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紀尾井清堂

SNSでよく見ていた建物「紀尾井清堂」が気になって、行ってみることにしました。どうやら機能がない建物だそうです。そんなことある。

調べてみると、現在は「奇跡の一本松の根展」というものに参加すると中に入れるそうです。日時予約制で、なんと無料です。

紀尾井清堂外観です。
コンクリートの箱をガラスの箱が包んでいる印象です。
別サイドから撮影。階段が見えます。
1階部分の柱が建物の脚のように見えます。

1F 奇跡の一本松の根展

忘れもしない2011年3月11日、東日本大震災によって巨大な津波が発生。陸前高田市に18mの津波が襲い、死者・行方不明者を合わせ1,750名以上が犠牲となり、市街地や海沿いの集落も壊滅する中、耐え残った一本の松(高さ27.5m、幹の直径約90cm)が奇跡の一本松と呼ばれます。しかしその後、海水によって枯れてしまいましたが国内外の募金により「希望と復興の象徴」としてモニュメント化されることとなりました。今回の展示は、その時に保存された根と、モニュメント完成までのドキュメント映像が流れていました。
父の実家が宮城県の海沿いで、当時連絡もつかず不安でしたが、結局親族全員無事で被害もそんなになく、今思うとあれも奇跡だったんじゃないかなぁと。

1Fに展示されていた、大津波に耐えた巨大な根

根は地表部分から深さ1.6m、幹を中心に直径13mにわたって大きく張っていました。樹齢は173年だそうです。さらっと第二次世界大戦も耐えてますね。展示会場のほとんどを占めていたので、きっと1階の窓ガラス全部外して入れたんだろうなぁと思いました。(分解できそうですが)

しれっとイサム・ノグチ。
一本松の写真。人と並べると大きさが分かりやすいですね。
紀尾井清堂の図面が展示されていました。
ここ数年ポケモンに魅了されたせいかレジアイスに見えました。
建築模型も展示されていました。天井に穴が開いているようです。

2F-5F

2階へは外階段を利用します。
上を見上げるとガラスがフレームでコンクリートの壁に固定されているのが分かります。
2階への階段の素材は木
2Fは扉が二つあって、右側の開いてるところから入りました。
2Fでは映像展示「"奇跡の一本松"を追って(2013)」(35分)を繰り返し流しています。
5Fまで吹き抜けなので天窓から光が入りとても明るいです。
3Fより上は靴を脱いで上がります。
建物内は壁に沿った廊下と、上の階に行くための階段、あとは窓があるくらいなので、うろうろするくらいしかすることがありません。

 思ったように造ってください、機能はそれに合わせてあとから考えますから、という依頼でした。建築家として、これほど誇りに思えることはありません。

 二千年ほど前に造られたローマのパンテオンという建物は、今も素晴らしい空間が人を惹きつけてやみません。実はこの建物の目的も機能もよく分かっていません。無目的という設問ならば、現代のパンテオンのような建物を造りたいと思いました。

建築家 内藤 廣
というわけで機能のない空間を、うろうろします。
5Fから見下ろした風景。
天井の穴。四角から角丸になっていくのが面白いですね。
通路の隅にある柱。
吹き抜けを使った360°見える巨大アートの展示とかどうでしょう?

紀尾井清堂
所在地:東京都千代田区紀尾井町3
建築主:一般社団法人 倫理研究所
設計・監理:内藤廣建築設計事務所
      KAP(構造)、森村設計(設備)
施 工:前田建設工業
竣 工:2020年12月
敷地面積:537.56㎡
建築面積:369.23㎡
延床面積:1287.83㎡
規 模:地下1F、地上5F
構 造:RC造(一部プレストレストRC造、鉄骨造)

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