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「Subtitle」の歌詞が「silent」のどことリンクしているのか考えてみた。

フジテレビ系で10月6日から
放送されたドラマ「silent」。

耳が聞こえなくなってしまった
中途失聴者の目黒蓮さん演じる想が、
高校時代に付き合っていた
川口春奈さん演じる青羽紬と
再会することで少しずつ変化していく
姿を切なく、真っ直ぐに描いた作品。

同時に話題になったのは、
Official髭男dismがsilentのために
書き下ろした楽曲の「Subtitle」

「Subtitle」の歌詞がsilentの
どのシーンを想起させるのか、
自分なりに解釈しながらドラマを
見てみることにした。

このツイートの解釈を忘れる前に、
理由まで書いておきたいと思って
noteにしてみた。

Official髭男dism【Subtitle】

「凍りついた心には太陽を」そして
「僕が君にとってそのポジションを」
そんなだいぶ傲慢な思い込みを
拗らせてたんだよ
ごめんね(ごめんね)
笑って(笑って)やって

Subtitle歌詞から

この部分は、第3話でのファミレスのシーンが思い浮かんだ。ブラック企業に勤めていた紬に、湊が「犬と猫 仲良し」で検索かけてと伝える場面。ブラック企業で働いて、心が辛くなってしまった紬に支えがあってほしい、あわよくばそれが自分でありたいって湊斗の気持ちを表現しているように感じた。

火傷しそうなほどのポジティブの
冷たさと残酷さに気付いたんだよ
きっと君に渡したいものは
もっとひんやり熱いもの

Subtitle歌詞から

ここの部分は、全話に共通してずっとポジティブにぶつかってくる紬への想の心境みたいに感じた。火傷しそうなくらいポジティブ思考の紬は、想には眩しすぎて、それでも徐々に惹かれていって、紬ほどポジティブにはなれないけど、それでもちゃんと紬を思ってることを伝えたい気持ちに感じた。

綺麗事じゃないけど
綺麗で揺るぎないもの
うわべよりも胸の奥の奥を
温めるもの
理想だけはあるけど 
心のどこ探しても 
まるで見つからないんだよ

Subtitle歌詞から

この部分は、3話から5話までのまだ紬の彼氏だった湊斗が、想に寄り添う紬に苦しさを感じてしまうところに思えた。綺麗事じゃないけど、紬は想といるときの方が楽しそうに笑う。それは高校時代からずっと揺るがないことに気付いてしまった。どれだけ自分のことを好きだって紬が言ってくれても、2人が楽しそうなところを切ないながらも微笑ましく思ってしまう湊斗の優しさ。2人に幸せになって欲しい、紬を幸せにしたい理想はあるけど、どこを探してもこれからの紬の隣にいる自分はイメージできない。そう思っての「俺が無理」だったのかなと思わされた。

伝えたい伝わらない 
その不条理が今 
キツく縛りつけるんだよ
臆病な僕の 
この一挙手一投足を 

Subtitle歌詞から

この部分は、1話目。手話が分からない紬に、別れた理由を苦しそうにぶつける想が思い浮かぶ。伝えたいのに伝わらない。だから一緒にいたくなかった。自分も辛いし、紬も辛いのが分かっていたから。病気を打ち明けて、紬を傷つける勇気も、自分が傷付く勇気もなかったから紬の前から姿を消した。でも、その判断が自分をキツく縛り付けてる。想の中で矛盾が生じてしまってる切なさを表現してるみたいに感じた。

言葉はまるで雪の結晶 
君にプレゼントしたくても
夢中になればなるほどに 
形は崩れ落ちて溶けていって
消えてしまうけど
でも僕が選ぶ言葉が 
そこに託された想いが
君の胸を震わすのを 
諦められない 
愛してるよりも愛が届くまで
もう少しだけ待ってて

Subtitle歌詞から

ここの部分は、1話から6話の想への想いが変化していく紬。聞こえなくなっただけ、自分も、想も、周りの皆も何も変わってないよって伝えたいのに、夢中になればなるほど想には上手く伝わらない。それでも想に気付いて欲しいから、知って欲しいから、届くまで諦めないっていう紬のポジティブさが表現されている気がした。

薄着でただそばに立ってても 
不必要に汗をかいてしまう
僕なんかもう
どうしたって生温くて
君を痛めつけてしまうのだろう

Subtitle歌詞から

この部分は、2話。耳が聞こえなくなってきていることを自覚して、紬に別れを告げる想のシーン。一緒にいるだけで良かったのに、一緒にいると「これから今までみたいに話せなくなる」「音楽の話もできなくなる」「遠距離なのに電話もできない」そこに目がいって紬を苦しめてしまうことばかりに目がいってしまう想の苦しみを表現してるのかなと思った。

「手のひらが熱いほど
心は冷たいんでしょう?」
冗談でもそんな
残酷なこと言わないでよ
別に言えばいいけど
全人生を賭けても
ちゃんと覆さしてよ

Subtitle歌詞から

この部分は、全話に共通して、突き放されても想に歩み寄りたい紬を表した歌詞だと感じた。近付けたと思っても、すぐにまた距離を取られてしまう。特に「再会なんてしなきゃよかった」という言葉がでたときとかの紬の心境はまさにこれだったと思う。

救いたい=救われたい
このイコールが今
優しく剥がしていくんだよ
堅い理論武装
プライドの過剰包装を

Subtitle歌詞から

この部分は、9話。想が家族とようやくぶつかることができたシーン。想は自分のことで悩む家族を救いたかったし、同時に自分も救われたかった。家族も想を悲しみから救いたかったし、同時に自分も救われたかった。きっと紬や湊斗の存在で、そのことに気付けたから、佐倉家にあったプライドや理論武装は剥がせたんだと思う。

正しさよりも優しさが欲しい
そしてそれを受け取れるのは
イルミネーションみたいな
不特定多数じゃなくてただ1人
君であってほしい

Subtitle歌詞から

この部分は、6話。想に教えた手話を紬がしているのを見て、「プレゼント使い回されたみたい」って奈々が想に伝えるシーン。想が、手話を使うのは自分にだけで良かった。想が「奈々に伝わればいい」って言ってくれたから、不特定多数じゃなくてただ1人自分のためだけに使って欲しかった。そんな奈々の気持ちにピッタリの歌詞だなと思った。

かけた言葉で割れた
ヒビを直そうとして
足しすぎた熱量で
引かれてしまったカーテン
そんな失敗作を
重ねて重ねて重ねて
見つけたいんだいつか
最高の一言一句を

Subtitle歌詞から

これは8話。手話を周りに広めて、皆に奈々を紹介した春尾を見て、奈々は違いを感じてその場を立ち去る。奈々のためにしたことなのに、何に怒っているのか分からずに、売り言葉に買い言葉で「面倒くさい」と言ってしまった春尾先生のシーンにピッタリだった。奈々のためにって伝えて、2人の間に入った亀裂を直そうとしたのに、勢いのまま言ってしまった言葉で奈々は春尾との間にカーテンより分厚い線を引いた。それをずっと悔やんで、どうすれば良かったのか、通訳士になって探し続ける春尾先生をそのまま表したみたいに感じた。

言葉はまるで雪の結晶
君にプレゼントしたとして
時間が経ってしまえば大抵
記憶から溢れ落ちて
溶けていって
消えてしまう でも
絶えず僕らのストーリーに
添えられた字幕のように
思い返した時
不意に目をやる時に
君の胸を震わすもの
探し続けたい
愛してるよりも愛が届くまで
もう少しだけ待ってて

Subtitle歌詞から

これは、10話と11話の想の葛藤を表してるように感じた。紬の声が、どんどん記憶から溢れ落ちて溶けていって、消えしまう。声が聞こえないなら、思い出せないなら、また好きになんてなりたくなかったと思った10話。それでも、紬が自分のために音楽を聞かなくなるのも、電話しないって言うのも、声を出さなくなるのも全部嫌だ。自分のために紬が変わろうとするのは嫌だ。だから、答えが出せるまでもう少し待っててって言ってる11話にピッタリに思えた。

言葉など何も欲しくないほど
悲しみに凍てつく夜でも
勝手に君のそばで
あれこれと考えてる
雪が溶けても残ってる

Subtitle歌詞から

この部分は、最終話。片手が塞がって手話ができないからと避けていた想が、学校からの帰り道紬と手を繋ぐ。あのシーンの2人には言葉はいらなかった。黒板の前で、これからまた同じように苦しんで、紬に当たることがあるかもしれないって想が言ったとき、紬は、伝えることを諦めないで欲しいと言った。伝わらないと思ったら黙って泣いてくれれば背中をさするって。想が悲しみに凍てつく夜でも、紬はきっと黙って傍にいる。想はこれから苦しいことも、嬉しいこともあれこれ考えながら、雪が溶けても紬の傍にいるんだろうなと思わされた。

というのが、私の解釈でした。
でもツイートにも書いたけど、きっと視聴者の数だけ、この曲の解釈があって。最終話だけで全部の歌詞が当てはまるんだと思う。ドラマと楽曲のMVのテイストが違ったように、聞く人によって受け取り方があるんだと思う。それだけ、色んな意味を持ちながら、silentを見ているときはsilentにしか合わないと思わせる力がこの曲にはある。

改めてOfficial髭男dismって凄い。

あと、蛇足だけど、きっとろう者の方から見たsilentには聴者が感じなかった「違う」って部分もあるんだと思う。春尾先生が奈々みたいな人は奈々しかいなかったって言ってた10話の台詞のように、みんなが想と同じ訳じゃないから。だけど、silentを見て「理解したい」って思った人は少なからずいたと思う。それは好きな俳優が演じているからとか、好きなアーティストが主題歌だからとかそういう類いの「興味本位の物」だけではなかったと思う。その力が「silent」にはあったように感じるし、オワコン扱いされてたドラマは、全然終わってなんかないって思わせてくれたドラマだったと思う。

何か偉そうになっちゃったけど、この冬、このドラマにこの楽曲に出逢えて、良かったとただのドラマオタクは思いました!!

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