シェア
こぐまゆか
2022年4月24日 10:15
ドアの隙間から、風にのって花びらが忍び込んできた。「人間だったら不法侵入になるけれど、花びらだったら許されるんだ。」そんなことを考えていたら、少し腹が立ったので、一枚だけ踏んづけてみた。すると、風が吹いて他の花びらがくるくると足元で踊り始めた。キリがないし、もういいやと足をどけてみたら、その一枚は軽やかにどこかへ走り出していった。人間の意地悪だけが、足裏に残った。