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お坊さんの死生観日記 ~思想と臨床~ #006「生老病死の生の意味は?」

こんばんは。最近の週末は雨が多かったように思えますが、今週末は全国的に晴れの天気のようですね。感染防止対策を念頭に、少し羽を伸ばしたいものです。

さて、今日は、四苦についてお話ししようかと考えました。昨日が4月9日で、し・く、と読めるから、語呂合わせで選んだろうというご指摘には、ノーコメントです。4月9日生まれの人が、嫌な気持ちになりませんように!

気を取り直して…。四苦とは仏教用語でして、「生」「老」「病」「死」のことだよと少し紹介いたしました。生きる苦しみ、老いる苦しみ、病に臥せる苦しみ、死ぬ苦しみ……。最初の「生きる苦しみ」というのが重たく響いてきます。私は長い間、「生」は、つまり、生きることは、「老」「病」「死」を内包するから、苦しみなんだ、と自分なりに理解していました。それで、仏教は悲観的で、終末期的で嫌だなあと思った時期もありました。

しかし、仏教書の中に、「生」「老」「病」「死」を、原典である古代インドのパーリ語を解読して、説明してくれる本があり、「生」は、「生きる」という意味ではなく、「誕生する」という意味の単語が使われていると書いてあったのです! パーリ語から翻訳された当時の中国語でもおそらく、現代の日本語と同じように、「生まれる」と「生きる」で、意味は異なるけれども、同じ漢字を使っていたのでしょうか。「生」を「産」の文字に翻訳されていれば、私のように誤解する人もいなかったことでしょう。いずれにしても、「誕生する苦しみ」というのも考えてみるとなかなかに深い話ではあります。この世の中に、苦しみが蔓延している世界に、生まれ出ること自体が苦しいのだという、仏教独特の考えですね。

ここで翻って考えてみますれば、最初の「生・苦」=「産・苦」なのであるから、「生きること」は、苦しみと言っていないことになります! 確かに、老・病・死もあるし、「一切皆苦」(この世の全てのものは苦しみだ)という仏教思想もあって、苦しみに満ち溢れているのが現状認識でありますが、生きる自体は、イコール苦しみ、ではなく、裏を返せば、生きていれば、楽しいことも幸せなこともあるかもしれないよ!と。私たち、生きる者の、認知に委ねられているのではないでしょうか!!

だから私は、人生を見据えて、確かに辛いことも、大変なことも多いけれど、諦めずに、楽観的思考を取り入れていこう!と日々感じているのです。

それでは、また次回に!

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