COCOAに「接触通知」が来て、無症状でPCR検査を公費で受けてみた
■はじめに
これは新型コロナウイルス接触確認アプリ(以下、COCOA)から接触通知が届き、無症状ながらPCR検査を公費で受け、陰性が確認されて、その検査結果を受けるまでの個人の記録です。
東京都在住で「たまたま気軽に行けるエリアに『COCOAの接触通知があれば、無症状でも公費でPCR検査を受けられますよ』というクリニックがあった」という状況で、地域によっては、同様の対応をしているクリニックがないケースも多々あると思います。
また、医療関係者でも、当該クリニックの関係者でもありませんので、個別の問い合わせなどは対応しかねます。あくまで「一個人の体験談」である点をご理解・ご了承ください。
余談ですが、最初はFacebookに投稿して、そこそこ反響があり「ブログとかにまとめたら?」と勧めてくれた人がいたこと、ちょうど「noteを始めようかな…」と思っていたので、こういう形にしました。
■「そんなクリニックがあるんだ…」と知った直後、COCOAから接触通知が届いた!
2020年9月16日(水)Facebookを眺めていたら、知人が「接触確認アプリやiPhoneの接触通知が来た人は、公費でPCR検査が受けられるクリニックを教えてもらった」と投稿しているのを発見。
“超低リスクな自粛生活しているけど、知っておきたい情報だな…”と、投稿に「いいね!」を押して、リンク先をチェックしながら思った。
“無症状でもCOCOAから接触通知が届いた人には、積極的に診療やPCR検査受け入れをしているのか…こういうのがあると、いろいろ安心だよねぇ”
――この時点では、単なる情報収集フェチなサイト確認でしかなかった。それが数時間後、何の気なしにCOCOAを立ち上げてチェックすると、陽性者との接触記録が、絶妙すぎるタイミングで届いてしまったのだ。
日付を確認すると、9月2日(水)。潜伏期間を考慮した隔離期間とされる2週間前のこと。もちろん、発熱や味覚・嗅覚障害といった症状は全くない。
接触があったとされる日は隣の商店街に出かけたが、数時間一緒にいた人とは、ずっとマスクしたままでの対応。その後、出先でマスクを外して飲食した時は、お一人様。買い物や移動の間は、もちろんマスクをしていた。念のため、一番滞在時間が長かった場所で、感染者が出た形跡がないかを確認したものの、そんな様子もない。
・接触日から2週間
・無症状
・誰とも濃厚接触していない(この日に限らず)
この条件下では「むしろ、罹っていたらビックリ」と思いつつ、“なんでも経験しておいて、損はない”な好奇心旺盛キャラが発動する。しかも、翌朝にはチェックしていたクリニックの近所に、出かける用事があったのも後押しになった。
■簡単すぎるWeb予約をしつつ、COCOAの窓口にも連絡してみた
Facebookから数時間前に「いいね!」した投稿をアクティビティログでチェックし、改めてクリニックのサイトを確認して、9月17日(木)午前でWeb予約。
https://www.clinicfor.life/articles/covid-065/
(クリニックのTOPページではなく、あえてCOCOA通知から外来予約する場合の案内ページをリンクしておきます。ページの中盤に予約用のリンクがあり、手続きも簡単です。なお紹介については、クリニックにもOKもらっています)
15分刻みの日時を指定し、指示通りに必要事項を記入して予約と登録をする。数分後にはオンライン登録の各種確認メールを受信し、登録メールアドレスの確認リンクをクリックして、もろもろの手続きが済んでしまう簡単設計。オンライン手続きはユーザーのリテラシーが問われるケースもあるけれど、かなりシンプルでわかりやすいのも好感触なサイトになっている。
そんな先回りの検査予約をし、順序は完全に逆なんだけど「COCOAの通知に従って、手続きしたらどうなるの?」も確認したくなるのが、好奇心キャラの宿命なので窓口にも連絡してみる。
(オンライン上でも問合せ可能ですが、あえて電話連絡を選択)
COCOAから接触通知が届いた旨を伝えると、通知された接触日をはじめ
・症状の有無
・思い当たる濃厚接触の有無
・家族に感染者や症状のある人はいるか?
・職場や接触した友人などに、感染者や症状のある人はいるか?
・新型コロナウイルスが重症化しやすい既往症などはあるか?
など、マニュアルに従った質問をされ、私の答えは全て「ありません」「いません」。
そして「COCOAから接触通知が届いたら、公費でPCR検査を受けられるクリニックに予約を入れている」と伝えると、担当者の様子がおかしくなる。
「PCR検査を受けたい場合には、地域の保健所からの紹介がないと公費ではなく、自費診療になります。ご自分で予約済みということは、公費でのPCR検査にはなりません」
んー? そんなはずはないんだけどなぁ…(*なぜかは、次の章で)となりつつ、その後の話を総合すると
・公費でのPCR検査を希望するなら予約は取り消して、まずは保健所に問い合わせて。
・2週間が経っていて無症状だと、恐らく公費PCR検査は難しい。
・その状況で、公費でのPCR検査の紹介がされるかどうかは、対応する保健所の担当者次第。
という。
こちらも“この状況で、あえて電話対応を選択して申し訳ない…”気持ちがあって、ひとまず管轄保健所の連絡先を聞いて、「わかりました。ありがとうございましたー」と電話を終了した。
でも、保健所にも連絡はしなかった。「心配性な人がこの状況だと、納得しないよなぁ」と思いつつも、“察し…というか、わかりみ”があったからだ。
■どうしてCOCOA窓口では「公費でのPCR検査できます」と言えないのか?(推測)
ここで少しだけ体験談から逸れて、COCOA窓口でのやり取りで公費PCR検査に否定的な反応をされ、どうして“そんなはずはないんだけどなぁ”と思ったかを説明しておきたい。
8月21日に厚生労働省は「COCOAから接触通知が届いた人には、無症状でも保険診療や公費でのPCR検査を実施するように」と、各自治体や保健所などへ通達している。
https://www.mhlw.go.jp/content/000661724.pdf
私が予約したクリニックも、この通達を基に積極的な検査受け入れをしているようなのだが…たぶん全国的に珍しい存在なのかと。
そもそも地域による医療格差があって、病院の数だけでも東京都心と地方では、環境が違う。検査結果が陰性であれば問題はないが、陽性だった場合には症状に応じた受け皿が必要なわけで、その受け皿の不足している地域で「検査だけ、積極的にやります!」というのは、なかなかできない相談だろうなぁ…と想像がついた。
そんな中で、全国からの問い合わせに一括対応する窓口では「厚労省の通達は受けたけど、保険診療や公費PCR検査を積極受入れ可能な病院がないから、それまでと同様に控えめ対応しかできない」という、多くの自治体の“実態に即した”やり取りにせざるを得ない――ってことなんだろうなぁ…とも推測できてしまう。
ただ、こうした推測が成り立った時点で「本当は、COCOA通知者は、公費PCR検査の対象ですよね?」と窓口の人を問い詰めたり、保健所の人と悶着したりするのは、“もう検査の予約しているんだから、やるべきじゃないな”と思い、個人の憶測にとどめることにした。(これが仕事の取材活動だと「憶測」なんて、ヌルいことはしませんが…)
■受付⇒問診票記入⇒受診⇒検査⇒会計まで、20~25分で完了
9月17日(木)の午前、前の用事が早く済んだのでコーヒーショップで時間調整し、初診の問診票記入を考えて早めにクリニックに到着。
駅から直結の商業ビルにあるクリニックで、ビル内にいくつかの診察施設が点在し「発熱外来」は専用のスペースになっていた。専用のせいかそもそも全体に小スペースで、待合室も狭いけれど
・一方向の座席
・1席ごとに仕切るコの字型ビニールカーテン
・基本はWebのみの予約で混雑はしていない
・スペースの割に大型の空気清浄機が稼働
となっており、「接触感染が基本の特性を考えれば、充分そうだな」と思える設備。
受付後に、問診票を記入して提出し、予約時間ピッタリに診察室へ呼ばれる。問診の内容は
①Web予約の時点で状況も記載しておいたので、COCOA通知の画面(主に接触日からの経過日数)と事前の記載内容の確認。
②「万が一、症状が出た時のために葛根湯などの薬を出していますけど、必要ですか?」と聞かれ、「自宅に風邪薬や咳止め等の市販薬は常備薬としてあるので、特には…」ということで、なしに。
③可能であれば抗体検査も受けたかったが、そちらは「公費扱いにはならない」とのことで、今回は見送ることに。
問診後は待合室に戻り、数分で検査室に呼ばれて採血と唾液の採取――だったところ、唾液採取の直前に「あ。すいません! 私、ここに来る前にお茶した後、マウスウォッシュを使っちゃったんですが、唾液で大丈夫ですか? リステリンなんですけど…」と慌てることに。
(歯科医や病院の受診前にマウスウォッシュする習慣があって、クセでついうっかりやっちまいました…)
検査員の方が先生に確認してくれて「ポピドンヨードはダメだけど、普通のマウスウォッシュなら大丈夫」ということで、そのまま渡された容器に自分で唾液を採取して提出。
そんなスッタモンダをしつつもスルスルと受診・検査が完了して、会計が終わり、クリニックを出るまでの所要時間は20分ほど。予約が前提とはいえ、本当に短時間で完了。ちなみに費用は、初診料を含めて4,380円。
PCR検査の結果については、陽性の場合には電話連絡が入る予定で、陰性の場合には電話連絡がなく、翌々日昼以降にWebでの確認に加え「検査結果を聞くための受診」が保険診療の規定だという。
「これで陽性だったらビックリ」と思いながらも、翌日はなんとなく電話を気にしつつ1日を過ごすことになった。
■連絡は遅れたけれど、無事「陰性」を確認
検査の翌々日の昼にはWebに結果登録のメールが届いて、オンライン上で陰性確認ができるフローのはずだったが、9月19日(土)15:00を過ぎても検査結果が表示されず…。
16:00時点で問い合わせフォームより、検査結果が出ていない旨を送信すると、自動返信で以下の内容が届く
「新型コロナウイルスPCR検査・オンライン診療に関しては、来院患者様および問い合わせが大変多く、現在、メールの返信にお時間をいただく状況となっています。
また、クリニックに直接お電話いただいても、大変恐縮ですが、現在患者様が殺到しており、対応できかねる場合がございます。」
利用者が増加して、処理が遅れているのかな…と考え、とりあえず待つことに。
その後、21:25に【PCR検査結果のご連絡】メールを受信。21:28には、検査結果のWeb登録を完了したとの報告と併せて、問合せへの返信が届いた。
Web登録のマイページで確認すると、PCR検査結果に「陰性」と表示されているほか、「新型コロナウイルスPCR検査 陰性証明書」PDFのダウンロードリンクがあり
その文面は
・新型コロナウイルスPCR検査 陰性証明書
・受診者の氏名と生年月日
・証明内容
2020年9月17日、新型コロナウイルスPCR検査実施
SRL株式会社にて検体検査を実施。新型コロナウイルスPCR検査「陰性」を確認
・上記内容を証明いたします。
・日付
・クリニックの署名
といった簡潔なものだが、提出が必要な人にも充分な内容と感じた。
ここまでちゃんと結果がわかると、もう完了した気になってしまうが、保険診療の規定に従って「検査結果を受ける再診」の予約をWebから入れる。初診で受診したのは発熱外来だが、陰性の場合の再診は内科とのことで、結果が出てしまえば急ぐ理由もないため9月21日(月・祝)の夕方に予約した。
■改めて検査結果の説明と「陰性証明書」発行
9月21日(月・祝)夕方に訪れた内科は、発熱外来(4F)と同じビルの2F。内科以外にも複数診療科があるため、発熱外来よりスペースは広く、座席は一方向になっていてもビニールカーテンまでは設置していない。専用外来を完全に分けているので、“うん。こっちはなくてもいいよね”と思える。(入り口付近にPCR検査を受付ている「発熱外来は4F」と貼り紙がしてあったが、待合室にいると間違って入ってきてしまい「4Fへ行ってください」案内される人が多数いたけど…)
診察室ではPCR検査の結果と併せて、採血による一般的な健康診断周りの数値をモニター表示して医師から説明。リンクでダウンロードできたPDFと同じレベルの簡潔なものだが、「陰性証明書」を医師の直筆で氏名・日付を入れた状態で再発行された。
「陰性=病気ではありません」の検査結果確認なので、こちらも短時間で完了。一般的な内科外来のため、診療前と会計前に少し待たされたが、それでも混みがちな休日診療でかかった時間は30分ほどだった。
そして、休日診療分も加算されているか…な再診料は1,440円。初診料・PCR検査・再診料で費用の合計は5,820円。簡単に調べた限り郵送などの検査キットでも8,000~10,000円くらい(抗体検査キットは、もっと安いのもあるようですが)より安いし、医療機関で陰性証明が出るエビデンスを考えると「かなりリーズナブル」という印象だ。
■最後に
さまざまなタイミングやラッキーが重なって、COCOAから陽性者との接触通知が届いても、不安に思うこともなく、短期間かつリーズナブルにPCR検査を受けて「陰性」の結果を得られた。
一方で、事前に厚生労働省の通知やクリニックの存在を知らず、COCOA窓口や保健所で「公費でのPCR検査はムリ」と言われたら、低リスクな自粛生活をしている分ちょっと検査を躊躇したかもしれない。仮に検査しなかったら「2週間経過して無症状」でも、人と会うのが躊躇われる心境にもなったはず。
「本来なら公費で受けられる検査を高いお金を払って、自費診療で受けなきゃいけなくなる」のは問題だし、医療環境や金銭的な理由で検査を受けられなかったために、重症化する人がいたり、感染者が増加したりするのは、本当に起きてほしくない。
ただ、住んでいる地域によって、公平に検査が受けられないケースが起きる可能性を「自分が公費でPCR検査を受けられたからこそ」リアルに感じた。
新型コロナウイルスに関して日々、多くの報道がされ、SNSにも情報はあふれている。この投稿は「はじめに」に書いたように、あくまで「一個人の体験談」だが、読んだ人にとって有益な情報の一つになると嬉しい。
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