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【読書感想文】宇宙に行くことは地球を知ること

 珍しく小説以外の記事。読書の秋2020と言う企画で、最も気になる本であった「宇宙に行くことは地球を知ること」という本の読書感想文を書きます。この本は宇宙飛行士の野口聡一さんとミュージシャンの矢野顕子さんの対談を編集したもの。個人的に宇宙とか天文学とか好きで興味を持っている分野のひとつです。
 そして実際に宇宙空間に複数回身を置いた野口さんの言葉には、すごく重みを感じました。

宇宙で感覚や心はどう変化するか

 2020年2月のインタビューの内容では、実際に船外活動を体験されたことについて書かれています。地上訓練を800時間おこない、水中で訓練しても本番の宇宙空間との違い。経験者だからわかる内容です。
 特に宇宙ステーション90分で地球を一周するので、すぐに夜が来るという。そして速度の速さが違って突然闇に襲われ、無重力なので夜になると足の感覚がわからない。その上、宇宙服なので視界が限られ、命を守るために外とは遮断している。だから指先のちょっとした違いで感覚を意識するなど、興味深い内容が目白押しでした。

 小説を書く者にとっても使えそうなネタになりそうなものが多かったです。

死の世界・生の世界

 1986年のチャレンジャー号、2003年のコロンビア号の事故による死という宇宙飛行士が非常にリスキーな職業であること。あるいは宇宙服が引っかかりやごみの衝突で穴が開けばすぐに待っている死について語られていました。無謀なことはしないけど、宇宙空間に出るときは三途の川を渡る気持ちとか。そして酸欠状態になったときの実際に起こりうることについて生々しい話が続いています。

 また宇宙ステーションで見える地球のすごさのような話の数々。生き物の世界である地球の偉大さが語られ、映像とは違う迫力のこと。読んでいるだけで本当に宇宙から地球を見てみたいと思いました。

スペースXで3度目の宇宙へ

 野口さんは、スペースシャトル、ソユーズに続く3回目の宇宙に向かいます。そのことについて。過去の経験や訓練についても語られていました。見た目花形に見る宇宙飛行士の地味な訓練の話は見落としがちな内容。オリンピックのトップアスリートたちとの比較やチームワークの話とかも興味深かったです。 

 そしてスペースX社の宇宙船「クールドラゴン」についての解説。今までの宇宙船との違い、タッチパネル操作とかそういう細かい内容についてわかりやすく語られています。
 そしてCEOのイーロンマスク氏について、彼の思想のことや、ライバルだったボーイング社との違いを読むと新興企業の機動性と老舗企業の弊害のような面にまで触れていました。宇宙の世界も地上の世界も似ているところはあるということですね。

宇宙を飛び出すことは地球を知ること

 最後にコロナ禍での変化について、パンデミック終息に時間がかかるから宇宙開発は中断しなかったのではないかと言う考察。そして将来は商業化となり宇宙ステーションには観光で行ける時代が来るだろう、月や火星の話なども入り込み、最後に宇宙は「引き算の世界」という説明で終わります。

まとめ

 間もなく打ち上げられるというタイミング。前半が実際に会われて、後半は6月頃にオンラインでインタビューが行われていました。宇宙が好きで精通している矢野さんの質問内容もいいので、すごく詳しい内容が語られている気がしました。宇宙に興味がある人や好きな人はおすすめです。
 また実際に打ち上げられからこちらのサイトで最新情報が流れてくるのだと思いますが、この本を読むことでよりその情報に深みが加わり楽しい内容になりそうで、今から楽しみです。

ということで、こちらの企画に参加してみました。

#読書の秋2020 # 宇宙に行くことは地球を知ること #読書感想文 #随筆



おまけ:300字の小説「服の共有」

余談ですがnoteで小説以外のものを書くと、どうも違和感があるので少しだけ乗せておきます。

服の共有(300字)

こちらもよろしくお願いします。

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シリーズ 日々掌編短編小説 293

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