イシンがfreeeを使わず税理士に依頼している、たったひとつの理由

いま、絶好調に伸びている会計クラウドサービスのfreeeは、僕自身もトライアルで使ってみたが、大変良く出来ているサービスだ。これから起業する人は、とてもいいのではないだろうか。

とまで書いておいて、しかしイシンでは使っていないし、今後も使う予定がない。なぜ使わないのか。それは、「監視の目」が欲しいからだ。もっと平たく言うと、僕に怒ってくれるたった一人の人だということ。

起業する人の中には、とても大きな志を持って、世の中に役立つことを考える人たちもいることだろう。しかし、多くは「今より良い生活をしたい」のではないだろうか。勝手ながら、こういう考えはまったくない、という起業家は少ない気がしている。

さて、その前提にたって考えてみると、起業して、少し儲かりだすと、無駄金を使い始める。高級車、高級時計、中には社長室まで作り始める。高級デスクに高級な椅子。ひどくなると高級な応接セット。どこかの社長は、社長室にお風呂があったという記事を見かけたが、それを見たのはその会社が潰れるタイミングだった。

もちろん、経営者が質素な生活をするべき、という意味ではない。稼いだのなら少しくらい贅沢をしても許されるはずだ。しかし、それは「タイミング」を考えないといけない。儲けに波があるのであれば、儲かった時はプールしておくことが大切だし、月によって考えるべきところもある。償却という概念も必要なので、何月に買うか、がとても重要だったりする。

イシンの税理士は、60代半ばの方でイシンのビジネスモデルを理解するのに時間を要した。しかし、その時に言われたことは「私に説明できないようだと、今後借り入れをしたいときに銀行に説明できませんよ」ということだった。ごもっともだ。銀行の人にIT業界のように説明しても理解してもらえるはずがない。

その後、事あるごとに「この出費の妥当性」について質問、いや詰問を受けた。また、こういうときにはこうするといい、というものもアドバイスしてくれた。単に出費を諌めるだけでなく、賢い出費についても教えていただいた。

実はイシンの税理士は、もう一つ大事な役割を担ってくれている。それは「経理業務のアウトソース」だ。B2Bの会社なので、基本的に入金は1ヶ月に一回。支払いも同じで、あとは小口が出て行くだけ。しかし、それを僕がやると本業の時間を奪われてしまう。ネットバンキングの操作はやるが、経費精算は税理士が細かくチェックして、整理してくれる。僕は袋にガサッと入れた領収書を渡すだけ。これは会計クラウドサービスでは絶対に出来ない。このバリューは、会計クラウドサービスとの差額を簡単に埋めてくれると考えている。

税理士がいることで、たいへん助かっているのだ。

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