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【小説】或る妄想、闇に沈み眠れ(2)

この小説は、完全なるフィクション。本気にしてはいけないよ!

作者より注意喚起

ある日……突然、『X』の「おすすめ」フィードに2011年に発信された、不気味なツイートが表示された。

記憶は、あなたの存在を保証しません。

この気味悪いポストなんだろう?
何を言っているのか?

アカウントのタイムラインをさかのぼってみたが全く意図がつかめない。

ただ、タイムラインを読み進めていくと  K/W先生 の名前が出てきた。

わたしは気味が悪くなって、いくつかのキーワードをタイムラインから拾い上げ、検索サイトで調べてみたり、ファンの方のサイトやポストまとめを読ませてもらった。すると、このアカウントの一連のポストは  K/W先生 の作品の要素だということが分かった。

  K/W先生 のポストと、秘密結社の一員(架空に作られたんだよね?)のアカウントからのポストがSNS上でリアルタイムで絡み合い、読者にそれを見守ってもらうよう巻き込んでいくという作品が繰り広げられた時期があるらしい。すごい。思わずため息が溢れる。わたしが    K/W先生 をフォローしていない間にこんなすごい作品があったなんて……リアルタイムで追えてなかったのがとても悔しい!!

(後からそのやり取りが作品になって単行本になっていた!これ……本で読んでも面白いんだけど、リアルタイムでの進行はずるい!面白いと思うもん!)

そういえば……ふと思い出したけれど、昔……1993年にも、  K/W先生 はこんな手法で現実と空想の間を行き来するような作品を書いていたことがあったな。


  K/W先生 は当時いろんな雑誌に連載を持っていて、なおかつテレビにも時折出ていた。それを逆手にとってそれら各媒体を縦横無尽に行き来するような『謎とき小説』を書いていたことがある。  K/W先生 のファンでも、読んだことがある人はかなり通かも。ざっくり内容を説明すると『偽物の  K/W先生 が世の中に現れて、入れ替わり、 K/W先生 になりすまして情報を発信し世の中を混乱させていく』というもの……雑誌連載だったし、当然進行はリアルタイムではなかった。しかもその作品は未完に終わっている。なぜ未完なのか、ファンの間でも議論があったけれども、 K/W先生 はその件について沈黙したままだった……

謎のポストに関する経緯を調べてみて、その『未完の作品』を思い出したのだけど……それにしてもなぜ……2024年のいま、この2011年のポストが「おすすめ」に表示されたのだろう……?わたしが  K/W先生 のポストばかり眺めているからかな?


Xのおすすめフィードのアルゴリズムが良くわからない。

そして、わたしのおすすめフィードにこの言葉が追加で現れた。

失わず保持していると思っている記憶、
あなたの中に残っている思い出も実は本物ではありません


目に入った瞬間、なんとなく、ざわっとした。


K/W先生 が創作したポストのはずなのに。

そこから数日後、わたしのXのおすすめフィードは、啓蒙のような、悪く言えば説教のようなポストで埋め尽くされた。つい数日まで、ゲームの話や漫画の話であふれかえっていたのだけれど…わたしはそこはかとなく違和感を感じはじめた。

そして、違和感に追い打ちをかけたのはその日以降の K/W先生 のポストだった。うまく言えないが、ポストの書き方が、以前に比べて「なにか違う」と感じる。

わたしは、X上で仲良くなった ファン仲間のK.Nさんに思い切ってDMを飛ばし、相談してみることにした。

(つづく)


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