具が用意されています。それらを、素材を使用して作成したり鍛えたりできます。さらに様々な効果も乗っかってくる上、特に説明もないので突き詰めようとするとかなり複雑な要素となっています。

3.必殺技…
 武器に紐づくような形で必殺技を覚えていきます。必殺技はかなりの数用意されていて、戦闘によりどんどん覚えていくのが楽しいです。必殺技とは別に、通常時の技も用意されています。こちらも戦闘を重ねていくうちに覚えるのですが、もちろん詳しい説明はありません。

4.魔法制作…
 この世界では、魔法楽器を使って音楽を奏でることで魔法を発動します。したがって、プレイヤーは魔法楽器を制作することになります。このあたりの設定も何気ないようでいて、柔らかい世界観を演出していると思います。

5.モンスターの育成…
 育てたモンスターと旅をするのはどのゲームにおいても良いものですよね。種族ごとに卵が用意されていて何になるかはお楽しみです。

6.コンパニオンの選択…
 冒険の途中で出会った主要なキャラクターと旅をするお馴染みの要素です。

7.農作物の育成…
 育てた農作物は、モンスターの育成や、精霊・モンスターの捕獲時などに使用できます。他の要素と絡んでいくのが面白いところです。


その他、面白いシステムとして、サボテンくんとサボテン日記があります。これは冒険の日記をつけていくようなものですが、この要素はゲームプレイの満足感に関わってくると思いますので、クエストが終わる度にマイホームに戻ってサボテン君とお話しすることをオススメします。


サボテン君

画像:本作公式サイト


哲学的なセリフとストーリー

※ここからは具体的なストーリーに触れます。ネタバレを含んだものになりますので、ご注意ください。


■セリフ

次にセリフとストーリーです。レジェンド・オブ・マナの真髄はここにあるのではないでしょうか。このゲームにはクセの強いキャラクターが多く、そのセリフもまた独特です。多くのキャラクターが哲学を語り、ある者は死にかけの友人を助けるべきなのか思い悩み、賢人はもっともらしく人間を諭し、道端を歩いているキャラクターは自分の存在を確かめようとします。


ぼくら、ただ、好きってことだけで、今ここにいます。

生きてるってゆーことは、生きてるってゆーことなの。


到底子供に向けて作られたとは思えないセリフの数々は、擦れた大人を唸らせてくれます。多くを語らないキャラクター達に引き込まれていったプレイヤーも多いのではないかと思います。


■ストーリー

そして、ストーリーも味わい深いものがあります。先に説明した通り、このゲームは多くのサブストーリーによって構成される形式となっています。その中で、私の好きなものを1つ紹介したいと思います。


ダナエ

画像:本作公式サイト


物語には4人の人物が登場します。

・年老いた巫女マチルダ(女)
・呪われた友人を助けようとするダナエ(女)
・巫女に呪いをかけた悪魔アーウィン(男)
・悪魔の存在を許さない騎士エスカデ(男)

この4人は同じ寺院で育った幼馴染であり、マチルダとアーウィンは恋人関係になります。悪魔アーウィンによって呪いをかけられ生命力を奪われ続けるマチルダ。しかし、マチルダは抗うこともなく、死を受け入れています。そんなマチルダを姉のように慕うダナエは、あなたは生きるべきだと説得します。そして、エスカデは悪魔アーウィンを殺すため旅に出るのです。


みな自分を強く持ち、自分の信じる行動をとるため、この4者の織りなす物語は非常に見応えがあります。

アーウィンはなぜ恋人のマチルダに呪いをかけたのか?
マチルダはなぜそれを受け入れるのか?
ダナエの行動は間違っているのか?
エスカデの行動は騎士ゆえなのか?別の気持ちがあるのか?

多くは語られません。


最後に

レジェンド・オブ・マナは、やればやるほど愛おしくなるゲームです。きっと美しい世界観も、自由なシステムも、深いセリフも、作者の挑戦的でこだわりぬく姿勢に、この作品の魅力の源泉があるのではないかと思います。まだ未プレイの方は、絵本のようだと評されるこの稀有なゲームをプレイしてみてはいかがでしょうか。


と、今回は私が好きなゲームについて語ってみました。ここまでお読みいただきありがとうございました。

「ぐ~ ま~ ぐまぐま ぐま!」

ではまた。

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