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エフェクターにおける電源の話

1.ぶっちゃけ金かける意味あるの?

いきなりぶっちゃけてしまうタイプのタイトルですが、これに関しては本当に金額ではなく仕様を大事にして欲しい部分です。
最近は質やPSEなどの問題で時折問題になっていますが中華パワーサプライでも十二分に優秀なものがあります。
今回の記事ではその技術の部分を少し深く、出来る限り分かり易く大雑把に考えて欲しい思います。


2.何処からノイズは出るのか

パワーサプライによって改善するノイズで気にすべきは2箇所、かなと思います。


1つはデジタルエフェクターなどの100mA Overクラスの消費電力が大きく、数中mA程度しか消費しないペダルの電源ラインに影響を与えてしまう事。

これはEX-Proのサイトに専門的に丁寧な解説がありますが、電源とグランドの電流の動きがめちゃくちゃでかいペダルが、あんまり電流を吸ったり吐いたりしないペダルに悪さをしてしまうというイメージです。

http://ex-pro.co.jp/product/nf-1/

馬鹿げた例えですが、でかい一級河川に心地よいせせらぎの聴こえる小川が繋がっているところを想像してみてください、その一級河川の川の流れる方向が頻繁に反転するとなると、小川は確実に流量や方向の影響を受けますよね。
これが電源を通じて発生してしまいます。

また、一部チューナーなどではポツポツとノイズを電源ラインに吐くモデルもあります、チューナーのディスプレイの動きとノイズに相関を感じればまず間違い無いでしょう。


2つ目は昨今のスイッチング電源特有のスイッチングノイズです。

スイッチング電源というのは交流から直流に変換する際、小さなサイズで大きな電力を高い効率で変換することができます。90年代以降に普及した技術ですがこれが曲者です、効率の弊害としてスイッチングノイズ/リップルノイズという高周波の揺れが発生します。
正直に言ってしまうと、電源の電解コンデンサなんかで軽減されますし、高周波すぎて聞こえない場合が殆どです。しかし歪ペダルのバイアスなんかに悪さをすることもあります。


ただ、専用の計測機(リップルメーター)や差動プローブと高解像度のオシロスコープを持っている開発環境……個人規模だと難しいでしょう。
もう少しいうとスイッチング電源向けの電解コンデンサなどは専用パーツで組んでいるか、とりあえずFGを突っ込むような真似をすればいいというわけではないのが大事なところです。
(一時期ペダルの中の電解全部ニチコンのFGにするModやってるブランドいっぱい合ったけど、適材適所はあるし、とりあえずニチコンのカタログ読んでないのはわかるって思ってた。)


中国製の安い怪しいアダプターなんかを買うと……ちょっと怖いところがありますね………


3.で、結局パワーサプライっているの?

いる、ぶっちゃけここまでノイズの話ばっかりしたのでネガティヴなイメージかもしれないですけど……


前述のように電源には幾つかのノイズ要因がありますね、そしてここではパワーサプライを入れる意味や機能について考えてみたいと思います。

1つ目は楽である事
電源を挿せばボードが動く、究極の時短です。
一つ一つに電源を刺したりせず、DCケーブルで一個一個管理できます。
分岐ケーブルでもいいですが、使っていないプラグを絶縁したり、めんどくさいですもんね。
また、複数の電圧を扱えるパワーサプライを使えばコンセントを圧迫せずに済みます。
いくつもコンセントを刺していくつも使うのは時間もかかりますし、限りのある電源タップのコンセントを圧迫してしまうのでスマートではないです。

2つ目は保護機能
最近のパワーサプライにはそのペダルの電源がグランドに落ちてしまっても他のペダルに影響が行かないよう保護する機能がついているものが存在しています。
ライブ中に原因がわからないけど全てのペダルの電源が落ちて右往左往こんなことにならないようになっているわけです。
故障している電源ラインのペダルだけ外せば大丈夫ですから、非常にトラブルシューティングが早くなります。
ただ、独立型を謳う一部のモデルでは保護機能でどれかがショートしても影響がない事を独立出力と言ったりします。次項と混同されてて非常にややこしい………。

3つ目は独立出力(絶縁DC-DCコンバーター)はめっちゃ便利。
先に述べた大電流を必要とするペダルが電源に悪さをする話への最適解です。
電流を吸ったり吐いたりするラインをグランドアースごとそもそも独立してしまうのです。
川が合流していなければいいわけですからね。
あくまで重要なのは電流の方向ですので、シールドのグランドなどは一旦考えなくても大丈夫です十二分な効果はありますよ。

4つ目はレギュレータによる安定化
これに関してはあまり恩恵を感じる事はないかもしれません。
一部、上記の3つは存在せず、安定感して並列に分岐しているだけのようなパワーサプライもあります、この機能に絞ったモデルでがアナログエフェクターを2、3個使うだけの人はそれで十分かも……



4で、結局どうなの

結論から言ってしまうとここまでで述べてきた機能や内容は適材適所と言えます。(結論放棄)
沢山エフェクターがあってデジタルもアナログもある人、ペダルが2〜3個で完結する人……
そしてライブで使うことを重視するのか、家やスタジオが中心なのか、それらでチョイスは大きく変わると思います。
気をつけるべき点として独立出力と書いてあるパワーサプライは注意です。
絶縁のDC-DCコンバータで完全に独立しているのか、それとも保護機能がそれぞれについているだけなのか、レギュレータが出力の数だけ入っているけれどグランドは一緒なのか。
代理店やメーカーによって正直まちまちだったりします。
もっというと楽器店やメーカーの営業の人は理解していなかったり平気であります。
なので正しい知識と理解を持ってチョイスして欲しい部分です。

5結論とノイズ解決策

とりあえず電流を沢山吸うペダルとそんなに吸わないペダルの電源ラインをグランドごと分けましょう。
正直これだけで相当効果があります。
それでもノイズ乗るわ……って人は一個一個ペダルの電源を外して確認してみてください。
スルーバイパスじゃない場合は音が切れるので、ボードから外してみましょう。
それぞれONにしたりOFFにしたりしてどれがノイズに関係しているか確認して、電源に悪さをしているのか、電源に関係なくそいつ自体がノイズを出しているのかを見極めた上で対策しましょう。
あとはできるだけボードの構成部品を少なくするのも大事です。これについてはそのうち……


よくここまで読めたな………簡単と言ったがあれは嘘だ。

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