今は無き「座高」測定のウラ話
学校健診の季節がやってきました。
ご存知の方にとってはあたりまえのことですが、実は今のこどもたちって座高の測定を行いません。
座高の測定は2014年に廃止になったので、計らなくなって10年ほど経つことになります。
今日はそんな、座高測定のウラ話をしていこうと思います。
座高は何のために測っていたのか?
諸説色々な理由があるのですが…
とか
とか、なんというか…現代において科学的根拠がないことばかりですよね。
そもそも、座高の測定が始まったのは1937年なので、おそらく当時の最先端の医学知識をもとに導き出された真っ当な理由だったのではないかと思います。
座高の計測値の活用と言えば
ずばり、机と椅子の高さを決める参考値になる、です。
学校には学校保健用のデジタルデータを記入するソフトがあって、そこに座高を入力すると「机と椅子の高さはこれくらいがオススメですよ」といったデータが出せる機能なんかもありました。
(でも、それもイマイチ活用されていない、ということで廃止に…)
机も、昔はネジ穴式で決まった位置にしか固定できませんでしたが、最近の(というほど新しくもないのですが)机やいすは、もっと細かにスライド式で調整できたりしますもんね。
そんな座高測定、生徒からも座高が高いイコール、足が短いのがバレるということで、とにかく人気のない(?)検査でしたが…
検査をする側にとっても1つ、難点がありました。
それは、測定結果が前年度と比べて、縮んでしまう子が出ることです。
測定側の難点は縮んでしまう子が出ること
中学生女子だと、早い子だと身長がもう止まってしまって、前年度の値とほとんど変わらない子が一定数出てきます。
そうなると、座高もまた、ほぼ変わらない値になるんです。
ただ、座高って座って測るので、測定方法によって微妙な誤差が生じてしまうんですね。
そのため、気をつけていないと「この子、前年度よりも縮んでる!」という結果になってしまいます。
これが何が困るのかというと、これは健康上なにか困るのではなくて、完全に管理上の問題になるんですが…
実は健康診断の結果って、小学1年生から中学3年生まで、個人の「健康診断票」に記入して保管しなければならないという決まりがあります。
しかもこれ、単に記録していれば良いというだけではなく、実は毎年、都道府県や市町村から管理主事がやってきて、きちんと記録しているかチェックされるんです。
その時によく「この子、座高が昨年より縮んでいますよ」と言われることが多かったんですね…
この健康診断票って、今はデジタル化した学校も多くなってきたと思うのですが、昔は完全に手書きの上に修正液を使うこともできなかったので、修正するのがとても大変だったんです。
もちろん指導主事の先生も、座高だけに目を光らせていた訳ではありません。
ただ、座高に関しては「この子は座り方の問題で、誤差だよね…?」って思うところも多かったので、ちょっと複雑な気分で直す作業をやっておりました。
もちろん側わん(背骨がねじれてしまっている)とか、他の理由がある場合は早期に対応しなければいけません。
なので現在は座高が廃止され、代わりに先ほど挙げた側わんなどを早期発見しやすい検査が追加されるなど、現状も変わりつつあります。
健康診断は、病気の子を早期発見するスクリーニング検査。
早期発見して受診・治療に繋げることはとても大事なので、ぜひ最新医学知識を元に必要ならばアップデートをお願いしたいと思っています。
(検査項目は法令で決まっているので、国のえらい人にぜひ頑張ってほしい…!)
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