三浦春馬と私。
まずは、そもそもの私の中での三浦春馬君がどういう存在であったかを整理したい。
最初の記憶「JR東日本 MY FIRST AOMORI」
私が三浦春馬君に対して好印象を持った最初のきっかけは、2010年、JR東日本の「MY FIRST AOMORI」のテレビCMだったように思う。
これは東北新幹線の新青森駅開業向けてのシリーズものだった。
春馬君は、東京から東北にやってきた新人駅員役(トーキョー)で、青森の女の子との淡い恋もしながら、新幹線の新駅開業に向けて緊張と期待に胸を躍らす若者を演じていた。
それまで、細身の高校生というイメージが強かった春馬君が、初々しい社会人の溌剌さ、透明感を存分に表現し、それが実に印象的だった。
CM全体の演出的にも、地元の人々の「新幹線が青森までやってくる。」というワクワク感と、「新幹線を青森まで持って行きますよ。」というJR東日本の使命感みたいなものまでよく表せていた、良い広告だった。
このCMは、それ以前より「新幹線のテレビCMが好き」というニッチでマニアックな私のツボを押しまくり、すぐさまにとはいかなかったが、数年後、私は東北新幹線に乗って新青森駅まで行った。
青森に用はなかったが、単純に、春馬君のいた、あのCMに出ていたあの駅まで、東北新幹線で行ってみたかった。
私みたいに、あのCMの影響を受けて、実際に新幹線に乗って新青森駅まで足を運ぶ人が出たということは、CMとしては大成功だと思う。
今でもこのCMは大好きで、時折、見返したくなる作品だ。
心を鷲掴んで離さない「ラスト♡シンデレラ」
リアルタイム放送から少し遅れての2015年、何がきっかけかは忘れたが、FODでドラマ「ラスト♡シンデレラ」を見た。
このドラマのキャッチコピーは「女の本音 VS 男の本音、ちょっとエッチな大人の恋物語。」だったのだが、見始めた途端、ものの見事に、少し大人になった、ちょっとエッチな春馬君にどハマりする。
春馬君は、いつからこんなに大人の男の色気が出るようになったのか。
あんな風にキスするのか、あんな風に押し倒すのか、あんな風に抱きしめるのか。
春馬君の一つ一つの仕草に、言葉に品がないが、膣キュンする。
あぁ、三浦春馬君、好き~~~っ!!!
年齢問わず、多くの女性が、佐伯広斗君を演じる春馬君にハートを掴まれたのではないか。
当時のFODは一話ずつポイントで購入する仕組みだったが、足らぬポイントも追加購入してまでして全11話を一気見し、見終わった翌日以降、暫くは春馬君の数々のラブシーンを頭の中で回想し、にやけ顔で生きていけたものだ。
私の年齢はJUJUさんと同じぐらいなので、このドラマの主人公である篠原涼子さん演じる遠山桜の気持ちもよく分かり、感情移入しまくった。
広斗君みたいな、若くてカッコいい人から好かれるなんてことは実生活ではありえないのはよくわかっているけれども、ドラマの中では桜さんがたっぷり広斗君に愛されて、私も恋愛させて貰った気分になっていた。
このドラマの撮影時、春馬君は22、3歳位だったのだろう。
15歳も年上の女性とのラブシーンに全力で挑んでくれてありがとう。
春馬君、最高。
目の保養という言うか、見ていて、とてもとても楽しい、心満たされるドラマだった。
桜さんがピザを食べていたところに広斗君が来て、そのままベッドまでなだれ込むシーンは、私の心のラブシーンベストテンの第一位だ。
砂漠の中のオアシスのよう「世界はほしいモノにあふれてる 〜旅するバイヤー極上リスト〜」
「ラスト♡シンデレラ」で春馬君にハマっても、その後、彼の出演作品はほとんど観ていない。
「世界はほしいモノにあふれてる 〜旅するバイヤー極上リスト〜」も、実は自らチャンネルを合わせて観ようとしたこともない。
週の半ばを過ぎ、ちょっと疲れが溜まってきた木曜日の夜、お風呂から出たあたりで何となしにテレビに映っていれば、ぼけ~っと世界の美しいモノを眺め、何か飲み、JUJUさんと春馬君の緩い会話を流し聞く。
そういう類の番組だった。
JUJUさんと春馬君が何を話していたかも覚えていない。
時折、この番組では、春馬君の人の良さ、可愛さが炸裂する瞬間に出くわすこともあるのだが、「春馬君、カッコよくなったな。大人になったな。素敵になったな。そんな春馬君に幸あれ。」と、姉というか、親戚のおばちゃんみたいな、草葉の陰から見守るような、そんな感情をぼけ〜っと抱くだけだった。
あの笑顔が、かっさかさに乾いた私の心に沁み入り、少し湿り気を覚えたところで「はい~、癒されました。春馬君、またね。」と思いつつ、私自身、いつ次の放送を観るのかはっきりしないけど、薄っすらと楽しみにしながら、いつも番組を終えていた。
2020年7月16日の放送の時もそうだった。
そこに春馬君、貴方がいるのが当然だと思っていた。
再演を信じて疑わなかった「キンキーブーツ」
元々、私は気になる演目があれば、ミュージカルは観に行く方で、特に、マイノリティに関するテーマの作品には強く興味を惹かれていた。
「キンキーブーツ」も、ドラァグクイーンのローラが出てくるわけで、キャストが誰であろうと、いつかは観に行きたいと思っていた演目の一つだった。
しかも音楽はシンディ・ローパー、きっと楽しいミュージカルに違いないと踏んでいた。
2016年の初演時には、日本公演の情報を全く知らず、見れずじまいで終わった。
主役のドラァグクイーンを演じたのは春馬君だと、後から知った。
「へ~、意外。でも、春馬君、歌上手だもんね。ミュージカルもいけるんじゃん?」と、アミューズのイベントか何かで歌う彼の姿を思い出した。
2019年の再演時は、チャンスがあるなら観てみたいと思っていたものの、私の情報のアンテナが低く、上演を知ったのは開演してからでチケットは取れなかった。
これを見逃したのは本当に悔しかったが、やはり世間の春馬君の評判は良かったので、これはこの先、何年にも渡って、繰り返し再演されていくものだと信じて疑わなかった。
海外で「キンキーブーツ」を観た同僚からは、ストーリーと音楽が最高に良いから絶対に観た方が良い作品とも言われ、再来年かその次の年ぐらいにはきっとまた行われるだろうから、その時は絶対にチケット取ってやると思っていた。
それは去年の秋ごろのことだった。
私の日常に三浦春馬はいない。
これだけだ。
私の中の三浦春馬君の思い出はこれしかない。
彼のことが好きで好きでたまらなくて、四六時中彼のことを考え、彼の出演作品を全部見るような、そんな熱心なファンではない。
世代も違うので、私の青春に春馬君はいない。
春馬君みたいな彼氏が欲しいと思ったこともない。
共に大人になった感覚はない。
ただ、三浦春馬君という俳優には好感は持っていた。
それはアイドルに執心するような感覚ではない。
ダンサーの女性との交際報道を見た時も、嫉妬するどころか、私はそのダンサーの女性のことも好きだったから、私がそれぞれ好きだった二人がカップルになってくれて、むしろ嬉しかったぐらいだ。
三浦春馬君という俳優は、年がら年中、映画、ドラマ、色んな作品に出ているから、こちらから観に行こうとしなくても、番宣なりなんなりで、彼の姿は何かしらで目にする。
その度に、年を重ねてきて大人の色気が増してきたな、良い年の取り方をしているなと、彼の成長が嬉しかった。
今の江口洋介さん、竹野内豊さん、反町隆史さんがとても素敵であるように、春馬君もこれから先、どんどん人としての深みを増して素敵な俳優になっていくのだろうと思っていた。
少し距離感を持って、見守っていきたい、そんな存在だ。
私の、春馬君との接点はそれだけだ。
私の毎日に、春馬君がいたわけではない。
むしろ、いない日がほとんどだ。
私の人生に春馬君がいた割合は、実に微々たるものだった。