鈴木ジェロニモのGERA、レギュラー化希望。

 先日、ネットラジオアプリGERAで鈴木ジェロニモさんのGERA NEXTが4回にわたって放送された。私は以前ジェロニモさんの説明動画を何本か見たことがあったためなんとなく初回の放送を聴いたが、すぐに次回の放送を心待ちにするほどワクワクするラジオだった。好きなエンタメに出会った時は、良いと思ったところをとことん言葉にしておきたい性分。僭越ながら、印象的だった部分について思いの丈を綴らせていただく。

冒頭のトーク

 私はとにかく感情と誠実に向き合って紡がれた言葉が大好きなのだが、毎週冒頭にされるトークが丁寧に心を言語化している感じが伝わり、心が躍った。
 特に印象的だったトークが、穂村弘さんと対談する仕事で出版社に行った日のこと。自分が同じように尊敬している人と対談するという経験をしたら「楽しかった」や「貴重な体験だった」などの言葉でしか表現できないと思う。しかし、ジェロニモさんは出版社でいただいた牛肉のお弁当が冷めても美味しかったことを言ったり、出版社の人がいい人すぎて将来スキャンダルを記事にされても構わないと言ったりと、直接的な表現を使わずにめちゃくちゃ最高な日だったことを伝えてくる。聴いているだけで「あ、本当に良い日だったんだなぁ」と嬉しさが手に取るよう伝わってきた。対談の日以外についてのトークも面白かった。

マストセブン短歌

コーナー「マストセブン短歌」


 番組内でいくつかコーナーがあったが、マストセブン短歌というコーナーがとにかく面白かった。このコーナーはリスナーから送られてきた短歌に対し、ジェロニモさんが良かった点や好きだった部分についてコメントしていくというもの。そして最大の特徴は、短歌の中に絶対に入れなければいけない言葉「マストセブンワード」が番組から指定されている点だ。
 番組中、素敵な短歌が次々に紹介され、それを受けてジェロニモさんが一人で喋りまくる。他の芸人さんがいたら「熱く語りすぎだろ!」と言われて話が中断しそうだが、この番組は一人ラジオ。酸欠にならないかと心配になる程、送られてきた短歌の良さについて絶え間無く語り続ける。今までがっつり一人喋りのラジオを聞いたことはなかったが、誰も合いの手を入れないラジオの心地よさに気づいた。感情の言語化をいっぱい聞けるぞ!!という高揚感。また短歌についての知識がないため、正直短歌を読み上げられた瞬間意味が分からず悩むものも多かったが、ジェロニモさんの解説で「なるほど!そういう話ね。」と意味を理解できたり、その短歌の良さに気付けるのも新感覚で面白かった。レギュラー化するなら今週のベスト短歌を決める+ベスト短歌を書いた方にステッカー配布とかだとワクワクしそう。個人的に短歌に造詣のある方の感性にも触れたいなと思ったので、短歌を書き慣れている人がたくさん参入してきたら更に楽しそうだなと思った。

印象的だった短歌

個人的に印象的だった短歌とコメントが以下のものである。

「えっなにこれ」「エビチリだけど」「助教授に恋をしていた私じゃないの?」

茂呂直人

マストセブンワードは「エビチリだけど」。最初にこの短歌読み上げられた時、意図が全く分からず動揺すると同時に、強く興味を惹かれて「理解したい!」と直感的に思った。
この短歌に対しジェロニモさんは、助教授という言葉が限定的な関係性を示していることで個人的な記憶に結びついているように感じるのが良い、恋をしている自分がエビチリのように原型を留めていない様子が伝わってくる、嘘だけど本当じゃないかと思わせる余白があったとコメントしていた。このコメントをふむふむと飲み込んでもう一度短歌を聴き返すと、最初に聴いた時より輪郭がくっきりして内容が入ってきて、この短歌の素敵さを理解できるようになっていた。短歌はコメントとセットで聞くとより面白いものだと知る。

読んでいただいた短歌


私は短歌の知識が皆無だったが、せっかくコーナーメールを募集していたので短歌を何通か送ってみると、ありがたいことに複数読んでいただけた。仕事終わりの電車で聴いたが、疲れているはずなのにめちゃくちゃテンションが上がった。読んでいただいた短歌一作と、コメントをいただけたことについて更にコメントを書きたいと思う。

たった今 残業アイドル始めます デジタル時計の6時1分

くだらない質問

職場にて、定時を過ぎた瞬間を切り取って書いたもの。マストセブンワードは「6時1分」。
ジェロニモさんは、残業アイドルというワードについて、「週末ヒロインみたいなイメージで書いたのでは?」と言っていたが、本当にその通りである。そして「残業という嫌なものを、アイドルを自称することで前向きに捉え直していていい。」と素敵なコメントをしてくださった。
 自分的には、疲れた20代後半男性が疲れ顔で「あー今日も定時で帰れない。じゃあこっからは僕恒例、残業アイドルやっちゃいますかぁー。」と投げやりに言っているイメージで書いた。そのためジェロニモさんの明るくてで爽やかな解釈を聞いて、とっさに「あ、そういう気持ちで書いたことにしたい。というかしてしまおう。」と邪念が芽生えた。短歌を作った自分の感性よりも読んだ人の感性のほうが好きになる現象に直面した。

総括


最終回の放送で、「自分がいいと思ったことを言葉にできないのはもったいない。」「自分がいいと思ったことは言葉にしておきたい。」という旨話されていたのが印象的だった。なぜなら自分も同じ考えだからだ。自分がいいと思ったことは言語化して自分の中で大事にしていきたいし、欲を言えば自分の言葉を通じて素敵なコンテンツの良さを伝えたり、同じ感覚を持っている人と心を通わせられたら嬉しいなと思っている。このnoteを書いている理由も、「鈴木ジェロニモのGERA NEXTめちゃくちゃ良かった!!良かったところを伝えたい!!」と強く思ったからだ。是非とも、もっとジェロニモさんの雑談や短歌の話を聞きたい。レギュラー化熱望です。


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