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私たちと、世間とどちらが間違っているのでしょう?

夫が罹っている精神科医に彼女がこんなようなことを訊ねる。

同じことをアインシュタインも問うている。

私も、いつも自分が間違っているように感じる。
戦争を正当化することや、添加物に反対することや、フードロスをかかげることや、全世界を救うことは不可能だと認めることなどに対して、憤りを感じる自分の方が世間とズレていると。
理想を選ぶことは、極論を求めることは、現実を見ることができない異常な状態なのだと。

人にはそれぞれ信念があって、似たような信念の人とかたまりを作って、陣地を争っていくことを繰り返している。

何故、そうなってしまうのだろう。

今、ここに見えている景色すら、きっとそれは私の個人的なもので、
世間からみたら、何を言ってるんだ?ただ上手くやるだけじゃないか、と言われそうだ。
マーケティング、マネジメント、公式、定理に沿って行くだけじゃないか。

嫌なんだ。
目の前に起こる出来事が、悲しみや怒りや虚しさを孕んでいると感じることが。
自分がそう感じる限り、私はそれに抗って生きていくしかないのだ。

この世界が矛盾を元に成り立っていて、その仕組みを壊してしまったら世界は世界で無くなってしまうとわかっていても、
私はそれをひとつにしてしまいたいという欲望から逃れられないのだ。

私は、この世界にとどまりたくない。今ある完全な仕組みを受け入れたくない。どれだけそれが正しくても。

なら、間違ったまま、抗い続けて死にたい。
それはひとりぼっちで孤独だ。
矛盾のない世界は、何もないのと変わらないから。

ただ、この世界に肉体がある限り、私はそれを求めて生きていく。
その途中で、沢山の素晴らしい矛盾に出会い、苦しみ悲しみ、そして喜び楽しむことができる。

この世界は完全で素晴らしい。でもとどまりたくない。
人間が生きていることそのものが矛盾なのだ。

むき出しの命は、むき出しの命を揺さぶる。
揺さぶられた人は、また誰かの命を揺さぶる。
そうやって世界は振動していく。

間違っていても、正しくても、そう感じることが確かなら、それが自分の歩む道なのだ。

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