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Apple Lodgeに込めた思い。

「このレンガ造りの蔵が売りに出されるのだが、どうですか?」

2年前に、平岸ハイヤーにこんな話をいただきました。

『柳田家住宅旧りんご蔵』
これが現Apple Lodgeの正式名称になります。

国の登録有形文化財で、札幌市の景観重要建造物の指定も受けているレンガ造りの建物です。

約100年前に建てられ約30年間りんごの貯蔵庫としての役割を果たしていました。

その後、約70年前から個人宅の倉庫として2年前まで誰に知られることなく平岸という地域にひっそりと存在していました。

平岸ハイヤーも余裕があるわけではありません。

またタクシー会社にとって、
どうしても必要なモノでもないでしょう。

しかし、私はすぐに「買う」と心で決めました。

「そんな簡単に出せる金額ではないので、(心では決めても)少し考えさせてください」

と小心者の私はそう答えていましたが、絶対に買う!と決めていました。

なぜか?

その理由は会社のすぐ隣に存在していながら、私ですら気付くことのなかった有形文化財だったから。

いや、「気付いてはいるが、気にしてなかった」と言った方が正確かもしれません。

しかし、「誰が所有するか」と考えた時に、勝手に使命感の様な感情が湧いてきたのです。

「この歴史的な建造物が、この土地に愛着のない人間が所有したら」

「この土地のマンションの価値を知っている業者が開発のために所有したら」

『この蔵は、この土地に愛着のある人間が所有するべきだ』と。

そう思いが至った瞬間から、
居ても立ってもいられなくなったのを覚えています。

小心者で「何日か考えさせて」とは言ったものの、すぐ「買います!」と言いたくなったのを覚えています。

もし、半年この話しが遅くなっていたら、withコロナでした。
もしかしたら買えなかったかもしれない。

また、この話が1年以上早くもらっていたとしても買えなかったと思います。

あのタイミングだったからこそ即決ができた。そんな縁みたいなものも感じています。

そこからは、この価値のある建造物を、平岸のランドマークにもなりうるこの場所を、

「どうリノベーションし、どう活用していくか?」

と考え続ける日々が始まります。

まずは木々に囲まれていた蔵を、見事な赤松だけ残し伐採しました。

蔵の横は駐車場のガレージが建っていたのでこれも撤去。

道路からこの蔵が綺麗に見える様にするところから始めました。

工事中は、近所の人が「こんな建物あったんだ!」と何人も見学に来ました。

次は、無機質だった室内のモルタルの壁を剥がし美しいレンガの壁を内側からも見られるようにしました。

昔ながらの梯子階段を取り替え、床を一部抜いてロフトにしました。

キッチンも作りつつ、道路に上下水道が通っていなかったので、札幌市の関係者に掛け合い、通してもらいました。

蔵の外観を楽しむためにウッドデッキも新設し、外観、内観ともに大きくリノベーションしました。

ただしリノベーションしたとはいえ、大切にしたのは

蔵の中に足を踏み入れたらそこは

【大正時代】

そんなタイムスリップした感覚になってもらえる様に出来る限り、近代的な物は置かず雰囲気を重視しました。

多くの仲間に助けられて、多くのアドバイスをもらいながら1年半かけてリノベーションをしてきた結果、

約100年前の旧りんご蔵が

【Apple Lodge】

という名称の新しいスポットとして生まれ変わりました。

Apple Lodgeという名称に込めた思いは

Appleはもちろん「りんごの貯蔵庫としての歴史」に敬意を込めて、

Lodgeは「秘密結社の集会」といった意味合いもあるので、

ここで集まった人たちからイノベーションやコミュニティが生まれることを願って名付けました。

~Apple Lodgeのちょっとしたお話~として

まずは平岸ハイヤーというタクシー会社が

”なぜ”地域の価値ある建物を所有し、

”なぜ”リノベーションをしたのか、

というお話しをさせていただきました。

Apple Lodgeの基本スタイルは、『BAR Apple Lodge』として通常営業をします。

しかし、ここでは

限定レストランの開店
個展
撮影会
経営会議
商談
イベント    など

100人いたら100通りの、
いや1,000通りの活用方法があります。

一度、一人でゆっくり飲みに来てみてください。

あなたのインスピレーションが
かつてないほど沸いてくると思います。

【さぁ、あなたならここで何をする?】

そんな問いかけが聞こえてきそうな空間です。

今回、タクシー会社がなぜBARをオープンさせたか?について書くつもりでしたが、

所有した経緯やApple Lodgeになるまでの話でかなりのボリュームになってしまったので、

その話はまた次回に。

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