言葉少なに炎昼の父
蝋人形の纏ふる涼気
床突っ伏して頬の涼しき
翅てらてらと夏昼下がり
飛沫に濡れに席移る子ら
涸れたる喉に放水開始
すすきの先の風の涼しき
非情の示す温湿度計
変わらぬ顔の選挙ポスター
げっぷ堪えて宇宙遊泳
浴衣ほどけば息飲む刺青
五月闇入る五十路微笑む
泥をはたいて食ふ山櫻桃
あちらこちらに追ふ青蛙
瓦礫の山の猛き国鳥
十八番のキーを下げて汗ばむ