見出し画像

Beyond AI

8月にMaki Fine Artsで開催されていた「Beyond AI」という展示会へ行きました。アルフレッド・ジャー、ライアン・ガンダー、JODIという3名のアーティストの作品が展示されていました。4月にオペラシティで開催された「ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展」に行き、ライアン・ガンダー氏がちょっと気になっていました。

画像1

JODI氏の作品「OXO」。
日本でいうマルバツゲームで、AIと対戦できるようになっていました。勝てないかもしれないけど絶対負けはしないと思っていましたが、結構負けてしまいました。会場が静かすぎて謎の緊張感があり学生時代友達とノートの端っこでやっていたのとは何か違いました。

現在のようなAIが出現する以前、1970年代半ばごろに、三目並べ(マルバツゲームとも言う)で本物の鶏と対戦することができる「BIRD BRAIN」というアーケード・ゲームが存在した。もちろん本当に鶏が三目並べをプレイするわけはなく、鶏は、コンピュータが提示する適切な手と連動している点滅するボタンを突くよう条件付けされていたのだった。JODIによる作品《OXO》がその四種類のプレーヤーの中に、「人間」「コンピュータ」「AI」とともに「鶏」を含めているのはこのゲームに由来している。さらに、《OXO》というタイトルも、1952年にアレグザンダー・S・ダグラスが開発した、「世界最初のコンピュータ・ゲーム」とも言われる三目並べゲームから来ている。2015年に、Google DeepMindが開発したAlphaGoが、世界トップクラスの棋士であるイ・セドルを囲碁の勝負で破ったことはいまだ記憶にも新しく、2018年の作品であるJODIの《OXO》も、そのことを意識しているだろう。だが、それは、世界的な囲碁棋士と神秘的なAIとの対戦といった、我々と隔絶する世界とは全く異なっている。《OXO》は、観客参加型の作品であって、観客が四種類のプレーヤーと三目並べで実際に対戦することが可能であり、三目並べという、誰でもプレイしたことのあるシンプルなゲームを通して、コンピュータの歴史、ゲームの歴史を身近に理解し体感することができる作品なのである。(公式より抜粋

ん?ということは私は鶏に負けていたのかも…。

画像2

ライアン・ガンダー氏の作品「On slow Obliteration, or Illusion of explanatory depth」。

画像3


黒い盤面上を黄色い(金色)粒が静かに落ちていきます。黒い盤面の横には英語の文章がつらつら書かれています。

画像4


黒い盤面はスマートフォンを、金色の粒はユーザーの視点を表している(ガンダー氏は従来のサイトやSNSを見つめるような一定の視点ではなく、ランダムにしている)ようで、スマートフォンの目的は「時間を消費させること」にあり、消費された時間は金銭的な利益と結びついているということを批判的に表現しているそうです。

自動車の自動運転、あらゆる仕事のDX化等々、世の中のAI化が進み、人間が使うものだったはずのITが、ITに人間が使われることになっていきそうな映画マトリックスみたいな危惧を、最近ちょっと感じます。

画像5

Maki Fine Artsさんは印刷工場を改装したギャラリーだそうで、住宅街にひっそりとありました。(探してたら素通りしました)

画像6

工場の名残が良さげに感じられます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?