定規を磨くということ。(2/366)
デザイナーとして働き始めた私が最初に教わったことは「定規を磨くこと」でした。
働いていたデザイン事務所には30cmから100cmまでのステンレス製の直定規が数本壁に掛けてあり、その定規に残ったインクをきれいに拭き取るのですが、これをうっかり忘れてしまい、少しでもインクが残っていると、カンプを作るときに残ったインクがついてしまうのです。もちろんインクがついてしまうと印刷し直し、カンプの作り直しです。
この社会人になりたての私に与えられた仕事、「定規を磨く」という習慣が、仕事道具は大事にしなくてはいけないという価値観を形成することに繋がっています。
身の周り、デスクの周りにあるものは、全て仕事道具と言えます。もちろん、自分のものだけでなく、会社から貸与されているものもあるでしょうが、それを大事に使おうという気持ちを持つことが大切。
いまは仕事のデジタル化が進んでいますが、パコソンでも、キーボードでも、マウスでも、大切に使おうという気持ちを持ち、掃除をしたり、手入れをしたりすれば、その仕事道具が自分の仕事を助けてくれると思うのです。