新型コロナウイルス感染症の法的位置付け見直しに関する要望

昨日、国に対して「新型コロナウイルス感染症の法的位置付け見直しに関する要望」を提出しました。知事会においても意見の取りまとめが進むこととなっていますので、現場からの意見を政府に伝え、適切なステップを踏んで見直しが進むよう、意を用いていきます。

1 医療等に関する要望

(1) 医療機関等における感染対策の最適化

県内の医療機関、高齢者施設、教育機関等は、これまで、感染拡大の場にならないように細心の注意を求められ、その結果、当該機関等の本来の役割が妨げられることも多くあった。国においては、新型コロナウイルス感染症の法的位置付け見直しの機会に、改めてこれらの機関等が果たすべき役割とバランスが取れた感染対策を示し、周知していただきたい。
また、千葉県では、そういったバランスの取れた感染対策を実行していた機関等であれば、結果として感染拡大の場となっても責めるべきではないと考えており、国においても、同様の考えを示していただきたい。

(2) 感染動向に関するデータの報告、公表の最適化

新型コロナウイルス感染症の発生以降、都道府県は、感染者数、死亡者数、検査数等を毎日、報告・公表するよう求められてきたが、もはやその必要性は失われている。
国においては、新型コロナウイルス感染症の法的位置付け見直しの機会にこれを見直し、他の感染症と同様、感染症発生動向調査事業に基づく通常の週報・月報によることとしていただきたい。

(3) 医療機関に対するバランスの取れた支援等

新型コロナウイルス感染症の発生によって、我が国の医療には、新規に相当規模の疾病負荷が加わった。これに安定的に対処していくためには、既存の病床・人員の枠内での調整や時限的・特例的な補助金による支援ではなく、病床や医療従事者数の増、関連する診療報酬の増等による医療の強化が必要であり、その点を国に強く要望したい。
一方、オミクロン株の発生以降、新型コロナウイルス感染症が一般的な診療場面でも併存疾患として高頻度にみられるようになったことを踏まえると、これまでのように新型コロナウイルス感染症患者の受け入れのために病床を特別に確保する方法は非効率であり、むしろ一般的な病床で必要な感染管理を行えるよう支援すること等に重点を置くべきと考える。国においては、その視点も踏まえ、医療機関への補助のスキームについて適宜見直しをしていただきたい。
また、新型コロナウイルス感染症は日常診療で頻度高く遭遇する疾患となっていることから、千葉県では、新型コロナウイルスに感染していれば診療しない方針を取り続ける医療機関は、もはや地域の日常的な医療を支える医療機関とは位置付けられないのではないかと考えている。国においても、問題意識を共有していただきたい。

(4) 医療DXの推進等

新型コロナウイルス対応の中で、医療DXの重要性が再認識され、オンライン診療についての規制緩和等も進んだ。これらは3年間にわたる新型コロナウイルス感染症対応のレガシーとして今後活用されるべきである。国においては、医療DXを引き続き推進するとともに、それに逆行するような、意義の乏しい規制の復活等がないよう要望する。

2 マスク着用ルールの見直しに関する要望

(1) 円滑に実践するための根拠の提示

マスク着用を原則不要とする場合、未だ新型コロナウイルスの感染が見られる中、県民・国民が納得した上で実践できるよう、不要とする考え方を国からしっかり説明していただきたい。
また、その考え方が成り立たなくなるような状況が発生した場合には、再度必要とすることもありうる旨も説明いただきたい。

(2) マスク着用が不要な場面についてのメリハリのある発信

重症化リスクの高い者に接する場合や、呼吸器症状があるなど人に感染させるリスクの高い者については、比較的慎重な対応が必要である。
そのため、医療機関や介護施設など重症化しやすい方が中心の施設においては、着用が推奨され、また、原則不要であっても、呼吸器症状などがある人は着用を推奨されると考えられる。
一方で、着用が不要と位置付けられた施設の管理者が、独自の判断でマスクを着用しない者の利用を断ったり、他の利用者の同調圧力によって「マスク原則不要」が形骸化したりすること等がないよう十分留意する必要がある。
施設の管理者として呼びかける側や利用者等がいずれも混乱しないよう、どのような施設において着用が不要なのか、又は着用を推奨するのか、明確にしていただきたい。
国においてはこれらのことを踏まえて、メリハリのある発信をしていただきたい。

(3) 他の感染防止対策との整合

感染が継続している現状においては、感染防止対策の継続が求められると考えられる。現在感染防止対策として呼びかけている人と人との距離の確保や換気の励行、手指消毒等についても、見直しを行うのか継続するのか等の検討を進め、マスク着用ルールの考え方と整合を取った上で進めていただきたい。
業界のガイドライン等の取扱い方針を示すなど、県民・事業者が混乱なく実践できるよう検討いただきたい。

(4) 十分な周知期間の確保

新型コロナウイルス感染症の法的位置付けを今後変更することを明確に打ち出した上で、仮に先行してマスク着用ルールを見直すのであれば、上記(1)から(3)も考慮し、県民や事業者が納得し準備等を行った上で円滑に取り組めるよう、十分な周知期間を取って国から発信していただきたい。

3 今後の対応に関する要望

これまで地方自治体に求められてきた医療提供体制や感染防止に関する各種対策について、位置付け変更による移行に当たっては、医療機関等との調整、予算措置や事業者対応、県民・事業者への周知等に時間が必要であることから、円滑に進めるため、移行方針のスケジュールを早くお示しいただきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?