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実録:福岡アジア都市研究所「市民研究員」の応募から論文までを振り返ってみました

2017年に福岡アジア都市研究所が主催する「市民研究員」に参加しました。
研究期間は、7月から2月までの8ヶ月間。3月に参加研究員の論文をまとめ、福岡市副市長に提言書として、提出しました。

今回、その時、応募から論文まで、どのようにまとめていったのかをまとめてみました。

研究の流れ

本研究の流れは以下の通り。

1.研究概要の作成
2.研究の方向性を固める
3.研究・調査
4.研究骨子作成
5.論文作成

毎月2回定例会を実施。
毎回、進捗確認と福岡市役所から各部署の方に来ていただき、現在の福岡市の市政についてレクチャーを受けていました。

今回、マイルストーン毎に提出した資料を公開して、どのように研究内容が変わっていき、論文としてまとまっていったかを紹介します。

応募提出資料

福岡市は都会で自然も多く、東京と変わらない街だと考えていました。
2005年、転勤で上京し、そこで福岡が一地方都市で、単なる支店経済の街であるということに衝撃を受けました。
また、岩田屋、フタタ、ベスト電器など、福岡では圧倒的No.1であった老舗が、今や本州資本の子会社となっており、今後福岡だけ、日本だけを見ていては、画一化され、福岡らしい街の成長というのはないのではないかと危惧していました。
そんな折、今回の研究テーマを拝見し、ぜひ自分でそのポテンシャルは何かを研究したいと応募させていただきました。

現時点で研究したい事として、エンターテイメントがもたらす福岡コミュニティについてということがあります。
現在、福岡ソフトバンクホークスは福岡の街に浸透しており、その浸透度は、ビジネスにおいてホークスネタを話せないと営業にはなれないとも言われるまでです。笑。
しかし、その他のエンターテイメントについては、ホークスほどの盛り上がりを感じることができません。
福岡には、アビスパ福岡やライジングゼファーフクオカを始めとして全国リーグで戦うスポーツクラブがあるが、ともに集客・経営には苦しんでます。また、過去には福岡シティ劇場という劇団四季専用劇場があったが経営難のため現在は専属契約解除となっています。
住んで楽しい街福岡と考えると、野球以外のエンターテイメント文化が醸成していき、多様化が必要ではないかと考えています。それを実現するためにはどうすればよいのかという研究を行いたいです。

こちらは、2017年5月に応募した時に提出した研究テーマおよび動機です
福岡がいち地方都市であること、野球以外のエンターテイメントが盛り上がりにかけていることなどを課題として、研究したいと言っていたようです。

それが採用され、25人応募の中から5名の研究員枠に採用いただきました。

研究概要

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研究員になって、最初に作ったものが、研究概要です。
2017年7月に提出しました。

研究員がどのような課題を感じていて、そのためにどんな調査を行っていくのかをまとめる羅針盤のようなものです。

今見ると、課題が大きすぎて、まとめるのが無理そうです。笑。
実際、担当の方にも視点は良いが、研究テーマが広すぎるので、焦点を絞ったほうがよいというお話をいただきました。

研究作業計画書 初版

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研究概要を元に、2017年9月にどのような調査を行うのかという計画を作成しました。
前回の概要書から、自分に一番興味関心があったスポーツMICEに焦点をぐっと絞って、計画書を作成しました。

ここまで絞り切ることで、より深い研究ができるようになります。
実際、この判断によって、情報収集の質も格段に上がっていきました。

研究作業計画書 FIX

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約1ヶ月かけて、この計画書を練り直しました。
その間、スポーツ関連市場を15兆円規模にする計画や、スポーツベニューなど知り、日本がなぜスポーツビジネスをコアビジネスしようとしているのかということを知ったこと、福岡市の都市計画について学んだことにより、ぐっと多機能複合型スポーツ施設の有用性について確信が持てるようになりました。

ここまでくると、最初に書いた概要書がどれだけふわっとしていたかがわかりますね。

中間報告

11月に中間報告会を実施。研究状況(進捗)について、過去の研究員の方をお呼びして発表しました。

研究の背景
研究作業計画
 福岡の基本計画における課題
 都市比較(政令指定都市、第3極都市)
 世界大会概要
 多機能な複合型スポーツ施設事例
福岡市のスポーツ(健康)に関する計画の現状と課題
福岡市への提言

簡単に現状の調査内容や世界のスタジアムについてなど報告をしました。

しかし、この発表には過去の研究員の方に、「結論ありきで研究と言わない」とお叱りをいただきました。
この資料だけ見ると、福岡市が抱えている課題感とのリンクが薄いことがわかります。

最終発表

2018年3月。4ヶ月間、更に研究を重ねて、最終発表を行いました。
発表では、研究結果のなかでも一番ワクワクする部分だけを切り出して発表しました。

今回改めてスライドをみたら、自分でもワクワクしちゃいました。笑。
みなさん、いかがですか?

論文

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福岡の街がワクする未来型スタジアム研究 福岡の街がワクする未来型スタジアム研究

最終的にまとまった論文がこちらです。
スポーツビジネスへの考え方、スタジアムなどの施設についての考え方、世界との比較、福岡市が抱える課題とそれに対するソリューションの提案をさせていただきました。

個人的にも非常に満足のいく論文を書き上げることができました。
特に、研究についての進め方について学べたことが何よりの成果でした。

令和2年度市民まちづくり研究員

福岡アジア都市研究所では、市民研究員が「市民まちづくり研究員」と名前を変えて、本年度も研究員を募集しています。

本年度のテーマはこちら

『SDGsの理念を踏まえた持続可能な福岡のまちづくり』

締切は6月12日です。
時間はないですが、興味がある方は、面接もあるので詳細はそこで伝えれば大丈夫なので、ぜひ応募してみてください。

くわしくは、こちらをご覧ください。

令和2年度市民まちづくり研究員
http://urc.or.jp/r2shiminmachidukuri


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