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不思議の国の豊37/#盗賊と言う生き方

前回はここまで、そして

#盗賊と言う生き方

僕は自分の生まれた祖国のために戦おうと思った。

それ以前に、一緒に育った同じ国の同胞のためにも戦いたかった。

だから、親戚の反対を押し切って、

祖国での徴兵検査に向かった。

アジアを開放したいと思っていた。

祖国の言う、アジアから植民地を無くすという

理想に心が動いた。

だから

この国も解き放ちたいと思っていた。

それを支援するという祖国の意図にも賛同していた。

僕には、何より、何かをやろうとすれば、

誰よりも早く、誰よりも確実に、誰よりも効率的に

目的を達成する自信があった。

僕に勝てる者は同年代の文武両道で誰もいなかった。

自信満々だった。

しかし僕は親戚や親しい友人が言う

肝心な問題を理解してなかった。

僕は実力が全てだと思っていた。


しかし違った。

祖国は、いや祖国の軍部は

僕のような人間は必要としてなかったのだ。

軍部は、男を兵士と位置付けていた。


それはさすがの僕も知らないことではなかった。

様々な分野で、その軋轢は社会に出ていた。


数年後、僕は盗賊の頭領に祭り上げられていた。

悪い気はしなかった。

不正な手段で肥え太った

イギリス人や中国人の館を襲い、

そこで奪った、金品を貧しいものに配るのだ。

まるで、祖国の古い時代の「鼠小僧」とか言う義賊にでもなったように

僕は勘違いをし、高揚していた。


これは、このやり方は、僕は

僕の友人の国だけでなく、この時代の

いろいろの国から僕の助けを必要とされた。


ある意味僕は有頂天だった。

可愛い妹がこの国のもともとの住人で無いものに

首を切断されて惨殺されたことの

かたき討ちをしているのもあったが、

何より、

僕を否定し認めなかった祖国の軍部への、

僕が何ができるかの誇示・提示でもあった。

本当は、親戚の一番の知恵袋の

おじさんの意見を聞くべきであったと、

僕の血管に注射をされる

病原菌が体に入る前に

気付くべきだったと思いながら

意識はすぐになくなった。

以下次号





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