見出し画像

テナントリテンションをご存じですか?

はじめに

テナントリテンションとは、借主を維持・保持するという意味です。入居募集と同じくらい、賃貸経営には大切な項目になります。

なぜなら、退去が発生すると大家さんの損失が大きいからです。

1、原状回復費用

古くなった設備や壁紙の更新、ハウスクリーニングなどで、月額賃料の約2月分くらいはかかるでしょう。当然ですが築年数が浅ければ費用は安く、古ければ高額化していきます。

2、仲介会社へ支払う広告料

地域により差はありますが、月額賃料の1ヶ月分と消費税とします。

3、次の入居までの空室期間損失

約3ヶ月とします。

こうしてみると、いったん空室が発生すると月額賃料の約4ケ月分から7ケ月分の損失が発生することが分かります。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の市場データ(日管協短観)に平均居住期間のデータがありますので添付します。

平均居住期間2020

入居者が入れ替わるタイミングは上記にあるような周期で発生することが考えられます。

当然、この居住期間を平均より長くなれば当然収益性は高まります。どうしたらいいのか、家主ができることと管理会社ができることはなんでしょうか。

管理会社が取り組めること

1、トラブルへの対応

設備の劣化によるトラブル

水漏れや網戸の破れ、電気関係など小さいトラブルが結構あります。契約書に費用負担についての規定があるのでそれに沿って対応していきます。電話やメールで問い合わせがあったり、管理会社によっては専用サイトやアプリを作成して連絡が取りやすい体制をとっています。

騒音やたばこの煙の苦情

解決が難しい部類ですが、ほっておくとクレーム→退去に一番つながりやすいです。また、本当に騒音レベルなのか、日常生活音であるが、問い合わせ者が過敏に反応しているのかの見極めが大切です。どのみち誠心誠意対応していくことはもちろん、それが相手に伝わるような形を取らなければなりません。

大事なことは『すぐに対応する』『いつでも問い合わせに応じられる対応を取っておく』『トークスプリクトをお作成しトラブルをクレームに発展させない』などが重要になってきます。

入居者に管理会社が『対応が悪い』『何もしてくれない』などの印象を与えてしまい、管理会社のせいで退去になる事態は防がなければなりません。

2、家主にきちんと提案する

清掃

物件外部や共用部の清掃は入居希望者を案内するときも効果的であると以前書きましたが、今住んでいる方にとっても重要です。冬は落ち葉がたまったり、春は敷地の周りに草が生えたり、夏から秋にかけて蜘蛛の巣や虫の死骸が多くなります。一年を通して清潔に保つことが求められます。

外部の修繕

小さいところでいくと共用部分の照明の玉切れや鉄部のさびなどを放置することなくオーナーに提案修繕することで美観が保たれます。照明切れを放置して入居者にけがをされても大変ですし、鉄部のさびは一度出てしまうと止めることが難しいので定期的な塗装が大切です。

また、外壁塗装は外観の性能維持や美観の向上に大きく影響します。色彩を利用して単色で塗り上げるのではなく、建物の部位ごとに『前進色』『後退色』を配色することで建物外観をより立体的に見せることができます。

オーナーが取り組めること

設備更新

壊れる前に一定期間が経過したタイミングで入居中でも交換してあげることが効果的です。

例えばエアコンなどは耐用年数(メーカーが部品を保存している期間)が10年ですので、10年たったエアコンは交換してしまうことです。入居者は急な故障で不便な思いをしなくてよいし、新品のエアコンは気持ちがいいです。また、定期的なエアコン洗浄をサービスしてくれるケースもあります。3年くらい使用するとエアコン内部にカビが発生しますからね。

さらに水栓部品(台所、ふろ場のカランやシャワーなど)や照明(管球タイプのものからLED照明へ)を10年ごとに交換してあげることで入居中のトラブルを未然に防ぐ効果もあります。

まとめ

入居募集と同じくらい大切なテナントリテンションについてみてきました。今の入居者に満足してもらって長く居住してもらえば理想的です。

時々、『長く入居されると部屋がボロボロになるから適度に入れ替えがあってほしい』といわれる家主様もいらっしゃると聞いたことがあります。

おそらく退去後の修繕費が高額になり、一回に支出する金額が高くなることを懸念されておられるのではないでしょうか。

退去時に一気に交換するのではなく『期間(耐用年数)』で区切って修繕してあげることで出費をある程度コントロールすることができます。これは家主様のメリットであり、入居者も住みながら設備の更新がされれば賃料に不満を抱くこともなく、転勤やライフスタイルの変化以外の理由で引っ越しを検討されることも少なくなるはずです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


よろしければサポートお願いいたします。より良い情報を提供できるように生かします。