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「アップルパイとコロッケが助手席にあるから、お父さんがその上に座らないように早くどかさないと」 と私は言った。 我が子たちは「ほんとだ、アップルパイとコロッケが座ってる」と座席を目視してハモるようにつぶやいた。 なぜアップルパイとコロッケが座っていたのか。 それを説明するには少し時間を遡らないといけない。 アップルパイから遡ること、3時間前。 私たちはその日、あるお祭りにお客さんとして参加していた。そのお祭りは、私と夫が以前勤めていて、なおかつ、私の父親がまだ勤めて
今日もちまちまと日記を綴っていきます。お付き合いください。 【地元のお祭り】 以前、エッセイにも書きましたが、私の祖父が生きている頃に深く関わっていた地元のお祭りが開催され、少しだけ参加してきました。 小雨がパラパラとしていましたが、大変賑わっておりまして、私の両親も法被を着て参加していました。ヘラヘラと眺めているところを太鼓のお師匠に見つかってしまい「おい、ちょっと叩いていけよ」と、言われたので、久しぶりに叩いたのですが わ、わかんねぇ〜!! と、頭がパニックにな
山の峰が連なっていて、かすみがかっている。かすみと雲の切れ間は見えず、繋がっていて、上空は見渡す限りどこまでも湿度の高い光景が広がっている。大気は安定せず、小雨がしとしとと降り始めたり、止んだり、降ったりを繰り返し、落ち着かない様子を見せた。しかし、不快な気持ちにはならない。どこかそれを待ち望んでいるような自分もいる。雨で濡れた葉は瑞々しく、いきいきとしている。木でできた階段は丘の上にある猿倉山ビール醸造所へ続いており、私は山に気を取られて、湿った木面から足を滑らせないように