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エレキギターのバッファー信仰みたいなの、やめにしません?

ついにライブハウスの楽屋で特殊仕様のケーブルをカスタムオーダーされ、2時間で納品した直後の本番で使われてしまったいのくまです。
もういよいよ何屋かわかんねーな……

画像は僕の大大大好きなギタリスト、Sussy先生のピックです。

そんなことはどうでもいいんです、もういい加減にやめにしませんか?バッファー信仰、今日はそんなお話です。

1.とりあえず解ってて欲しい基礎知識

ここ20年程でエフェクターなんかもチップ部品を用いて大幅な小型化、高性能低価格化が著しくなりました。
同時期に電子式スイッチのバッファードバイパスから、機械式スイッチのスルーバイパスに改造、一部のペダルでオフの時にバッファー回路で音質が好ましくない方向に変化してしまう症状を「そもそも除去してしまう」という方法論によって改善するというものでした。

メリットは前述の通り、繋ぐだけで音がカスカスになるという昔のノウハウが確立される前のペダルに頻発した症状の改善です。

しかしここで問題も起こります。
・ペダルから出力されるインピーダンスが一定に保てない。
・ギター直後に複数スルーバイパスペダルを直列に繋ぐと接触抵抗が発生するなどして音質が劣化する。
・ペダル踏んだ瞬間の「ボッ」「バッ」みたいなスイッチングノイズ音がでかい
・スイッチが硬かったり柔らかかったり、個体によって問題が起こる。

ここで対処療法の対処療法で注目されたのがバッファーです。

要するにバッファーを抜いて劣化した音質と、インピーダンスの変化を抑え込むためバッファーを外付けして補うわけです。
ちなみにBOSSを始めとしたバッファードペダルに対してはほぼ電気的恩恵はないと思って大丈夫です。

一応狙って使うメリットはあるので後述します。


2.みんな勘違いしてるところ。

電気回路の入力と出力には入力インピーダンス、出力インピーダンスというものがそれそれあります。
増幅素子ないし、信号処理回路を一回でも通ればそのインピーダンスは回路の出力インピーダンスによって次の回路の入力まで固定されます。スルーバイパスをオフってもローインピーダンスに固定する、元々その為のバッファーなんですけどね……
次の機材に入力される電気的特性を統一する、オンとオフで次の機材の動作に変化が起こらないよう安定させる、それがそもそもの回路の意味です。
ただ、スルーバイパスにしてしまうと固定されません。

もう一つ、回路を通ると最低でもハイカットとローカットが発生します。
直流(0hz)成分の除去と、高周波が暴れて発進したりノイズを吐かないようにする回路を通るためです。
要するに音質が変化します。
そしてバッファードバイパスにはそれを常に一定に統一する効果もあります。
あと、多くの場合のバッファーをつないで音が良くなった!という部分はここで音質がそれっぽく変化している為です。
よく、「これを繋ぐだけでインピーダンスが良くなって音が良くなる!」とかおっしゃられる方がいらっしゃいますが、このローカット/ハイカット回路による色付けの影響は大きいです。

3.結局どういうことなんだってばよ!

一回整理しましょう、バッファードバイパスのBossなんかのエフェクターの直前にバッファを置いても意味がないということです。
ワイアレスを使ってる場合なんてまず間違いなく必要ないと思います。
そのバッファはBOSSにしか効いてないので……
あとペダルボードの1番後ろにBossのディレイなんかがある場合も同様です。
ケーブルが長くて劣化する成分を抑え込める!と思っている方もいますが、エフェクターを一回通ったらそれだけで十分ですから……ましてやボードの最後がバッファードバイパスなら、十分ケーブル損失は抑え込めます。

これを踏まえて、ペダルボードの入り口にBossのチューナーを置いて、ペダルボードの終わりにバッファードバイパスのディレイがあればそもそもバッファが必要ないことが理解いただけると思います。

要するに、掛けっぱなしのエフェクターやバッファードバイパスのペダルが頭にあればバッファーなんて必要ないってことです。

4.でもバッファがあった方がいいときもある

幾つか、バッファが有効な部分もあります。

チューナーがスルーバイパス方式で、そこから5つほどビルダー手作りスルーバイパスペダルを通ってしまう場合、これは頭にバッファをおいてもいいかもしれませんね。
本来はこの為のバッファーでしたし、本来の用途と言えます。

バッファを通した音が好きな場合もあるでしょう。
バッファ回路を通って上下の音が整理された状態が好きな方も少なからずいらっしゃいますし、歪ペダルで低域の暴れを抑える効果もあります。
これはこれでいいと思います、というかたまにやります。

ペダルとペダルの相性が悪い時、入れるとインピーダンスの問題で発生している不都合であれば解決することもあります。
極々稀に発生するパターンですので参考例程度のお話ですけどね。

5.言いたかったこと

わざわざバッファを入れなくても大丈夫な場合が大半です。
インピーダンスがどうとか、気になるならボードの頭にBOSSあたりのバッファードのチューナーを入れれば解決します、ワイアレスでも解決します。
そのチューナーを通った音がどうしても好きでない場合にバッファー、それくらいの気持ちと理解で大丈夫です。
インとアウト両方にバッファーを掛けるとか、そういうのは「その状態の音」が好きでない限りやめた方がいいと個人的には思います。
あと、ジャンクションボックスとかスルーボックスもグランドループの温床になりますのでご注意ください。
グランドリフトできると改善はできますが、それはそれで対処療法ですからね。
ジャンクションボックスを作るくらいなら中継延長ケーブルの方がいいと思いますよ。

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