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ゲームデザイン超入門

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ゲームデザインなどを見直すきっかけになるメモを書いていきます。初心者向け。
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#ゲームプランナー

電子書籍『ゲームデザイン力を育てる50の講義』を出版しました。

noteを毎日更新したおかげで電子書籍がつくれました。メインの仕事以外に趣味とか副業で、なにかをアウトプットしたいなあと思っていました。でも、なかなか続きません。 そんな時『習慣づけをするには、細切れに小さくして・無理なく・毎日やれる範囲でやったほうが良い』という動画をみました。たしかに、これは思いあたります。 だったら、まずは一番好きなゲームでやってみる! そう思ってはじめたプロジェクトがゲームデザインやゲームシステムに関するエッセイ『ゲームデザイン超入門』です。 毎

ゲームデザイン超入門|『あらゆるゲームジャンルにRPG要素が入りつつあります』

二十年前、ゲーム業界の先輩に「ロールプレイングゲーム(RPG)は誰もがゲームをクリアできるのが最大のメリット」と教えてもらいました。 今でも至言だと思っています。 RPGは経験値をコツコツためていけば、レベルがあがってつよくなります。時間さえかければ、ほぼ全てのプレイヤーがエンディングをみることができるしょう。満足感があり続編への期待が高まるコンテンツです。ロールプレイングゲームがナンバリングタイトルになりやすい大きな理由です。 アクションゲームやパズルゲームと比較して

ゲームデザイン超入門|『いつも同じやり方でブレインストーミングをしていませんか?』

それにしても『スプラトゥーン』の「ナワバリバトル」は、サードパーソン・シューティングの再発明といってもよいくらいの素晴らしいアイデアですね。なんどやっても感心します。 わたしたちも負けずに再発明に挑戦したいものです。そのためには切り口を変えて考えてみることが必要です。たとえば任天堂のスタッフになりきってみませんか。 任天堂の経営方針説明会の資料に「娯楽を通じて人々を笑顔にする会社」という定義があります。こういうキーワードを元に考えるのです。 あそんで誰もが笑顔になれるサ

ゲームデザイン超入門|『固定画面のゲームから考えてみよう』

私はゲーム作りに慣れていない人には固定画面をすすめています。現代的なゲームであそんでいると画面スクロールや拡大縮小があたりまえだと考えてしまうでしょう。 固定画面でも面白いゲームをつくることができます。むしろ固定にしたほうがよいゲームもあるのです。 リアルタイム対戦型カードゲーム『クラッシュ・ロワイヤル』はRTSの面白さを凝縮したコンテンツとして大人気です。多くのPC向けブラウザゲームも固定画面にも関わらず長期運営されています。 固定画面のゲームはすべての状況を一瞬で把

ゲームデザイン超入門|『ガンシューティングから演出を学ぼう』

ゲームセンター向けのガンシューティングゲーム『レールチェイス』は迷路のような洞窟をトロッコで駆け抜けます。プレイヤーキャラクターは自由に移動ができません。動かせるのはガンで狙うためのターゲットだけです。ゲームの結果はすべてガンさばきで決まります。ルートの選択も「分岐レバー」を撃つことによって決まります。 ガンシューティングゲームだから、このような設計になるのはあたりまえともいえます。ですが、任意に移動できない制限があるからこそ、視点(構図)とタイミングが固定されて、通常の移

ゲームデザイン超入門|『時をもどそうにも、一工夫』

レースゲームやアクションゲームで時間を巻き戻すことによって、ミスをなかったことにするゲームが増えてきています。 わたしが大好きなスノーボードゲーム『SSX』シリーズでも、2012年にリリースされたリブート版『SSX』に巻き戻し機能が入りました。 「リワインド機能」といいます。 このゲームの場合、カーレースよりも先がわかりにくく、クレバスなどの危険な場所がたくさんあるのでありがたい機能です。 『SSX』の「リワインド機能」には一工夫されていました。 アクションしたプレ

リアルタイムストラテジー(RTS)の考え方は対戦ゲーム以外にも使えます。

複数のユニットにリアルタイムに指示をだすというメカニクスは、RTSのような対戦ゲーム以外にも使えます。 たとえば1991年にリリースされたアクションパズルゲーム『​​レミングス』は、複数のユニットに指示をだし、そのユニットたちをゴールに導くアクションパズルゲームです。 ゲームに登場する子ネズミ「レミング」たちは、自分で危険を判断することができず、トラップがあろうと崖や海があろうと、ただひたすらに前進します。プレイヤーができることは、穴ほり・立ち止まり(壁になる)・壁のぼり

リアルタイムストラテジー(RTS)との出会いを思い出してみる。

複数の味方ユニットにリアルタイムに指示をだし、敵拠点の破壊などを目指す戦略ゲームをRTSといいます。俯瞰視点のものが多く、マウスでプレイすることに適したゲーム性なのでPCゲームの普及と共に人気のジャンルとなりました。 わたしがRTSに初めて熱中したのは1988年に発売された『ヘルツォーク(Herzog)』です。自ら攻撃し、ユニットの運搬も可能な人型巨大ロボット兵器を操りつつ、ユニットを生産し、指示をだす。初めてのゲーム性に熱狂しました。 このゲームの隠しメッセージに企画書

テキスト入力式のアドベンチャーゲームは、絶滅したはずでした。

アドベンチャーゲームは黎明期をすぎるとコマンド選択式やポイント・アンド・クリック式に完全に移行し、テキスト入力式は廃れてしまいました。圧倒的にプレイがしやすかったですし、入力する単語を知らないとゲームがクリアできないという致命的な欠陥があったので当然です。たとえば『デゼニランド』(MSX版)であそんだ時は、子供だったこともあり「POLISH PILLAR」がわからなくて悔しい思いをしました。 テキスト入力式のことなど、すっかり忘れていた2015年に『Her Story』がリ

ロールプレイングゲームの主人公は弱い方がよい。

約30年前にRPGをつくったときの失敗談です。 世界観・シナリオを任されました。主人公は“最強の剣士”という設定にして制作したのですが、どうもしっくりいきません。 設定どおりに強いキャラクターにしてしまうと、あまりにも簡単すぎます。仲間やアイテムのありがたみもありません。逆に弱くしてしまうとセリフや設定と矛盾します。最後の最後まで悩みました。 これは初代『ドラゴンクエスト』(ファミコン版)のチラシに書かれているキャッチコピーですが、名言です。ここまで真正面から主人公が弱

パラメータで世界観を表現しよう。

今回は『ラストハルマゲドン』のパラメータを紹介します。 体力(H.P) 魔力(M.P) 攻撃力 防御力 気力 悪運 敏しょう性 ブレイン指数 独特のものが入っています。まず、システムとして面白いと思ったのは「気力」です。 ピンチがチャンスになる仕組みになっています。やられればやられるほど強くなるというのは、たしかにモンスター的です。 もうひとつの特徴は「ブレイン指数」で、モンスターの性格をあらわしています。 「ブレイン指数」内の5種類の明細(好奇心、殺

わかりやすい目標と進捗状況の可視化について。

これは『ラストハルマゲドン』の序盤に置いてある石板に書かれている文章です。ゲームクリアの条件に108の石版が大きく関わっていることが、すぐにわかります。しかもパッケージの付録として、大判の世界地図と石版の位置を記録するチェックシールまでついていました。 魔族が支配している謎に包まれた世界を大量の会話ではなく、石版のテキストで少しずつときあかし、プレイヤーに想像させながらプレイしてもらう構成です。 余談ですが高校時代の友人エム君は、このゲームをMSX2版で解きました。クリア

ビジュアル・ストーリー・システムの3大要素で世界観を表現するのがゲームデザインです。

『ラストハルマゲドン』では主人公である「魔族」を表現するために、独特なシステムが入っています。まず1つ面白いのは時間帯によって行動できるモンスターが変わることです。 10:00〜22:00(昼)はオーク、ハーピィなどが行動します。22:00〜10:00(夜)はガーゴイル、ゴブリンなどの夜行性モンスターが暗躍します。 そして月に一度、時間が10倍の遅さで流れる「サルバンの破砕日」がやってきます。この日は昼も夜もなく、ゴーレムやアンドロスフィンクスなどの特殊モンスターが終日行

キャッチコピーは「最強最後のRPG遂に登場!!」どんなゲームか想像できますか?

このゲームの12種類の主人公を紹介します。 オーク、ハーピィ、スケルトン、ガーゴイル、スライム、ゴブリン、サイクロプス、アンドロスフィンクス、ジャイアントスネーク、ミノタウロス、ゴーレム、ドラゴンニュートです。 なかなか大胆なパーティが組めそうですね。これは人類が滅亡した後の世界を描いた RPG『ラストハルマゲドン』の設定です。 しかも敵は宇宙からの侵略者・エイリアン。衝撃的な世界観で人気となり、たくさんの機種に移植されました。権利の問題なのか近年は移植やリメイクがあり