ふたり
「ハトとハトみたい。二人がキスしているところって」
ハトも甘噛みするんだって、僕はサムの言葉で初めて気づいた。
雨上がりの昼、水たまりの水を飲むハトは、水面に映るもう一匹の自分を無視して、ごっくんと喉の動きがわかるほど雨水を飲み込んだ。
そのハトを指差して、なんて神秘的なんだろうと僕はもらしたんだ。
「ひとりで必死になっちゃうところが君みたいだね、マリウス」
サムは僕の襟足を撫でた。
そして、反対側にいる二匹のハトの方へ視線を注いだ。まるでその二羽が本当に僕ら以外のカップルとして存在することを認めるみたいに、静かに邪魔をしないで、サムは綺麗な長い指でそこを指し示した。
その瞬間、サムとマリウスは二匹のハトになった。
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