美人なので

　文田さん根建さん、かつてひろゆきとバトった勝間和代こんにちは。
　突然ですが、私には悩みがあります。それは、絶世の美女に生まれてしまったことです。
自慢に聞こえるかもしれませんが、美人は美人でいろんな苦労があるのです。
　例えば一般的なあるあるに全く共感ができません。スマホの画面が真っ暗になった時に、うつった自分の姿に絶望すると聞いたたことがありますが、全く共感ができません。だって美人だから。
美容室でシャンプーをされた後、前髪を上げたまま鏡の前に座らせられる時間が苦ではありません。だって美人だから。運転免許の写真の自分が顔が軽犯罪者みたいなんて思ったことがありません。だって美人だから。よく耳にする「女優が雑誌のインタビュアーに美容の秘訣を聞かれた時『特に何もしてません』っていうけど、あれ絶対嘘だよな」と言う発言に異論を唱えたくなります。かくいう私も、何もしていないのにもかかわらず美人だからです。
　反対に美人ではない人には理解されないあるあるもあります。それは「昨日の夜、君が夢に出てきた」と言われることです。それを聞いて相手が喜ぶとでも思っているんでしょうか。他人の夢の話なんてマジでどうでもいいし、本気で興味を持つ人なんてこの世に一人もいません。そういう時は返答に困り、決まって「じゃあ出演料ちょうだいよ」と愛想よく言うことにしていました。
　しかしある日、ふとある事実に気づきました。今まで律儀に夢の出演料をせびってきたのに、誰一人本当に払ってくれた人がいないのです。働き方改革がされている昨今では由々しき事態です。
　思い立ったが吉日、私はその日のうちに最寄りの労働基準監督署に足を運びました。発券機から受付番号札を取り待つこと数分、相談窓口に通されました。職員が「どうされました？」と聞いてきたので。「実は、夢に出てきた出演料、未払いなんです。私は今までたくさんの人の夢に出てきたのに」と伝えました。すると職員は「それは大変な事態です。こちらも全力でサポートしますので、お金払ってもらいましょうね！」と私を鼓舞してくれました。
　その日を境に、未払い賃金回収生活が始まりました。督促をすると、相手方はほぼ確実に賃金を支払ってくれました。私が美人だから、こんなに面倒なことに巻き込まれたとしても嫌われたくないのでしょう。ゴネる人も数人いたのでその都度裁判になりましたが、裁判官の心さえ射止めてしまうほど美人な私なので、夢に出てきたと告げられたという供述は一瞬で信用されました。連日法廷に足を運ぶ日々を続けた結果、私は会社を解雇になってしまいました。しかし口座に回収できた大量のお金が振り込まれたので、かなり長い間(あいだ)仕事をしなくて済みます。これからは、誰かの夢の出演料だけで生計を立てていきたいと思います。
　文田さん根建さん、「結局、女はキレイが勝ち」という書籍を出した勝間和代さんは、最近いい夢見てますか？

　先月情熱スリーに送った没メール。爆発力がほしいと思う今日この頃。