金色のコルダと美術(冥加・八木沢)

【冥加玲士】
こんなことを書くのは、私が冥加玲士を好きになったきっかけが、プレゼントの返礼品として「シャヴァンヌの画集」をもらったからに他ならない。
AS天音では、冥加玲士に詰めチェスの本を送ると、返礼品として「シャヴァンヌの画集」をもらう。必ず何か返礼品をくれるのが冥加の良いところだ。
しかし、私は、
なぜシャヴァンヌ??
と初めてプレイしたときに思ったのだ。今の日本で誰もが知っているような画家ではない。
ここでシャヴァンヌについて簡単に説明すると、


ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(1824-1898)
壁画制作によって名声を得た19世紀フランスを代表する画家。象徴主義の先駆者と位置付けられる。アカデミズムとロマン主義の両方を学び、様式を作り上げた。日本では、黒田清輝や藤島武二などの明治洋画家が影響を受けている。

AS天音が発売された2014年は、Bunkamuraザ・ミュージアムで「シャヴァンヌ展 水辺のアルカディア」が開催された年である。

画像1

物語本編は、コルダ3の別軸なので2011年だろうが、日本語のシャヴァンヌの画集は私では見つけることが出来なかったため、冥加が渡した画集はこの展覧会にちなんだもの(図録)だと推察した。まあ、年などあってないような物だと思えばね……かなでちゃんも絵に対しては、水の表現が綺麗、みたいなこと言ってたから、水辺のアルカディアかなあと思う。

さて、なぜ冥加がシャヴァンヌを選んだか、という本題だが、個人的な意見としては、
冥加玲士が象徴主義好きそうだから
である。身も蓋もないが好きそうなのだ。
私がこう考える理由は、冥加のよく言う「femme fatale」(フランス語で「運命の女」または「男性を破滅させる女」)である。
近代では、フランスの象徴主義や、イギリスのラファエル前派など〈世紀末〉世代でファム・ファタルはよく取り上げられる題材だった(勉強不足なところもあるので、一概にそうとはいえないかもしれないが)。ギュスターヴ・モローをはじめとする、象徴主義の描くサロメ。オスカー・ワイルドの『サロメ』などによって生み出された、サロメ=ファム・ファタルの構図。何か通じる気がする……冥加玲士にとって小日向かなでは、運命(宿命)の相手であり、屈辱を与えた女だものね……
あくまで推察でしかないし、2014年の展覧会を全て調べたわけでもないので、シャヴァンヌ以外であった可能性はわからないが、「シャヴァンヌである意味」は確かにあったように思う。


【八木沢雪広】
コルダ4での焼き芋事件など、八木沢と美術はなんとなく関連深いと思われるが、今回は、DS版金色のコルダ3トレジャーBOX特典のドラマティックCD、One more Kissを取り上げよう。ただのキスCDと侮ってはいけない。芸術学を志す者からすれば刺されまくるCDなのだ。
その他のシーンや詳細は割愛するが、このCDの中で八木沢と横浜美術館に行くことになる。驚くべきは八木沢の教養の高さ。以下セリフ抜粋。

「西洋美術と音楽、何れもヨーロッパの歴史のなかで育まれた芸術ですから、両方を学ぶことは意味があるように思うんです。」
「横浜美術館にもカンディンスキーやクレーがあるんですね。」
「内装も外装も星奏学院と同じでアール・デコ調なんですね。」
「この作品は下村観山の《小倉山》ですね。西洋の色彩表現を日本画に取り入れた画家です。」
「音楽とは違う力を、絵は持っているように思います。」

甘さとかそんなものが吹き飛ぶくらいの教養の高さ。
西洋美術と言いながら、日本美術についても知ってるってレべチだろ……本当に高校生かな?私が思うに、八木沢の好みとしては、日本画とかの日本美術が好きなんだと思う。百人一首が趣味だし。でも、仙台の美術館(宮城県美術館)で、近現代の西洋絵画を見て、興味を持つようになった―――のかな。
地元の焼き物(堤焼)に詳しかったり、授業で気になったからと『大鏡』を読んだり……文学部にいたらさぞ優秀でしょう。


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