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フウガドールすみだで平日、土曜日、日曜開催のどれが一番観客が入っていたかを集計してみた

『最強の5人制フットボール』というフットサルという単語を用いずフットサルの意味を説明するシュールなキャッチコピーの元、13年目のFリーグが開幕した。

今年の駒澤セントラル6試合の最大観客数はすみだ北海道の1,409人が最高で、1,700人程度が定員の駒澤屋内のキャパを考えるとまずまずだが、2年目の第8節の代々木セントラルで当時の黄金カード、名古屋浦安戦が7,081人入ったことを忘れてはいけない。

とはいうものの代々木体育館が改装工事中であり、東京都心で5,000人以上入る会場で試合をすること自体が困難なことから、まずは現在開催可能な体育館のキャパを満員、というよりもまずは1,000人の来場を目指すのが目下の目標だろう。

目標は常に下方修正となる斜陽のFリーグだが、2016年に開幕したBリーグなど他の花形もしくは新規のアリーナスポーツとの競合もありここ数年土日の開催が少なくなってきた。

他の競技に押されて自治体からの優先順位が低くなる
 ↓
平日開催は土日開催より客入りが悪い
 ↓
露出と利益の両面で先細りになる

というのが平日開催増加で考えられるよくないシナリオで、今回は既にこのジリ貧スキームに入っているかを分析、考察してみたい。


Fリーグ全チームのデータを集計したかったが、考慮の結果、分析のしやすそうな1チームに絞ってすみだをサンプリング対象とした。
理由としては、

①平日の試合数が十分にあり、比較対象となる平日・土曜日・日曜日のバランスが良好
②リーグ内でも人気が安定していて極端に観客数が少ない試合がない
③複数会場ではなく墨田区総合体育館がメインアリーナとして固定されている
④自分がすみだのファン

だ。こちらをふまえて集計対象の試合は、

A.墨田区総合体育館で実施された試合のみを対象(大田区総合や町田市立総合などホームゲーム扱いの試合もあるがこれらは除外)
B.ハーフセントラルなど同日に複数試合が実施されたものはすみだの試合のみを対象
C.レギュラーシーズンの試合のみを対象(2015年に墨田区総合体育館で実施されたプレーオフは除く)

とした。
上記条件ですみだがFリーグに参入した2014年から昨年の2018年まででの集計対象となる試合は51試合となる。

早速だが以下が5シーズン分の集客数のまとめだ。
なお、表を見やすくするため10の位を四捨五入している(51試合の合計は61,427人。四捨五入後の合計は61,460人となり誤差は0.05%なので大勢に影響はないだろう)。


また、今回は合計と平均値だけでなく、中央値(メジアン)も加えた。
(年間に何度か無料動員やスポンサー買い上げなどのイベント設定があったと記憶しており、そういった特例で平均値をつり上げていない値を確認することが中央値を設定した狙いである)

平均値では平日と土曜日は拮抗しているが、中央値では平日に大きく軍配が上がる。


各日のイベントの施策がどうだったかや、開催時間の設定などの細かい要素は不明だが、数字上は日曜(祝日含む)>平日>土曜が結論になり、大半の人にとってはこの結論は少々意外なのではないだろうか(少なくとも自分はそう)。
ちなみに今年のすみだのホーム開幕戦は6/1(土)に実施され、観客数は4年間の中央値とほぼ等しい1,013人だった(著者もビックリ)。

こうなってくると気になるのが各日に観客が会場に足を運んでくれた理由で、Fリーグの顧客個人情報は収集されているのか、されていれば活かされているかが非常に気になった。

・金曜日は会社帰りが多い
・土日は家族連れが多い

程度が発想の乏しい自分が予想する観客のモデルケースだが、男女での来場比、何名で来場するか、などのデータが取得できればよりよい会場内のグッズやフードの展開、イベントの施策などが可能になってくるだろう。

金曜日では、
・客層の比率は会社帰りと学校帰りが7:3
・男女比は会社帰りが6:4。学校帰りは2:8
・男性の会社帰りは3名以上、学校帰りの場合は1名での来場が多い
・女性は会社帰り、学校帰りとも2名での来場が多い

・・・そんな実績値から各顧客の来場目的や傾向が見えてくれば効果的な強化施策(当然土曜日の弱点施策も)も検討しやすいだろうし、リーグ主導の元、各チームがデータを共有することができたら理想的だ。


しれっと自分の過去のブログを紹介するが平日と土日では施設使用料に差があるため平日に客足が堅調なのは現状望ましい。

前述の観客数の表の結果として、常に堅調な観客動員を挙げているイメージのあったすみだも実際は2016年をピークにここ2年は苦戦している。

今、すみだは独自のチケット予約方式(購入までではなくホームページ上から簡単な情報を入力して予約⇒当日会場で前売り券価格で手渡し)を行っているが、こういうチャネルを活かして来場する人の傾向を掴めるよう情報を収集し、その先にある活用までしっかり運用してほしい。
(これまでリーグなりクラブなりで度々開催される『イケメンコンテスト』なるものがあるが、集客策への利用としてはまったく意味のない情報だ)


『一度見てもらえれば魅力はわかってもらえる』

とマイナースポーツのファンは言いがちだが、継続顧客になってもらうためには一度見てもらった観客に試合以外の部分でも楽しんでもらう施策はもちろんあるべきで、そのための情報収集がなければ何をやったところで説得力や再現性は低いだろう。

最後にJ2降格、風間監督就任後、一気に観客数を伸ばしたJリーグの名古屋グランパスのチケッティングが興味深かったので紹介したい。

ダイナミックプライス(開催日までの期間や残席数に応じて席の金額を随時変更する)を採用するクラブは増えてきて、価格のみに焦点があたりがちだがチケッティングの本質は価格ではないことがよくわかる。

ファンのニーズを掴むことが人気の獲得には必要だが、ニーズを知るためには十分な情報が収集され、利用できる状態にあることがマストだ。
残念だがFリーグにはそういったデータはまるでないだろう。

今季のスポンサーにはアビームコンサルティングというコンサルタント会社がつき、今後盛り上げる施策を一緒に考えるというニュースがあったが、短期的な観客数増よりも今後に活かせる情報をどれだけ残せるかを重点的な施策として取り組んでほしい。

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